04-09 か、会長、落ち着けって
部室に戻ると、さっきまでパソコンを
なんだか
「さっきの試合どうだった?」
柳井さんの問いかけに、そのまま
「ありゃダメだよ。味方が
「おまえ……今日からはじめたゲームになに言ってんだよ」
二人してわけのわからん話で盛り上がりはじめた。しかしそんなことより、榛名の手に持っているそのプリントを早く返してもらいたいんだが……。
「とりあえず、大学ノートにさっきの箇条書き書いてみるわ」
俺の言葉にニコニコ顔の竹内千尋と、意気込んでうなずくちばちゃん。その横で千代田怜が
ソファに座り、テーブルの上に大学ノートの二ページ目を
「榛名……ファンメ届いてるぞ」
一方、マウスをつかんでパソコン画面を見ている柳井さんの呆れ声。その声に榛名もパソコンをのぞき込んだ。
「あー……さっきのめくら撃ちしてたヤツだな。ええと……なんでおまえが
榛名の
「……わたしが返事書こうか?」
「榛名……
「か、会長、落ち着けって……」
柳井さんのただならぬオーラに
って、まったくこっちが気合い入れて書き込もうとしてるのに、二人してゲームの話してんじゃねーよ。気が散るじゃねえか。
「柳井さん、榛名おまえもだ。いまからノートに書き込むんだから、少し静かにしてくれませんかね」
「おお、悪い悪い」
「お、磯野、用意いいな。ここに書いてある通りノート買ってきたのか」
え? 書いてある?
榛名の言葉に、俺も含めたこの場にいる全員が注目した。
全員の目線に、榛名はなにかまずいことを言ったのかとポカンとしている。最初に口をひらいたのは千代田怜。
「ちょっと榛名、なに言ってるの?」
「え? なにって……なんだ?」
榛名は怜の問いかけの意図を理解できないのか、首をかしげ頭にはてなマークを浮かべた。
基本美人ではあるのだが、キャラに慣れてしまっているせいか、ちばちゃんのような可愛らしさはまったくないな。同じ姉妹でもこうもちがうか。
「だから、書いてある通りってなんなの」
「え、いや、この紙に書かれてて――」
「ちょっと貸せ」
となりにいた柳井さんが榛名の手からプリントを
「おい榛名、おまえなに
「へ? なに言ってんの? これ磯野が書いたんじゃないのか? 磯野の字だろこれ」
榛名のその言葉に、俺を含めた全員が駆けよりプリントをのぞき込む。
プリントに書かれた箇条書きの下には、さっきまでなかったはずの一文が追加されていた。
――ノートを用意して情報共有をしろ
「この筆跡……」
そう言って千代田怜は前後の文を
ああ、そうだ。走り書きではあるが、上の箇条書きと比べるべくもない。どう見ても俺の字だ。
「磯野、いつの間に」
「いや、俺は書いてない」
全員の沈黙。
ここにいる面子は、ちばちゃんをのぞいて超常現象を
とはいえ、気づかなかっただけで実は知らないあいだに俺が書き込んだのではないか? という
「え、なに? なんか面白いことになってるのか?」
榛名をのぞいた全員のため息。
そんな榛名の言葉がきっかけになったのか、
「この言葉どおり大学ノートになにか書き込んでみるしかないだろう」
榛名をのぞいた全員がうなずいた。
俺の目の前には見開きになった大学ノート。
そして、それを取り囲み注目するオカ研の
ボールペンをふたたびつかんだ俺は、ペンをノートに近づける。
そして次の一瞬――
「なに書けばいいんだっけ?」
俺をのぞいた全員の緊張が崩れた。
「ちょっとー」
「いやさ、やっぱ注目されると書きづらいわけよ」
「気持ちはわかる」
柳井さんのため息からのフォロー。それに対して、
「日付と時間! あとはさっきの箇条書きの内容を書けばいいじゃない」
怜よ、意気込むのはわかるが張り切りすぎだろう。怖いぞ。
「怖いぞ」
「はあ?」
「そうだね。情報共有の意味はよくわからないけど、比較実験で考えれば、怜の言うとおり、この大学ノートでもプリントと同じ文が浮かび上がるのか確かめてみるのが
竹内千尋の助言に、千代田怜とはちがい、可愛らしい意気込みでうなずくちばちゃん。榛名だけは、いまだに頭にはてなマークをつけながらおとなしく眺めていた。
「ほんじゃいくぞ」
俺はそう言うと、大学ノートの見開き左ページの頭に日付といまの時間
――八月十〇日 十三時〇六分
と書き込んだ。
そして、さきほどのプリントを見ながら、箇条書きを書き写そうと、ペンの先がノートに
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