死臭がする
津波で倒壊した石花市渡並区の大型スーパー
ヨークヘギマルをご存知だろうか。
特筆すべきは、
建設業者が再建に着手するも、霊現象が頻発し工事がストップしてしまった事だろう。
建設業者は次々と入れ替わり、四社目の業者が窓ガラスを入れたところで現在もそれ以上は手がつけられていない。
当事者が知るヨークヘギマルの霊現象は背筋の寒くなるものばかり。
・工事中、人々が逃げ惑う声が聞こえる。
・カートを押すガラガラという音が聞こえる。
・何者かに肩を叩かれる。
上記のような、
我慢すれば工事を続けられるものから
・身体が重くなる。
・何かに掴まれる。
といった業務に支障をきたすものまである。
しかし実際
業務に支障をきたした1番の原因は、
瓦礫とともに漂っていた強烈な動物の腐った臭におい。
ー死臭だろう。
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石花タクシー車庫
車両清掃員は、洗車中
タクシー後部座席から漂う死臭に眉をひそめた。
「鈴木さん・・あんた乗せた?」
タクシー運転手(61歳)は、
乗務日報の「不足金あり」と記載された部分を指でトントンと突いた。
幽霊をタクシーに乗せると、
シートが海水に濡れていたり
死臭が漂っていたりとする。
「嫌だなぁ・・、これなかなか消えないんだよな。」
霊が残した臭気は、消臭剤でも消せないのが特徴だ。
「頑張れよ、塩撒けば消えるってから。」
「そうかぁ~・・。塩ねぇ~・・。」
洗車の工数が増えるじゃねぇか、と言う言葉を飲み込み、清掃員はいぶかしげに掃除にとりかかる。
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