2日目 魔王の軍勢vs2
そしてメルトは不意に思い出したかのようにブツブツと言いながら考え・・・・
「さぁ!!私が召喚した下僕よ!!!王のいる宮殿に行くわよ!!」
「おい、待て・・・だんだん名前が下位になっていないか?
それに宮殿に行くって、何をしに行くんだよ?」
俺に付けられた不名誉なランクには触れず、メルトはフフフと笑い・・・財布袋をのぞき込みながら話し始めた。
「そう・・・私たちは
「おいオカルト女、今さらっと言ったが・・・もしかして金がないのか!?
ってか・・・ココ・・・物置じゃねぇか!!!」
俺はこの瞬間に悟った・・・このオカルト女はかなり金銭の扱いがダメな奴だと・・・そして、背に腹は代えられないと言う事で・・・俺たちは王の住まう宮殿に向かったのだが――――――
「どうして中に入れてくれないのよ!!!この前にもらった旅のお金が無くなったからもらいに来ただけなのに!!!!どうしてよ!!!世の中不条理よ!!!」
「えぇい、帰れ帰れ!!!黒髪の不吉な女が来たら追い返せと言う命令だ!!!」
「さぁ、わかったのなら帰った帰った!!!」
「この女と俺は関係ないんで中に入れてもらっていいっすか??
異国の旅人で王に緊急な話が―――――」
俺はメルトから距離を取り、門番にそう・・・伝えると、門番はすんなりと俺だけを通してメルトを取り押さえていた。
「悪いな・・・ここからは好きにさせてもらうぜ・・・・」
「さぁ、こちらが王の間だ・・・くれぐれも無礼が無いよう。」
門番に案内され、王の間に入ると・・・大きなイスに座った、いかにも王様という風な髭と王冠を付けた老人が座っていた。
「さぁ、近くに来なさい・・・何でも異国からきた旅人で・・・話があるとか?
して、その話とは何だね?話してみよ―――――」
「ハッ!!それは・・・魔王の軍勢が・・・攻めてくると言う情報を聞いたので王に知らせようと―――――」
俺はその場しのぎで適当に考えた・・・実在しているのかもわからない魔王と言うワードを含めて王に伝えると、王は顔をコクリコクリとさせて・・・・寝ていた。
「起きろ!!バカ王!!!」
「あ、へぁ!?・・・・もぅ、お昼の時間かのぉ??
―――――おぉ、お主は異国の・・・誰だったか・・・名前は何だったかのぉ??ワシの名前はセレジォ・・・どこまで話したのか・・・初めから話してくれるかのぉ?」
駄目だ・・・この国はおしまいだ・・・・俺は叩き起こした際の衝撃が強すぎたのか?と感じながら、
やっと話を理解した王は俺に命令を出すと言いだし――――――
家来にごにょごにょと何かを伝えると、王の間の外からアイツの声が響いてきた。
「ちょっと!!!鎧のガチムチ門番!!私の話を聞きなさいよ!!!このッ!!どこ触ってるのよ!!!ちょっと!!まだ話が終わって・・・
―――――って・・・ハルトじゃない!!よくもさっきは自分だけ逃げたわね!!
ハルトが逃げたせいで私があなたを召喚した話もまともに聞いてくれなくて・・・・うッ・・・うっ・・・」
「あぁ・・・終わった・・・オウサマ??」
「ふむ、異国のハルトとか言ったか・・・この黒い魔女の仲間だったのかのぉ・・・・と、言う事はこの話も――――――」
「王様ッ!!!大変です!!!東から魔王の軍勢が!!!」
王はすぐに兵士や冒険者やギルドの人員を集め戦闘の準備をして出発するように言い渡し、俺の事を疑ったことを一応は詫びたのだが・・・このオカルト女とのグルと言う事がバレたコトに変わりはなく・・・俺たちは兵士たちと共に魔王の軍勢との最前線にメルトと送り込まれたのであった―――――――
「おい、この状況はどうするんだ?俺にも何か不思議な力だとか・・・隠された能力の開放とか・・・不思議な指輪とか最強の武器とか何か渡すもんがあるんじゃないのか???定番だろ??ここぞって時まで取っておく定番だろ??きっとソレを渡すなら今だ!!!ホラ、早く渡せよ!!!何かあるだろ??あると言ってくれよ・・・・」
「私の武器はハルトと私が覚えた・・・魔法だけよ・・・
それ以外に渡すものも何もないわよ!!!だってお金がなかったんだもん!!!しょうがないでしょ!!!全部飲み食いに生活費に使っちゃたんだから!!!!
こ、ここのお酒とかゴハンがおいしいのが悪いのよ!!!」
とかなんとかやってる間に魔王の軍勢と対峙するポイントに到着すると・・・俺たち2人は始めの突撃部隊に王自らが任命したと隊長格から伝えられ・・・俺たちは曇った顔をしながら先頭に立った―――――
「アイツらだけで最初の突撃って大丈夫なのか??
しかも、あの黒髪の女は王から金を巻き上げてたっていう話だぜ?」
「あぁ、ソレ俺も聞いたことがある・・・何でもただのツボを金と同じような価格で売りつけたとか。」
「そりゃ、王の恨みを買ってこうなるのも仕方ないよな・・・・
で、あの隣にいる奇妙な服装をした男は誰なんだ?」
「俺もあの男を見たのは初めてだな・・・・女のアレか?」
「いやいや、あの女は男よりも金を選ぶ金銭主義だからそれはないだろ・・・あははははは」
「お前・・・俺に何か言いたいことはあるか??
謝罪とか謝罪とか謝罪!!!があれば言ってみろよ・・・・」
「えっと・・・身勝手な私の行為でこういうことになってしまい・・・誠に申し訳ありませんでした・・・・その、だから・・・ハルト??
私を置いて帰ろうとしないでよぉ!!!私だけじゃ絶対に無理だからぁ!!ねぇ~お願いよ~~~手伝って~~~」
引き返して帰ろうとする俺の足にメルトがしがみつき・・・俺は仕方なく一緒に戦うと言うと・・・メルトは強気に戻り、俺に命令し始めた。
「さぁ、私の使い魔・・・ハルト!!!あの魔王の軍勢を全部やっつけちゃって!!!」
「お前・・・・後で殴ってやる・・・だが、どうやって戦えばいいんだ?」
「おい、そこの丸腰!!!この、予備の剣でも使って頑張ってこい!!!
骨だけは拾ってやるからよぉ!!!」
剣を受け取ると・・・敵軍に飛び出す前にメルトが俺を呼び止め、質問し始めた。
「ちょっとひとつ言い?ハルトは異国の何人なの?
バルタ○星人??メトロ○星人???」
「俺は異星人じゃねぇよ!!!俺は生まれも育ちも東京の・・・日本人だ!!!こうなったらどうにでもなりやがれ!!!!」
「おいおいアイツ・・・1人で突っ込んでいったぞ!!!」
俺はメルトにそう言うと・・・魔王の軍勢に単独で飛び出し・・・ガイコツの剣士や鎧だけの剣士に攻撃している中、メルトは古い書物のページをペラペラと開きながら・・・日本人の召喚例を見て、ニヤリと笑みをこぼした・・・その瞬間・・・
「刃向うモノは死、アルノミ!!!」
「――――――――ぐはッ・・・マジ、かよ・・・・刺されるって・・・こんな感じかよ・・・」
「おい、アイツ・・・刺されたぞ??」
「あぁ、見事に腹を刺されたな・・・・・」
「それじゃ、今度は俺たちが相手だ―――――――」
「その必要はないわよ!!!さぁ、暴れてやりなさい!!!私の召喚したハルト!!!」
俺は意識が遠のき、死んだものかとおもっえいたが・・・・痛みはあったがなぜか俺はぴんぴんしていた・・・・
そして、俺の体に突き刺さった槍をへし折りながら傷が治り・・・俺は再び立ち上がって剣で敵軍に攻撃を開始するように見せかけて、メルトの所までダッシュで移動し・・・この体に何をしたのか尋ねると・・・・
「そ、そんな怖い顔しながら睨まないでよ・・・その、えっと・・・この本によれば・・・召喚術で日本人が出れば超スーパーウルトラデミグラスラッキー!!
召喚されたその日からその者はゲンキバリバリ不死者になります!!
その者の人格によりますが・・・盾にも矛にもなる大変すばらしいあなたの相棒になる事でしょう!!!・・・・・オワリ・・・」
「ちょい、その本をよこせッ!!!破り捨てて発行者に直接文句言ってやる!!!
ただの無敵チートモードじゃねぇか!!!!こんなの・・・絶対に面白くなんか・・・・」
俺は大声で叫びながら敵軍を睨みつけると・・・話を聞いた敵兵たちは最初とは違った反応を見せ・・・俺が近づけば、敵兵は2歩下がり・・・俺は全速力で敵兵を追いかけると・・・敵兵は全て我先にと逃げて行き、敵将だけが取り残され・・・俺に1vs1を申し出て来たまではいいのだが・・・正当な戦いが始まる前に
メルトが1vs1と言う事を無視して敵将に強烈な魔法の一撃を叩き込み、真っ黒焦げにしてしまい・・・・
「ぐ・・・・不意打ちとは・・・おのれぇ・・・黒髪のオカルト女め・・・・ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「炭は炭らしく消えてればいいのよ・・・・よし、これで・・・敵将、討ち取ったりィ!!!これで私の1人
「お前ェ・・・男と男の戦いを・・・だからお前は駄目なんだよ!!!」
と、戦いが終わった事を知ると周りにいた兵士や冒険者たちから俺達は称賛され、軍隊の隊長からは宮殿に来て欲しいと直々に頼まれ・・・俺が答える前にメルトが勝手に答えると、兵士たちは俺たちを無理矢理馬車に乗せて宮殿に向けて出発した。
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