病室の片隅で

昔、とあるテレビで手相の話をしていたの

人生で『運命』と呼ばれる場面が来るのは三回だって

その時は分からないけれども、過去になった時に

『運命』だったと分かるって


でも『運命』と後悔とか反省とか似ていると思わない?

ああ、すればよかったって過去になってから分かるのだし

そしたら何かが変わっていたかもって

『運命』は『岐路』なんじゃないかって思ったのよ


でも、でも、言わせて

変わろうと思っても

代わろうと思っても

これが『運命』しゅくめい

『岐路えらばせて』もくれないのなら

『宿命』うんめいと呼ぶ方がいいんじゃないの


諦めるのが早い?

そういうこと言わないでよ

今、貴女を過去にしている最中なの

笑ったことも喧嘩したことも愛し合ったことも

過去うんめいにしているの

だって『宿命』ぜったいだなんて言葉いやじゃない

貴女に会えたのが『運命』ぐうぜんてロマンチックにしましょう


好きよ、おやすみ、私の『運命』いとしいひと

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る