14.白い部屋 動き出した「色の薄い世界」。謎の殺し屋たちに命を狙われ、霧島榛名と名乗る女性と出会い、失い、そして何者かに捕らえられてしまう。
14-01 三日経っても帰ってこないって……やっぱり、なにかあったのかな
目のまえに、
青空が高くひろがり、その手まえに
どこかに落としたんだろうか。
俺はポケットのなかをたしかめようと上着へと目線を落とす。
と、いつのまにか塔の
ふだんからそんな感じのしおらしい空気をまとっていれば、すこしは
なんだろう。こいつとは、もっと、いろいろなことがあったような気がする。いや、こいつ以外にも、もっと、なにかが――
まあいい。目のまえで見せているその
もう一人の見知った人物が、奥の階段を上がってきた。
「やっぱり、何度探してみても、手がかりになりそうなものは見つからないね」
「三日
竹内千尋はそれには答えず、千代田怜のとなりに立って窓の外を
「
俺? なんで俺のことを話してるんだ?
千尋もまた、怜と同じように憂鬱な、いや、思い
二人の横顔を見つめているうちに、俺は、そろそろ声をかけるべきだろうと思った。そこで、気づく。
――俺は、いま、どこに立っているんだ?
光が、ひろがった。
ちがう。光のような、けれども正確にはちがうのだろうという白が、俺の視界をとおしてぼやけていく。その白はしだいに
ぼやけた白のさきに見えたのは、天井だった。
どうやら俺は、見知らぬ部屋のベッドで横になっていたらしい。
俺はベッドから身体を起こそうと、腹に力を入れてみた。しかし、上体を持ち上げた
「――ッ!」
痛みを
いまのは、夢だったのか?
リアルな夢だった。
以前、柳井さんの言っていた「
――ここは、どこだ?
あたりを確認したい気持ちをおさえて、
そろそろ動いてもいいのだろうか。
すこしずつ頭だけを動かして視界を
この伸び方だと二、三日は経過しているのだろうか。そのあいだ、俺はこのベッドで意識を失っていた、ということなのだろうか。
気を失う前のことを思い出してみる。
言葉の通じないこの世界に迷い込み、逃げて、コンテナ置き場へと追い込まれた。しかし、俺を追いつめたやつらは、
俺は、
にしては、
もう一度身体を持ちあげる。
脇腹の痛みは引かないが、眩暈は、さっきよりもおさまったようだ。そのままベッドに腰掛ける。入院服を着せられていることに、いまさらながら気づく。入院服の下には、右肩から脇、腰にかけて包帯が巻かれていた。たしかに痛みはあるが、窓から飛び降りたときの、
それくらいの時間が経っているってことなのか?
俺の両足は、身体を支えようとしてバランスを
点滴ポールをつかみ、キャスターを転がしながら、俺はこの部屋の出口を探し出そうとした。ところが不思議なことに、どこをみてもこの部屋から出るための、出口となる
どうやってこの部屋に入れられたんだ? 無いなんてことはあり得ない。どこかにかならずドアがあるはずだ。出口を――
頭の中の言葉がそこまで告げたとき、突然、それをかき消すような
スーツ姿の彼女の顔をいくつも映し出し、そのどれもが俺を見つめてくる。そして、彼女の体は、ゴムまりのように
「やめてくれえええええええ!!」
俺は点滴ポールをつかんだまま
「ドアは――」
ドアはどこにあるんだ。
あの場所に戻らないと。
あの場所に戻って、
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