21日目 里帰りはお城ごと!?

翌日、目を覚ますと・・・朝食を食べに食堂へ向かったのだが案の定と言うべきか兵士たちはおらず料理長が暇そうにしており、視線が合ったのか料理長が手招きをして仕方なく話すと・・・・


「よッおはようさん・・・昨日は繁盛してたみたいだが・・・お前さん一体何を作ったんだ??」

「アンタよりもうまいもん作っただけだが??

あ、自分で勝手にするからアンタは料理なんにもしなくていい。」

と、昨日の話をしながら目玉焼きを作り山のようにあるパンを持ってテーブルに座り、もしゃもしゃと食べていると―――――――


「よう、ハルトシェフ!!あぁ~今日はが料理しないのか・・・

なら、今日は・・・パスだな。」

「だな、だと安心して食えるのにな・・・残念だな。」

「悪いな、料理長は昨日のあの時だけだ。

また機会があればアレをご馳走してやるよ。」

「どうしてだッ!?何でこの俺の料理がクソ扱いされてるのに対してハルトは同じ食材を使って料理しているのにも関わらず美味いものができるんだ!?

お前は一体・・・・・」

「そりゃ、アンタがだからだろ??」

と、兵士たちが一斉にツッコミを入れると・・・料理長は泣いて出て行ってしまい・・・・


「あぁ~ぁ・・料理長がどこかへいっちまったなぁ~~~どこかに何か作れる奴はいないもんかなぁ~~~」

「ハァ~~お前らッ!!朝だけだからなッ!!!」

朝食を食べ終え、兵士たちの要望に応えるために立ち上がり・・・朝だけのハルト屋がオープンし、瞬く間に兵士たちが集まって卵かけご飯ラッシュに突入した。


「俺、初めて食べるが・・・コレ、マジでうまいな!!

―――――――――ガツガツガツガツ!!!」

「だろッ??カツカツカツカツ!!!」

「お~い、ハルトシェフ~~~今日はやってんのかぁ??」

「仕方なくな、お前たちも食ってくか???今日で俺はここを出ていくし・・・

食べるのなら座ってけよ。」

「ハルトがここを出て行くとなると・・・寂しくなるよなぁ~~主にメシが。」

兵士一同がコクリコクリと頷きながら卵かけご飯をガツガツ食していると、朝から珍しい魔王が食堂へとやってきた。


「ハロ~~兵たち。

それに、マイフレンドハルト~~

あれ?今日は食堂で働く日ではなかったはずだが・・・?」

「いやぁ・・・色々あってな―――――」

と、朝から料理長とのやり取りを話すと・・・魔王もため息をついて話し始めた。


「料理長の件なんだが・・・料理長アレの作ったものは私の口に届く前に廃棄されるレベルでのぉ・・・私の朝はいつも冷凍モノか果物・・・あとは《《テイクアウト)》だけで、手作りの料理はハルトの作ったこの卵かけご飯以外に食べていないレベルだ。

で、私は密かに考えた・・・・あの料理長をハルトを料理長として私の元に迎え入れてはどうか・・・とな!!」

「前任者を捨てるって滅茶苦茶だな・・・・ってか!!俺、今日で出て行くんだが!?

―――――――――魔王は一体何を言って・・・・って、お前ら!!今日だけってつっただろうが!!!」

「ハルト~そんな寂しいこと言うなよ~~~」

「俺たちはお前の作るコレで最近は仕事が頑張れるようになったんだぞ??」

食堂内にハルトコールが流れ・・・兵士たちも魔王も願いに願い、俺はできないであろう要望を魔王にして諦めてもらう作戦に出た。


「そうだな、それなら・・・俺の帰る家の近くに魔王の城でも持ってきてくれたら俺はなんだってやってやるよ!!」

「ハルト・・・・相手が魔王って知って言ってるのか???」

「魔王ってのはめちゃくちゃなんだぞ??適当に言った願いですら叶うんだからな・・・・」

「―――――何せ、元庭師が料理長になっちまうくらいだからな。」

「俺は世界の半分をもらったとか聞いたこともあるぞ??」

「よし、わかった!!ハルトの住まう家の近くの山でも何でもいいから土地を購入して私の新たな城を建てよう!!!

話は決まった、これより魔王城ごと移住計画を開始する!!!

そして、ハルトよ・・・移動した暁には・・・ハルトは私専用の料理長になるのだ!!ア~ハッハッハッハ!!!」

魔王は卵かけご飯を持って食堂を出て行き・・・なんだかマズイ事を言ってしまったと感じつつ、どうにでもなれと兵士たちに卵かけご飯を振舞い・・・朝のハルト屋を終了して魔王を探していると城内放送で魔王の部屋に呼び出され――――――


「フッフッフ・・・ハルトよ!!!準備が整ったぞ!!!

私の持つ従業員に資金・・・そして、交渉力をもって・・・ハルトの指定した家の近くに魔王城を建てたぞ!!!これを見るがよい!!」

「あわわわ・・・・ま、魔王・・・言っておいてなんだが・・・おめぇ全力過ぎんだろ!?

何だよ!!城が半日たらずで出来上がるとか!!聞いた事ねぇよ!!

魔王はどんだけ料理長が欲しかったんだよ!?そんなに前の料理長が嫌いだったのか???」

「これ、魔王様の前であるぞ??無礼を慎み――――――」

使いを押しのけ、魔王は俺の前までやって来ると・・・ニコッと笑い。


「そうだとも!!マイフレンドの頼みとハルトの為ならば・・・私はどんな手段を使おうともやり遂げてみせるぞ!例え使いのモノや他のモノを生贄に捧げなければならない状況でもだ!!!」

「そんなこと言い切んなよ!?使いのモノがぷるぷる震えてるだろうが!!!

ま、まぁ・・・気を落とすなよ??魔王ってこうい―――――――」

「魔王様!!!さすがでございます!!!この私どもの安い命で魔王様の願いが成就なされるのでございましたらいくらでも存分にお使いくださいませェェ!!!」

使いのモノは感極まって号泣していたが、魔王は無視してスクリーンに映った魔王城を指さし・・・移動開始と言って家具や一部を除く兵士のすべてが新たな魔王城へ移動した―――――――


「な、魔王・・・一体何をしたんだ???なんだか見覚えのある城が見えるんだが・・・・」

「あぁ・・・アレはの城だな。

のセレジォ城・・・あの忌々しい王の近くに建てるのは不快だがハルトの為だと我慢に我慢して建てたのだ!!」

「そこの人間のためにそこまでする魔王様ステキでございます。

で、移動前の城はどうなさいますおつもりですか??」

魔王は少し考え・・・何かを閃いたのか前任の料理長に城を退職金の代わりに渡すと言いつけ・・・使いのモノはすぐに権利書と内容を同封した封筒を鳥に送らせた。


「ん~~そう言えばハルトは今日帰ると言ったが・・・ハルトの家はどこにあるのだ??」

「魔王・・・アンタが街の中に入ってきたらパニックになるだろ???

だから付いてこない方がいい・・・あの街にはのが多いからな。」

「ハルトの言う通りでございますよ・・・魔王様は全てに恐怖を与える存在・・・・魔王様があの王国へ立ち入れば何が起こるか明確ですぞ???

きっと、ムチや器具であんなことやこんなことをされて・・・辱めを―――――」

と、無駄口が多かったのか・・・魔王はその使いのモノをクビにして兵士に捨てさせ・・・魔王は絶対に付いてくる気満々で、付いてくるならと角とか翼といった魔王要素を全部しまい村娘の装いをして・・・王国へ入って行ったのだが・・・

さっそく国の出入り口で警備する門番に検問されることになった――――――


「お、俺だけど・・・忘れたのかよ???ハルトだよハルト。

あのバカオカルト女の不本意ながらのメンバーだ。

ってか・・・ヤツ等はおとなしくしてました??」

「あぁ・・・あの王から金を奪っていた女魔術師の仲間か。

そう言えば1人ひょろい男がいないとおも―――――――――」

「ひえッ!?門番1がやられたぞ!?

き、キサマ!!そんなことをしてタダで済むとおもっているのかッ!?」

「ハルトをゴミ扱いした貴様らに生きる資格があるのか???」

これはマズイと魔王に落ち着くように言い、門番2にこそっと黙っていてくれたらと言いながら「とあるアイテム」を渡すと・・・門番2は俺たちを中に通しながらゲスな顔をして喜んでいた―――――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る