20日目 魔王との交渉

今回の粘土で作る題材の模型は・・・この異世界版のどぐう?のようなもので、魔王はえっさえっさと粘土をこねくりまわして手本と模型を見ながら作っていたはずがなのだが・・・


「ここをこうして・・・・こうこうの・・・ここうだッ!!

どうだ?ハルト??これはいい出来栄えではなかろうか??」

「うん・・・出来栄えは見事なものだ・・・だが、1つ言っておく。

これは、俺が作ったない・・・・ぱっと見だろ??

何でこっちには持ってない武器とか装備を付け足したんだ!?

ってかコレ・・・俺の世界で言う、フィギュアじゃねぇか!!!

どんだけ器用なんだよ!!!」

魔王はハケやら小道具を器用に使って完成した作品は・・・はにわで・・・さらによく見ればフィギュアと呼ばれる部類に属するモノになっていた。

さらに、作り込みが細かいのか・・・フィギュア用のテーブルとフィギュア名が書いてあった。


「ハルト先生はこういうのは好みではないか・・・・フ~ム・・・さて、どういったモノが喜ぶと言うのだ??もっと美形でボインなセクシー路線ガンガンな方がいいのか??」

「だから魔王!!!フィギュア作りをしてんじゃないんだ!!!《《模型)》をつく・・・いや、待て・・・コレを作るのは《《模型)》よりも必要技量は高いよな・・・つまり・・・もっと難易度を高めても問題はないって言う事か???

よし、物は試しだ・・・・それじゃ魔王・・・魔王が想像する美を粘土で表現してみてくれないか???」

この一言がまずかったのか・・・魔王は粘土をこねて伸ばして、まるでパンを作っているかのようにこね伸ばしを繰り返し、作業を開始して10分後・・・魔王の美があらわになった。


「おい・・・コレって・・・・」

「うむ!!!言わずと知れた美は・・・まさしくこのだろう!!!

出るとこが出て・・・キュートな翼に角・・・それに尻尾。

どこをどう取っても美しかないのがこの私よな!ア~ハッハッハッハ!!!」

最後の高笑いにイラっとして、思わず魔王の力作の魔王(美盛り)を叩き潰して・・・力で却下した所で一度休憩にすることにした。


「うぅうぅぅ・・・私がペッちゃんこに・・・・だが、ハルトよ!!お前がでなければ即刻に私のメガトンフレイムで粉にしてやるとこだぞ!!!

それにしてもこの仕打ちはあんまりだ・・・・今回の私はポーズと言いセクシーさと言いキュートさが絶妙であったモノを――――――」

「魔王・・・自己主張も大概にしろよ???

まぁ魔王に謙虚になれとは言えねぇケド・・・・せめてナルシストな話しでウザさを増す行為だけはやめておけ。

どこぞのレベルマ勇者に会話中に飽きられて倒されるヤツだぞ??」

魔王は?マークを頭の上に浮かべ・・・俺について興味が出たのか尋ねてきた。


「ハルトは時に不思議な事をよく話すが・・・ハルトはこの国の近辺での出身には見えないが―――――」

「あぁ、俺はここで言う遠い遠いから召喚されたんだとよ。

俺自身あんまり把握してるわけじゃないが・・・なんだか今でも夢のようなことばっかりだ。

変なオカルト女にあーだこーだ言われ・・・天使たちには命を狙われ・・・とんだ非日常だよ。」

この話を聞いて魔王は大きく笑いだし・・・・追加でさらに質問をした。


「その・・・命を狙われた中に、胸が貧しいキルりんという暗殺者はいなかったか??」

「あぁ~それはどうだったか・・・色々ありすぎてよく覚えてないが???

魔王、どうかしたのか??」

やはりと言うべきか・・・魔王はキルりんの事を尋ね、俺は知りつつも疑われないように回答したのだが――――――


「ふむ、まぁ・・・この様子ではが殺せなかったのは無理はない。

ハルトは異世界の理によってなっているのだからな。

だが、これを知ったからと言って私自らがハルトを殺そうとも消そうとも拷問しようとも思わない。

ただ、ハルト・・・お前は・・・になる気はないか???」

「ん~~~ヤダ。」

魔王の自信満々な魔王っぷりオーラ全開で悪の交渉感を出しながら話すが、俺は魔王のモノになる交渉を全否定し速攻で拒否すると、魔王は聞き取れなかったのかもう一度とジェスチャーをしてきたが・・・俺は再びNOと答えると・・・・


「なぜじゃ!?この私のモノになれば何でもかんでも思いのまま!!それに私の夫になれるチャンスもあるのだぞ!?それを簡単に捨てれるとはどういった神経をしておるのじゃ!?」

「あぁ・・・そうだな・・・魔王の夫は子分感がしてヤダ。

お金とかやりたいことが何でもできるって事は◎だが、何でもできるって事は何でもできない事と同じだろ?(哲学)

あと、魔王・・・俺はお前に惚れてすらないから拒否をした、それが大きな点だ。」

魔王は最後の最後の言葉に言い返す言葉が出ないままプルプル震え・・・粘土を投げつけてきた。


「こ、これでも喰らえ!!!くッ!?こんなハルトなんぞに求愛を断れるとは何たる侮辱・・・・かくなる上は――――――」

「さぁ・・・どうする気だってんだ!?お、俺は不死者だぞ!?そんな暴力には屈しない・・・ぞ??ん?何やってんだ??」

魔王がてくてくと近づいてくると・・・ここから激しい魔王との最後の戦いが繰り広げられると悟り、威嚇のポーズを取りながら目を開くと・・・俺の前で膝をついていた――――――


「ま、魔王さん???一体何を???何かを呼び出す儀式か何かで???」

「いや、これはどう見ても服従のポーズ・・・そう、のであればになればいいのだと考えたのだ!!!

私は何て頭がいいのだろうかの!!!」

互いに沈黙したまま・・・・互いに、ん?と首をかしげ・・・脳内を整理すると・・・とんでもない事になっている状況を理解し俺は――――――


「――――――――断ル。」

「何で!?私がここまでしてどこがいけないのだ!?私を好き放題にできるのだぞ??ホレホレ。」

魔王は魅惑のポーズを見せるが・・・俺は冷静に、先程と同じく惚れていないからと言うと・・・魔王は負けじと惚れるまで付きまとうと言って羽をパタパタ言わしてマジな顔をしていた。


「あぁ~もうわかった・・・そこまで言うのなら・・・・」

「うむ!!!結婚だな!!!さっそく明日にでも―――――――」

魔王の展開が早すぎて対応しきれず・・・口を塞いで黙らせ、こちらの話を無理にでも聞いてもらう形にして話を続けた。


「ちがう・・・そうじゃない・・・・俺が言いたかったことは。

まずは友達からだって言いたかったんだ。

急に結婚とか互いにこんな関係からスタートしてんだ・・・整理がつかねぇだろ?

だからまずは友からだ・・・それなら俺は歓迎するぜ?」

「ぷはッ!?ふむ・・・ハルトは急婚を望まぬか・・・ならば、ハルトのルールに則り・・・友からスタートしようかの!!!

これからよろしく頼むぞ!!!ハルトよ!!!ア~ハッハッハッハ!!」

なんだか変な流れで魔王に気に入られ・・・危うく結婚させられるハメにならずに済み・・・魔王との友人になることができた所でブレイクタイムを終了し・・・

再び魔王は粘土で模型を作り再開し―――――――

そして、数時間後・・・・


「ふむ、これでどうだ???私ながら完璧中の完璧だと思うのだが??」

「これなら・・・問題ない・・・どうしてフィギュアスタンドが付いているかは置いといて・・・ハイ、今日はここまで。

えぇっと・・・明日がこの仕事の最終日だから気合入れてやるからな~~それじゃ。」

と、魔王に伝え自室に戻り・・・今日は今日でいつもより働きすぎたのか、ベッドに寝転がると強い眠気に襲われ深い深い眠りに落ちて行った――――――――

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