5日目 街に帰るまでが害獣駆除

害獣駆除の依頼を受けたはいいモノの・・・俺は戦力的に死なないだけでで攻撃する術は殴りや蹴りの体術のみで、オカルト担当のメルトは何かしらの攻撃魔法は使えるが頭がてんでダメ・・・極めつけは暗殺者がどうどうと表の道を一緒に歩いていると言うシュールなパーティーであった。


「害獣駆除が始まる前に1つ聞いておくが・・・お前達って使えるんだろうな???」

「戦闘面ではって何よ!?私は戦闘面でもどんな場面でも活躍必須よ!!まったく失礼しちゃうわ!!!戦いになったら見てなさいよ!!私の華麗な魔法を!!!

―――――――――って・・・イタッ!?ちょっと、痛いじゃ・・・ヒッ!?」

「おぉっと・・・私としたことが!!!急に殺人依頼を思い出しましたので・・・さらばッ!!!―――――――ぐえっ!?・・・ハルト離してください!!!あんな大きなと戦えば死んじゃいます!!!

どうしても戦わせたいのなら・・・があれば・・・やらない事はないのですが――――――チラチラ・・・」

メルトはお決まりと言うべきか・・・クマの腹にぶつかり、匂いを嗅がれていた。

その間に俺たちは様子を見ることにして、そっと木の陰に隠れたのだが・・・・


「そこの2人!!!何逃げてんのよ!!!!引きつけてるうちに攻撃して倒しちゃってよぉぉぉぉ・・・・食べられ・・・られ・・・られなかった?」

「ふむ、メルトは食べる勝ちに値しないと言う事ですか・・・・そりゃ、クマにも選ぶ権利くらいはありますからね―――――ですが、何だかこちらに近づいてきてませんかッ!?」

「おい、キルりん・・・こういう時こそ落ち着いて対処だ・・・・いつでもクールに・・・・え―――――」

語っていると・・・クマは俺たちの隠れている木を自慢の爪で引き裂き、俺たちを追い回し始めた―――――――


「あはははは!!!2人とも良いザマね!!!私が危ないって時に見てた天罰よ!!!」

「くっ・・・あのオカルトクソ女・・・・おい、キルりん・・・ちょい手を・・・・いや、を貸せ。」

「こ、このこのこのこのこここ・・・この状況を脱却できるのであればなんだって貸しますよ!!!さぁ、私は何をすればッ!!!って!?私を抱えてハルトは何をする気ですか!?」

キルりんの体を持ち上げ、俺はメルトのいる場所にキルりんを投げ込むと・・・クマは俺を通り過ぎて投げた方向に走り去って行った。


「―――――やっぱりか・・・これで答えが出た・・・おい、キルりん!!!

お前、匂いの出る薬とか何か持ち歩いていないか?」

「そんな事よりも!!!この私をオモチャの様に投げ捨てたことを覚えておいてくださいよ!!!何たる屈辱・・・ぐぐ・・確か動物兼用の呼寄せ爆弾をここに隠してたはずですが・・・・ありましたよ!!!ハル―――――――」

「ソレが何だか知らないけど!!!そんなモノがあるからアレ寄って来るのね!!!だったら、こうよ!!!!」

メルトはキルりんの取り出した爆弾を投げ捨て・・・どや顔をするが、投げた場所から匂いが溢れ・・・クマや他の山の動物たちが匂いにつられて集まりだしてきた。


「おい、オカルトバカ女!!!!せっかくそれをうまく処理しようとしてたのに・・・・どうして起動させるんだよ!!!このバカ野郎!!!」

「だ、だってぇ~~捨てちゃえばあっちに行くかと思ったんだもん!!!

仕方ないじゃない!!!せ、説明書きとかなかったんだから!!!」

「そりゃそうですよ・・・花火じゃないんですから・・・・でも、この事態どうしましょうか・・・クマにシカにオオカミに・・・動物のテーマパークになっちゃってますよ・・・・ここはやはり逃げるしか――――――」

すると、森の奥から遅れて何かがやってきた・・・・・


「わ・・・わるい・・・わういごは・・・いねが・・・・いねがぁ・・・・いねがぁ!!!!」

「あわ・・・あわわ・・・で、でたーーーーーー!!!!!!!」

「うっわ・・・まさか森から出てくるなんて・・・ハルト、こっちに来た方がいいわよ・・・でね、アレが例のナンマハゲよ。」

「って・・・・まんま、じゃねぇか!!!!!」

ナンマハゲが出てくると・・・周りに集まったケモノは怯えながら逃げ出したが大きなアングリーベアーだけが残り・・・ナンマハゲと睨み合っていた。


「ねぇ・・・私たちもここらへんで帰った方がいいんじゃない??」

「バカ、ここで逃げたら俺たちの資金もメンツも丸つぶれだろうが!!!

害獣駆除と書いてあったが、俺たちが手を下さなくてもいいって事だろ?

だったら、ナマハゲにあのクマを倒させて爪でも取って見せりゃ大丈夫だろ。」

「ハルトって・・・時にすごくゲスいですよね・・・

――――――でも、私は・・・その案に賛成です!!!」

そして木に隠れながら見ていると・・・ナンマハゲとクマの戦いが急に始まった。


その戦いは激しさを見せる前にナンマハゲがクマの首を一振りで切り落とし・・・俺をジッと見つめていた。


「な、なんだか俺の方をずっと見てないか??」

「し、知らないわよ・・・・だったら私たちの代わりに何で見てるのか聞いてきなさい・・・・よッ!!!」

「あ・・・ハルト・・・・えっと・・・そんな強引にナンマハゲの前に出して大丈夫なのでしょうか??もしも万が一と言う事も・・・」

キルりんが予測した通り、俺は何気なく声をかけた瞬間・・・ナンマハゲの鋭いナタの一撃が俺の肩から胸辺りまでを綺麗に裂き、光のベールを纏いながら動かなくなった俺の体を見て・・・ナンマハゲは気が済んだのかメルトたちに興味を示すことなく森の奥へと消えて行った。


「はぁ~良かっ・・・・って、良くないですよ!!!

――――――は、ハルトッ!?ハルトがやられちゃいましたよ!?

何だかキラキラした光に包まれて・・・色々大変な事に!?」

「そんなにビャービャー咆えないでよ・・・酒場での事を忘れたの??キルりんがアイツの胸にナイフをぶっ刺したアレ。

まぁ説明が面倒だからぶっちゃけると、あの使い魔ハルトは・・・不死身なのよ――――――――」

「こ、こ・・・この、バカ野郎が!!!いくら死なないからってあんな危ない奴の前に突き出す馬鹿がどこにいるんだよ!!!お前の脳ミソは枝豆以下しか詰まってないのか!?少し考えればことくらいわかるだろ!!!」

俺はナンマハゲが近くにいない事を確認すると、メルトの頭に力いっぱいのグリグリをかまし・・・泣かすと・・・駆除の証拠である巨体をどうしたモノかと考えていると・・・・


「ハルトはなぜ、クマをずっと見ているのですか??

早く運送者に連絡しなくていいのですか?」

「え!?この世界にそんな業者があるのか??」

「プフフ・・そんなことも知らないで狩りをしてただなんて傑作ね~~」

イラっとしたメルトに再びグリグリを捻じ込みながらキルりんに呼び方を教えてもらい・・・運送者用の狼煙のろしを上げると・・・1分足らずで大型の貨物がやってきて俺に受け取り用の紙を渡すと・・・クマをパパッ荷台に乗せて帰って行った。


「はやッ!?現代じゃこうはいかないよな・・・なんだかこっちの方が文明的には遅れてるがサービスが充実しているな・・・」

「何をごちゃごちゃ言っているのですか???

さっさと街に帰って・・・・・ハルトの首を差し出してくれませんか??腕でもいいですよ??

さえ魔王に見せれば納得すると思うので。」

「そうね・・・ハルトが生きてることを知ればキルりんとような危ないヤツが送られてくるかもしれないわね・・・よし、それなら仕方ないわ!!

ハルト・・・首でも腕でも足でも差出しなさいよ!!!ちょッ!?コラ!!逃げるなぁ!!!」

ナイフをちらりと見せたキルりんと私利私欲にまみれたオカルトメルトから逃げ・・・街の教会に逃げ込み、懺悔室に入って時間を稼ぐことにした。

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