第21話 異界

タタン、タタンと単調なリズムを刻む電車の音がひろみと羽間の一件で疲れきった心身を気怠い眠気が誘う。仲村は古林、ミズホと共に電車で羽間の住む街へ向かっていた。車窓に流れる沿線の風景は初夏の光を浴びた田畑と民家が疎らに建ち並び長閑なものだった。その光にも朱が混じり始める時刻に差し掛かろうとしていた。長閑な風景を眺める余裕を創ることは今の仲村には難しく、ゆるやかに過ぎる去る時間は仲村の心に焦りと電車の中で待機することしか出来ない苦痛を募らせていた。

 車内に人は仲村達を含めて六人程が乗っていた。ミズホはふくれっ顔で古林が膝の上で大事そうに抱えているバックを睨み、古林は不気味な笑みを浮かべ焼き芋を頬張っていた。仲村は見るからに苛立っていた。古林が仲村を肘で小突き齧りかけの焼き芋を差し出す。要らないと手を振る仲村。この三人組が気になるのか、困り顔の女が時折、チラリチラリと此方を盗み見している。他は口を開け、涎を垂らし居眠りをするサラリーマンやスマホに夢中で素晴らしいフリック捌きで何かを入力している女子学生達だった。

 羽間宅まで電車での移動となった事情には古林がどうしてもミズホを一緒に連れて行くと聞かなかったからだ。仲村は一刻も早く羽間の元へ向かいたかったが、二人乗りの仲村のロードスターではミズホを乗せることが出来ない。嫌がるミズホを一時間近く説得し、どうにか電車に乗せた所だった。ミズホは羽間宅へ行く事は断固として拒否していたがある条件の元、悲壮な表情を浮かべ同行を承諾した。羽間は何を大袈裟なと、古林とミズホのやり取りを見守っていたがミズホの表情を見ていると諦め顔でこれから戦地へ向かう決意を固めている兵士を連想させた。

 仲村は必死で焦る気持ちを抑え車窓を流れる景色を睨み付けていた。

「迷わし神が使えそうだな。うん。神隠しには迷わし神だ。異界にも絡ませられる」車窓の景色を眺めながら、もごもごとまだ焼き芋が残る口で唐突に古林はそう言った。

「へっ!迷わし神?何の話だ?」いきなり出てきた古林の言葉に仲村の声は一オクターブ上がり聞き返す。

「番組だよ。仲村の今度の番組ネタだよ」仲村は一瞬、返す言葉を失い冷たい空気が二人の間に生まれた。

「なんで出し抜けに仕事の話しが出てくるんだ。今は羽間の所へ急いでいるんだ。今、そんな話しを・・・」と言いかけ止めた。此処であれこれと思案してもどうにもならない。思い悩んだ所で事態が進展し疑問が解決する訳でも無いことに今更ながらに気がついた。気を紛らわす為にも今は古林の話に付き合う事にした。

「迷い神とも言うな。宇治拾遺物語や今昔物語集にも出てくる。神隠しの原因とされる神様だ。羽間の拾ってきたネタと絡めれば面白い物が創れると思わないか」

「それは昔から居る神様だろう。由緒正しすぎる。俺の欲しいモノはもっと今風のモノだ。今の時代の物の怪、時代を反映する都市伝説。誰も見たり聞いたりしたこと無い新鮮なモノノケだ。かと言って完全な創作はダメだ。信憑性を持つバックグラウンドは必要だ。現実味が無いと視聴者を引き込め無い」仲村は一気に捲し立てた。

「今更何言っている。元々、内容を変えたの、お前だろう。当初は『都市伝説・ネットを彷徨う電脳妖怪』で行こうって決めていたじゃないか。しかし芸のないタイトルだ。「お前センス無いよな」古林の言葉に仲村は返答に詰まった。古林にタイトルを貶された事もあるが何故、一度ボツにした異界を選んだのか自分でも分からなかった。気がついたら羽間の持ってきたネタを古林に渡していた。その時の記憶が曖昧なのだ。よく思い出せない。原稿封筒を渡した事もその時の状況も憶えているのだが・・・。

「お前の言いたいことは解るよ。だがな、そう簡単には新しい都市伝説など出てこない。亜流やアレンジされたモノが殆どだ。今までの都市伝説だって掘り下げていけば民話、伝承、世間を騒がせた重大事件とか悲惨な事故の類に突き当たる事が殆どだ。今回の羽間のネタは地味だけど展開の仕方次第で不気味さや不条理な恐怖を演出出来ると思うんだが」との古林の言葉で羽間のレポートの内容が頭の中を駆けめぐる、直感的な計算が働く。

悪くない。悪くないな。そうだな、じわじわとした不気味な恐怖を煽る構成も有りか。

 仲村は番組の構成や演出を少し変えることを検討し始めた。番組のプラン変更を考慮に入れ古林の如何わしい与太話にもう少し耳を貸すことにした。それにほんの少しの間だけでもこの抑えようのない焦燥感から逃れられる。平常心を保てると思った。

「それでな。異界の事についてなんだが、仲村はこの世界がどんな構造か考えた事はあるか?」

「この世界?地球の事か」

「今回のネタになっている異界についてはどう思う」

「異界って。古林は本当にあると思っているのか?」

「相変わらずだなぁ。仲村は。このネタも番組素材としか考えて無いんだろうな」

「当たり前だ。異界が有ろうが無かろうが関係ない。視聴者の興味が惹けるネタに育てば良いだけだ」

「俺達の存在するこの世界の構造は本に近いと思っている」仲村の返事にお構いなく古林は話し出した。相変わらず唐突に話題を持ち出して来る。

「本?それ、またお前の思い付き?」

「一部は思い付きだ。でもこの説は全部俺が考えたわけじゃない。部分的に物理学でも可能性が語られている。説明しやすいから本を例にとった」古林は自分のバックの中から一昔前の携帯電話の取扱説明書を取りだした。何で携帯の取説が・・・と仲村は思った。何時も持ち歩いているのか表紙はすり切れ、本文はくたびれボロボロだった。

「この一冊の本が『この世界』だと考えてくれ」適当なページで本を開く古林。ノンブルが百九十ページと百九十一ページの見開きページが広げられた。そのページには携帯電話の機能設定の説明が記載されていた。

「読むんじゃない。中身は関係ない。百九十ページでも百九十一ページでもいい。どちらか一ページが俺たちのいる『この世』だ。このページには俺たちのいる『この世』の全てが書き込まれていると思ってくれ。この取扱説明書は本文が総ページで約四百ページある」古林は取説を持ち上げた。古林が持ち上げた取説を見る。仲村の脳裏にある言葉が浮かび上がる。

「平行世界の事を言っているのか。だとしたら話しが安っぽいな」仲村の問いかけに古林がニヤリと微笑む。

「勘がいいな。まぁそう言うことなのが・・・平行世界も含まれる・・」と話を続けようとする古林の話を遮り仲村は話し始めた。

「それなら、俺にだって説明できる。便宜上その取説の一ページが『この世界』だと仮定すると似たような世界が四百ページ分あるって事なんだろう。う、ううん!」仲村は話しながら古林の言葉に違和感を覚えた。

「『この世』って何だよ?『この世界』とは違うのか」

「今、説明するよ。俺の考える世界構造モデルでは属性の同じページが集まって『この世界』が構築されている。今の例えで言えばこの取扱説明書一冊が俺達の属する世界になる」

「平行世界とは違うのか。では、どんな世界だ」

「続けるぞ。例えばこの取説の百九十ページに我々の存在する『この世』の全てが書き込まれていると思ってくれ。その他の三百九十九ページは『この世』とは視点の異なった世界が書き込まれている」

「ややこしいな。『この世』と『この世界』は違うのか。視点の異なった世界とはどんな世界だ」

「便宜上『この世』って呼称しただけだ。解りやすく例えると今の俺達の存在する百九十ページが『この世』で他のページは『あの世』としよう。『この世』と『あの世』が集まって俺達の存在する『この世界』を形作っている。俺のイメージでは平行世界と表現するより構造的に階層世界と言った方が近いと思う。平行世界は属性の違う世界だ。それは別の本の話しになる」再び取説を持ち上げ古林は更に話しを続ける。

 古林は取説を振り回して講釈をしている。俺以外の人間にもこんな訳の解らないややこしい講釈をしているのだろうか。だからあの取説はあそこまでボロボロになっているのではないかと仲村は思わずにはいられなかった。

「この取説が俺たちの存在する世界だとする。中の本文四百ページには同じ時空系列に属す世界が四百書き込まれている。その各ページ上には更に印象の異なる現実が無数に重なり展開している。属性が同じ世界だから時間や物理法則とかも同じはずだ。だが、違っている所もある。視点が違う。例えば、百九十ページページと百九十一ページの世界は殆ど変わらないが、その世界を構成する物体や人、時間が異なる視点で書き込まれている。しつこい様だが属性は同じだ。極端に違うとその世界の時階層、本にすればページにあたる部分だ。その整合性が破綻してしまう。視点の異なった世界が構築されるのは時階層のゆらぎによるもの

で、そのゆらぎは観測者によって引き起こされている可能性がある。そのゆらぎが新しいページを創造する。世界とは無限にページが増えていく本だ」仲村の戸惑いを他所に古林は自説を一気に語った。

 ガクン。ブレーキの音と共に振動が体に伝わり体が揺れ電車が停車した。ドアが困り顔の女が此方を気にしながら降りていった。ドアが開き外気の生温い風が車内を吹き渡る。乗車客は誰もいない。いつの間にか車内は仲村達だけになっていた。

「・・・古林、まるで解らん。視点の異なった世界とは何だ。印象の異なった現実とは何だ。見方が変われば構成される世界なんて如何様にも変わるんじゃないのか。取説を物語として認識する世界も有ると思う。それじゃ取説の世界ではあり得なくなる。お前が言う観測者ってのは霊能者の事だろ。霊能者が世界を創るのか?」

「赤だ、仲村は赤い色は分かるな」

「あか・・・。赤い色がどうしたんだ。そんな事より質問に答えろ」

「赤い色と聞いてどんな赤を思い浮かべた?具体的に言ってみてくれ」

仲村は古林の表情から自分の問いに対する答えの一部らしいと察した。仲村は今自分のイメージする赤を思い浮かべた。

「林檎の赤かな・・・」

「俺は十二色のクレヨンの赤をイメージして言った」

「そんな事、俺に分かるわけ無いだろう」

「そうだ。分かるわけが無い。仲村の思う赤と俺の思う赤は違う。これが印象の異なった現実だ。そして無数の印象の異なった現実が重なり合って『この世』が構築されている。『この世』は俺達のいるページだ。ほかのページは『あの世』で視点の異なった世界だ。『この世』と『あの世』が集まり一冊の本、俺達の存在する世界が創られている」

「回りくどいな。もっと分かりやすくスパッと説明しろよ」

「当たり前の事だが、俺とお前は違う。お前の赤と俺の赤は違う。お前の体感時間と俺の体感時間も違う。お前の一分と俺の一分も当然違う。俺の現実とお前の現実は違う。現実は人の数だけある。『この世』とは今の俺達が存在する一つのページの上で人々の印象の異なる現実が重なり合っている状態をさす。ここで説明している観測者とは他人の現実を観測した人間の事だ」この後、古林は仲村の疑問、質問を無視し一方的に言いたいことを話しはじめた。

 古林の言っている事を仲村は自分なりに分かりやすく整理し考えてみる。世界が生成される必要条件には人間の創り出す現実が必要不可欠で、人間達から生み出される幾つもの現実は主観空間と主観時間で構成されそれが重なり合っている。古林の説明する世界とは階層状の構造をしており、その中の無数にある階層の一つに今の自分が存在する『この世』がある。人の数だけ現実が存在し重なり合って『この世』が構成されている。『この世』とは自分の存在している世界の

一部を指し、『この世』と『あの世』が集まり自分の属する世界が創られているらしい。通常、人は無数の重なり合った現実を通して『この世』を認識しており、他人の現実には有る程度は干渉する事は出来るが入り込む事は出来ない。異界発生のメカニズムは何らかの要因でその世界の中に新たな視点もしくは観測点が持ち込まれた結果、干渉震が起こりその世界を振るわせ歪みや揺らぎが発生する。その揺らぎや歪みを吸収し時階層の整合性を保つために新たな視点の異なった世界が創り出される。それが古林の言う『あの世』となる。

 構造的には世界は本だ。一言で言えばこうなる。

 仲村は古林の話を自分なりに分かりやすく自分の言葉に変換し頭の中で反芻していた。

しかし、半分も理解出来ていなかった。古林の説明する事がイメージ出来ないのだ。大体他人の現実を観測するとはどういう事なのかまるで理解できない。言葉の使い方もややこ

しい。視点の異なる世界、印象の異なる現実、『この世』だの『あの世』、それに古林の創った造語らしき言葉。聞き返す気にもなれない。一つの単語の説明だけで半日も古林の講釈を延々と聞かされそうだ。

「仲村は見方が変われば構成される取説の現実など存在しなくなると言っていたが観測するものは同じだ。見ている物が同じ物なら問題はない。取説の体裁なのに中に小説やまるで違う物が記述されていれば取説ではない。同じ物を読んでどう感じようが問題はない。取説を物語と認識する視点こそが新しいページ、すなわち視点の異なった世界を創り出す」

「一つの世界として成立するために大切な条件は本として例えるなら体裁が取説としての属性であって、どんな見方をしても問題ないと言うことか」

「そのことで世界と言う構造体に与える影響は無い。新たなページが増えるだけだ・・・と思う。まだまだ観察が必要だ」

 仲村にとって古林の受け答えはスッキリしない。当たり前だ。彼奴は思いつきで話している。おまけに断定口調だ。根拠の無い推論や仮説で話している。昔からだ。古林はまず答えを見つける。しかし不思議と古林の見つけ出した答えは殆どが正しかった。答えを出すまでのプロセスを全く無視するか飛ばす。過程を合理的に説明してくれない。それで仲村は古林の理屈を聞く度にいつもイライラさせられる。

 仲村は古林の表情を盗み見た。まだ何か言い足らない様子だ。このままでは訳の解らない説明が延々と続くことになる。だが、何か引っかかる。今の古林の説明で何か引っかかる物を感じる。何処だ、そこは・・・・。もう少し古林に怪しい自説を展開させる事にした。突っ込み所が見つけられるはずだ。

「世界が本に近い構造だと思う事にする。すると異界とは何だ。お前からはまだ説明を聞いていないぞ」

「『この世』とは今の俺達が存在する現実だ。異界とは世界の理によって打ち捨てられた現実だ。ただ異界と言っても同じ世界の時階層に属する一部だ。俺達の存在する現実とは極端な違いはない。異界を体験した者は自分たちの現実になり損ねた現実を垣間見たのさ。不完全な印象の異なる現実と言ってもいいだろう。お前の言う平行世界は別な本だと考えてくれ。属性の違う他の世界だ」

古林は相変わらず期待を裏切る返答だ。それも自慢げに。どうせならSF小説みたいに別次元だのパラレルワールドだの宇宙人だのそんな言葉を微かに期待していたが何だ、今の説明は。絶対煙に巻かれている。複雑すぎて理解出来ないと仲村は頭を抱え込んでしまった。それに新たな心配事も増えた。視聴者に異界の事をどう説明する。古林の説なんか分かり易く説明できない。

 ドサッ!鈍い音が古林の脇から聞こえてきた。ミズホが床に崩れ落ち体を丸め呻いていた。

「どうした?」仲村はミズホを抱き起こした。紫色に変色した唇で注射を打たれる寸前の子供のような表情で中を見つめていた。しっかりしろと仲村が呼びかけるが反応がない。焦点の合わない目でじっと中を睨んでいるだけだった。仲村はどうして良いか分からず救いを求め古林の顔を見た。

 その瞬間、脳を締め付けられるような圧迫感に包まれたかと思うと、突如として激しく冷たい雨に打たれるような異常な感覚に襲われた。瞬きするほどの時間だったが体が芯まで凍えていた。身を切るような冷たい雨が通り抜けて行くような生々しい感触が体の隅々に残っていた。タタン、タタンと一定のリズムを刻む電車の走行音が三人しかいない車内に響いている。

「今の・・感じたか」古林と目を合わせる。古林は何も言わずバッグを抱え蒼白な顔色で唇を震わせていた。仲村は、目を細め周りを見渡した。車内には何の異常も見受けられな

い。車内の何処にも濡れている場所は無かった。しかし、何かが違っていた。目を擦り再度見直した。何処とは言えないが何かが違うのだ。さっきまで見ていた車内の眺めが違って見える。車内刷りもポスターも今までと何処か違う。色が違う、音が違う。リズムが違う。

 体の中で生理的リズムが狂い初めていると仲村は感じていた。何処が違うのかと問われれば仲村には答える事が出来ない。仲村の五感が全力で違和感を訴えていた。車窓から入り込む夕日が車内を黄色っぽい朱色で染め上げている。駅への到着を告げるアナウンスが遙か彼方で聞こえてくる。電車の軋む制動音もアナウンスの声もホーム

に入る電車のタイミングもどこか微妙にズレていた。電車が震えガクンと仲村とミズホの体を後ろへ押しやる。前方にホームが迫ってくる。びっくりするほど大きな制動音と車体の軋む音と共に電車は止まった。

 夕日で茜色に染まったホームには乗車客の姿は見えず、駅員と思われる人物が一人、電車の到着を見守っていた。その光景に仲村は現実感を失う。

 夕日を浴びた駅員らしき人物は首が無く服は大量のぬらぬらした血やはみ出した内蔵にまみれ鈍く光っているが、辛うじて制服と認識出来た。どうやって直立姿勢を維持しているのか不思議な程グチャグチャだった。唯一現実感を伴うものと言えば仲村の腕に抱かれたミズホの涎の冷たさと不快感だった。古林は車窓越しに駅員に一瞥を投げると、ミズホを仲村の腕から抱きかかえると電車から出て行った。呆然としていた仲村も慌てて古林の後を追う。ホームのベンチにミズホを座らせると仲村と古林は首ナシ駅員をしげしげと眺めた。首ナシ駅員は電車の脇に静かに佇んでいる。古林は仲村と目が合うと肩をすくめて見せた。仲村も敢

えてホームに佇むアレが何なのかは聞かなかった。仲村にとって生まれて初めての心霊体験だった。不思議と恐怖は感じなかった。今の仲村は何が起きても、何を見ても狼狽して古林に説明を求めるような事はしなかったし、する気さえも起きなかった。自分の常識も感覚などまるで役に立たないことに気づき、何が起きているのか理解しようとする事を諦めたようだ。

 ここは異界だ。いつの間にか俺達は異界に入り込んでいる。仲村はそう思った。古林はミズホに呼びかけ始めた。頬を軽くペチペチと叩きながら名前を呼ぶ。意識は取り戻したがミズホは酩酊状態だ。古林と仲村は力の抜けたミズホを引き摺りながらホームを後にした。

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