第12話

彼方は優しく微笑んで

『やっと見つけた』

彼方はボロボロだった

服など汚れていた

何度も転んだりしていたけれど、諦めないでずっと探し続けていた

『何でって当たり前だろ

ここは俺たちしか知らない場所なんだから

忘れてるわけないだろ?』


『……』

優は彼方が来てから下をむいたまま


『ごめんな、ずっと気づいてたのに』

そう言いながら優に近づいて


『……い……で』


『今なんて…』


『来ないで!私に近づかないで‼︎』

目に涙を溜めながら叫んだ

ここで躊躇えばきっと優は…

知ってるよ"近づかないで"はSOS

お前の目を見たらわかるよ

"助けて"そう言ってる


『いやだよ』


『来ないで‼︎』


『やだね』


『あっち言って‼︎』

それでも彼方は近づいて行く

じゃないと優を助けれないから


『こな…いで…よ』

ギュッ

『もう、我慢しなくていいんだ

泣いていいんだぞ』


その言葉で優は救われ、糸が切れたように子供のように泣いた

『ごめんな、気づいてたのに…

でも、もう辛い想い絶対させないから

俺が優を守るから』


優は笑った

作り笑いじゃなく、本当の心からの

『謝らないで気づいてくれた、助けてくれた

嬉しいよ、ありがとう』


今なら言えるな

俺の気持ち

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る