4日目 暗殺者キルりん参上ッ!!!
翌朝、目が覚めると・・・元いた日本と違い静かな朝を迎えていた。
車もなければ仕事に向かう人たちの雑音もない・・・コレが文明の差かと思いつつメルトから取り上げた召喚術の本を再び読むが、やはり内容がメルトの頭の中の様にぶっ飛んでいた。
そもそも、俺の思っていた召喚はドラゴンや精霊・・・そう言ったモノを召喚して戦わせるものだと思っていたのだが、この異世界は違うらしく・・・そもそも言葉が通じるか不明で自分よりも強い生物を呼ぶ可能性を考え意思の疎通ができないとマズいワケで・・・・と、考え出したのが・・・他世界からのヒトガタ召喚術と言うモノで、遠い国の頭のいい術者が考え提唱したこの召喚術は術師であればある程度の運があれば召喚できるなどとフザケタ書き方をしており、召喚した人種などによってこの異世界に召喚されると変異が起こり以下の事が起こったらしい。
アメリカ人・・・髪の毛以外の全身の毛が無くなり、聖人になる。
日本人・・・・なぜか致命傷の傷を受けても死なない・・・そして回復能力が異 常、命がないのでは?という仮説が上げられ標本を募集中。
チュウゴク人・・・・なぜか甘いモノだけしか食べれなくなり、異様なスピードで移動が可能。
ロシア人・・・・どんな攻撃でも絶対に避けてしまい、絶対回避不能な魔法を放つと因果の理を曲げてしまい時空が大変な事になるので避けましょう。
他の惑星の星人・・・大きくなったり光線や変なものを飛ばしたり手に負えませんが、いつの間にか何者かによって倒されて消滅しているケースが多数。(ある程度人語を理解しているが話せるタイプと話せないタイプが存在する。)
・・・・・・・・・以下略・・・
「こうやって読んで思うが・・・日本人でよかった・・・母さん、父さん・・・日本人に産んでくれてありがとう・・・・」
「な~に1人でくっちゃべってんのよ・・・ホラ、朝食を食べたら早速今日から仕事を探しにギルドに行くわよ!!!」
俺は勝手に入ってきたメルトにグリグリをかまし、メルトを引きずりながら酒場に向かい・・・朝食を済ませてギルドとやらに移動すると、何やら人だかりができていた。
「何の騒ぎだ??
メルト、お前なんか知らないのか?」
「知るわけないでしょ!!!私だって何でも知ってると思ったら大間違いよ!!!
あたしが知ってるのは、お金があれば何でもできるって事と!!ハルトがダメな使い魔だって事よ・・・・ってイダダダダ!!!ごめんなさいごめんなさい!!!言い過ぎたからグリグリやめてぇ~~」
「――――――――そこの黒い髪をしたグリグリをされてる可哀想な人・・・今、ハルト?と言いませんでしたか???
私はハルトと言うモノをとある人からの依頼で探しに来たのですが・・・・」
メルトは涙目になりながら俺に指をさすと・・・その少女は俺にナイフを突き刺していた―――――――
「フフフ、ちょろ過ぎますね!!軍隊の仕返しに依頼されてきてみればこのザマでしたか!!!いやぁ~~私の暗殺術も板についてきました・・・ウンウン。
さぁ!!!これで任務完了ですよッ!!!って・・・・アレ??ナイフが抜けない??」
「こんの・・・クソチビ!!!!ナイフは人に刺したら駄目だって習わなかったのか!?
さぁ~て・・・お仕置きの時間だな・・・・」
「そこのちっちゃいの・・・逃げた方がいいわよ?この
メルトの注意も虚しく・・・少女の頭に強烈なグリグリをかましてKOした。
「うぅ・・・あたまが・・・ワレそうでした・・・」
「で、チビ・・・お前は俺を殺すようにに雇われた・・・そう言う事だな?
で、ソイツは誰なんだ???おい、喋らねぇとまたグリっといくぞ!!!」
「ねぇハルト、ここまで厳重にロープで縛らなくたってもいいんじゃないの??
――――――まだ子供じゃない・・・」
俺はロープで縛った小さな暗殺者から雇い主を聞き出すために、仕方なく手を振りグリグリをしようとすると・・・少女は痛みを思い出したのか冷や汗をかき、焦った様子で雇い主を吐くと言い、ついでにロープを解いて欲しいと追加してきた。
「案外素直ね・・・・ねぇ、そろそろロープ取ってあげない?
まだ、自己紹介もしてないわよ?」
「お前は十分オカルトおバカで通じてるから自己紹介も何も必要ないだろ!!!
あぁ・・・そんな目で見るな・・・仕方ない、ホラ・・・悪さするなよ?」
「甘えた目で見ただけですんなりと暗殺者のロープを解く辺り・・・ハルトたちは馬鹿なのでしょうか?
ですが、受けた恩はキッチリ返すのが私の信念。
まずは名前から・・・いつまでもチビ扱いはイライラしますので。
私の名前は裏の世界ではある程度売れている・・・ヒトツキ殺しのキルりんです、えっへん!!」
雇い主の事について話す前に自分の自己紹介をどうどうとする暗殺者・・・・そして、キルりんは長い話になるとか言って俺たちにお水を取って来ると席を立った際に俺はメルトに気になる点を尋ねた。
「おい、あのチビ・・・本当に暗殺者なんだよな??
暗殺者は昼間には行動しないもんだと思うんだがどう思う??」
「そうねぇ~でも、仕事って早く終わる方がいいじゃない??
だから昼間に暗殺しちゃおう!!ってことになったんじゃない??それだと夜からゆっくりできるじゃない??」
「何を2人でコソコソと話してるんですか??
それより、どうぞ・・・お水ですよ~~で、どこから話せばいいのでしょうか??」
俺は尋ねる相手を完全に間違えたと後悔しながら水を飲み・・・その様子をキルりんは見逃さずに不思議そうに尋ねてきた。
「ハルト・・・その・・・頭が痛くなったり胸が苦しくなったり吐き気腰痛・・・関節の痛み・・・えっと・・・死にそうになったりしませんか??」
「お前・・・俺を殺そうと毒を盛ったな・・・・ホレ見ろ、俺はこの通りピンピンしてるぞ!!!お前、さてはへっぽこ暗殺者だろ!!!道理でお前も色気がないワケだぜ!!!」
「お前もって、私を含めながら言ったでしょ!!!しかもチラッと私を見たでしょ!!!この子よりも先に私がハルトを血祭りにしてやるわよ!!!上等よ!!!
――――――――ゴクッ・・・・あびびゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
メルトはガラスのコップに入った水を一気に飲み干すと・・・体に電撃が走ったようなリアクションをしてテーブルに倒れてシビれていた。
「ふむ、やはりおかしいですね・・・メルトにはこの痺れ薬の効果が出たのですが・・・・ハルトには何の効果も出ないとなると・・・どうしたものか・・・・あぴゃ!?ち、ちがうのですよ!?コレはあくまで試験と言うか実験と言うか・・・その、だから・・・ヒッ!?そのグリグリは勘弁して・・・・あんぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」
俺はキルりんの頭に最大のグリグリを捻じ込み・・・メルトの痺れを取る薬を受け取り、メルトに渡してやった。
「あびゃびゃ・・・・びゃ・・・うぅ・・・酷い目にあったわ・・・で、その子・・・泣いちゃってるケド話せるの?」
「あぁ・・・大丈夫だ・・・話さなかったらグリってやるだけだからな。」
「ヒェ!?わ、わかりました・・・・私の雇い主の事でしたね!!!
話します話しますから・・・その手を収めてくれませんか??」
俺は手を下ろし、席に戻ると・・・キルりんから雇い主について話しを聞くと・・・・
「何!?雇い主は魔王だったってのか!?どうしてそんなに話が早いんだ!?
まだ、顔も見た事ねぇのに!!!」
「それもそうね・・・ハルトはつい先日に来たばかり・・・私よりも先に魔王の耳に入るなんてありえないわ!!!」
「ですが、魔王はハルトの名前を逃げ帰ってきた将軍から話を聞いたとか・・・・
あと、その療養中の将軍の言っていた噂ですが黒い髪をしたオカルトな女には気をつけろと・・・戦いの最中に空気を読まずに仕掛けてくるから・・・とかなんとか・・・・まさか、メルトの事ではないですよね???」
色々とツッコミどころが多くどこから突っ込めばいいのやらと考えていると・・・メルトは頬を膨らませながら泣かずに堪えていたが、我慢の限界だったのか・・・不名誉な覚えられ方で泣き崩れ・・・・
「あんまりよ!!!私だって戦いたかっただけなのに、ただそれだけだったのに・・・ちょっと横から魔法を撃っただけじゃない!!!なのにそんな・・・あんまりよ!!!!」
「噂は時に真実と言いますが・・・・将軍の話通りの危ない人のようですね。」
「お前が言うな!!!出会った瞬間、人の体にナイフを刺すわ水の中に毒物を混入させるわ・・・お前の方が多分・・・ちょっとだけ非常識だぞ!!!」
メルトをフォローしようと思ったが、コイツとの思い出はロクなことがなく・・・キルりんの方が今の所被害が少なく・・・キルりんに天秤が傾いていた。
そして、今後の話をするのは後にして・・・まずは資金稼ぎとキルりんを無理やり連れて3人で害獣駆除の依頼を受け、これからの資金を稼ぐことにした。
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