第4話 ハイボールの作り方研究

ハイボールを作るときって、どういうふうに作りますか?


ほとんどの人はまずグラスに氷を入れて、その後にウィスキーを入れてから、最後に炭酸水を入れて混ぜる。

このような順番でつくるでしょうし、本やネットでもこの作り方が正しいと掲載されてますね。


たしかに、この作り方でもハイボールは作れますが、数年間に何万杯となくハイボールを作ってみて、1つだけ問題点がある事に気が付きました。


それは、氷の入ったグラスにウィスキーを注ぐ時に、必ず氷がかなりの量が溶けてしまう、という事です。


なんだ、当たり前の事じゃないか!と思うでしょね。

しかし、俺が思ったのは、溶けた氷の水と混じり合ったウィスキーを炭酸水で割る、ということは、ハイボールのほとんどは、ウィスキー水割りをさらに炭酸水で割ってるという事ではないか!

ハイボール専門店の店主の俺は、納得ゆかない現実にぶち当たった!


氷がウィスキーに触れると氷は溶ける。

その当たり前の事に着目して、その当たり前の事が本当に正しい事なのか疑問を持ち、そこに問題点があれば解決したい!と思う事によって文明の進化があるんです。

たかがハイボール1杯作るにしても、より美味しいものを追求する姿勢が、ハイボールを進化させるし、またハイボールを作る人をも成長させるんですね。


では、氷の入ったグラスにウィスキーを入れても氷が溶けないようにするにはどうするか?

そうです、ウィスキーをキンキンに冷やして注げば解決です、と思ってますよね。

では、試しにやってみましょう。


いかがでしょうか。

ウィスキーをキンキンに冷やして氷の入ったグラスに注いでも、けっこう氷が溶けてしまう事に気が付きましたでしょうか。

これにはちゃんと理由があります。


その理由は、アルコールが水と交わる時に「希釈熱」という温度が上昇する現象がおきます。

その時に約3度、温度が上昇します。

ですので、氷にウィスキーを直接ふれさせると氷がかなり溶けてしまうのです。


ウィスキーとグラスをキンキンに冷やす事で「希釈熱」を最小限に抑える事もある程度はできますが、それでも氷はけっこう溶けてしまいます。


そこで、俺が考えたハイボールの作り方を紹介します。

グラスに氷、その次は炭酸水、そしてウィスキーを注ぎ右回転に1回だけ混ぜる。


これが俺のハイボールの作り方です。

氷はほとんど溶けないし、ウィスキーを最後に入れる事で、ハイボールの上の方が少し味が濃くなり、ウィスキーの味わいを楽しみやすくなります。

また、飲んでるうちにウィスキーと炭酸水はしっかりと混ざるので、かき混ぜる回数は右回転に1回とし、炭酸が逃げるのを極力抑えます。


今晩の晩酌は、このハイボールの作り方で楽しんでみて下さい。

昨日とは全く違うハイボールの美味しさに驚くはずです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る