第5話 罪人
その近くに、あの黒猫はいた。
『
そう言いながら傍に寄って来たのは…真っ白い猫。その瞳は黒影と同じくパープル色で。そしてそのしっぽは…黒影と同じく二つに分かれていた。
『なんだ。
『よかったの?見逃して』
『ああ…』
黒影はスッと、
『今はまだ泳がせておこう…時が来たら』
彼のパープルの瞳は細くなり…怪しく光る。
『
『しようものなら?』
スゥと、二匹とも猫の姿から人の姿へと変化した。
『跡形もなく“消す”』
『ワーオ』
ニャフフと笑う弟の白影とは裏腹に、兄の黒影の瞳はそれはそれは鋭く、睨みで人を殺せそうなほどで。
『殺気が凄いですよ~?兄さん♪』
『“覚醒”しなければ…このままあいつを見逃せる。』
『まったくもう。
そのまま二人は足を返して、その場を去っていく。
『かつての仲間で、兄さんたちを裏切った人を見逃すところは、優しいかにゃぁ?』
『それを
『そお?それは絶対にゃの?』
『絶対だ』
『
『断じてだ。』
『ふーん…』
『まぁ、せいぜい…“思い出す”ことのないよう願うよ…“
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