無数の小さな手
がれきと化した石花市門中町。
高台にある石花幼稚園
園は地震が起きた直後、園庭に避難した子どもたちが不安に苛まれ泣き出し、寒がったりした為、親元に早く帰そうと送迎バスを出発させた。
14人を乗せた送迎のワゴン車が園を出、運転手が大津波警報に気づいたのは7人目の園児を降ろした直後だった。
ワゴン車は高台にある園に引き返す途中、大津波に巻き込まれたのだ。
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園児は13日、変わり果てた姿でワゴン車の周囲で見つかった。
運転手は一命を取り留め、
同乗していた女性職員は現在も行方不明。
「高台にある幼稚園に残っていれば助かったのに・・、どうして送迎をしたのか。」
「子どもは大人を信じてバスに乗ったはず。
それなのに何故。」
この判断に園児の遺族はやるせなさを募らせた。
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「お客さん、霊感はあるほうですか?
ここから先、子供が窓を叩くので少し騒がしくなりますが・・。」
まだ片付けられていないワゴン車の側を走行するタクシー。
ドライブレコーダーは、窓に無数の小さな手をとらえていた。
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