ある愛について

今日は何の話をしましょうか

あの異常なほど激しい色の楓の話をしましょうか

それとも赤々な紅葉の話でもしましょうか

桜のように並木道に設置された木々たちは

良かれと想い、人が並べたに違いありません

ひと時の出会いに心躍る人もいれば

季節の移ろいに嘆く人もいるでしょう


『美しい』ただその一言に圧倒される

貯めに溜めた葉の咲くころ

それは散るための別れの色

残せて置けない一目惚れ


なぜ桜の儚さが、柔さが、色が、淡いのに

秋の花は原色で心を苛むのでしょう

落ちれば土くれ色落ちの情けない姿なのに


教えてください

毎年会う貴方たちは同じでしょうか

私は今年も出会いと別れを繰り返し

来るか分からぬ明日の不安を握りしめ

季節に殺されぬでしょうか

また違う貴方を見て恋をし愛して


一緒に生きて行けない真実が

貴方の下で死ぬのだけは

綺麗な貴方を汚すのだけは

『人間』にできる貴方へのアガペー

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