第2話 ハイボール用の炭酸水を飲み比べ

銀座でハイボール専門店として飲食店を経営しているが、オープン当初は日本酒専門店だった。

今でこそ日本酒全盛の時代だが、5年前は日本酒はまったく売れなかった。

そこで思いついたのが、当時ブームになりつつあったハイボールだ。


たまたま友人が俺の自宅に飲みに来た時に、缶のハイボールを買って来て飲んだのがキッカケだった。

ウィスキーは悪酔いするハードな酒との先入観があった俺は、その缶のハイボールの炭酸の喉越しと、ほんのりした甘みや苦味に感動を覚えた!

これだ!ハイボールを売ろう!

潰れそうだった店の存続への一筋の希望を、そのハイボールに感じた。


その日からハイボールの研究が始まった。


まずは、ネットでハイボールとして美味いと人気があるウィスキーを購入。

毎日、炭酸水で割って飲んでいたが、なぜだか美味く感じる日と、あまり美味くない日があった。

初めは俺の体調のせいかな?と思っていたけれど、もしかしたら炭酸水がハイボールの味に影響してるかも、と気が付いた。


美味しいと感じる時は、開けたばかりの炭酸水の時。

美味くないと感じる時は、前の日の残りの少し気が抜けた炭酸水。


その時に、まずは炭酸水から研究しないと、商売として売れるハイボールは作れないなぁと思い、当時入手できる全ての種類の炭酸水を飲み比べした!

飲み比べすると同時に、ネットで炭酸水の事を調べ尽くした。


そこで、面白いエピソードを発見した。


ハイボールは氷が入った冷たい飲み物だが、100年前くらいからハイボールの原型がすでにあった。

それは、シャーロックホームズのある話の中で、来客にウィスキーに常温の炭酸水と思われるものを入れて提供している場面がある。


それから、酎ハイは焼酎の炭酸割りだが、酎ハイの名前の由来は「焼酎ハイボール」

他にも色々あるが、また別の機会にゆずろう。


炭酸水を色々とテイスティングしてみると、その味わいや喉越しに、かなりの違いがある事が分かる。


製法にしても差がある。大きく分けて3種類。

1、湧き出てる時から発泡しているミネラルウォーター系炭酸水。

2、湧き水が原料で後から炭酸を注入する炭酸水。

3、混じりけのない純水から作った炭酸水。


そのうちもっともハイボールにあう炭酸水はーー!


人それぞれだ!


炭酸水の原料の水によって、舌触りの柔からかさがけっこう変わる。

まろやかな味わいは軟水。

キリっとシャープな味わいは硬水がいい。


炭酸の泡の細かさも非常に大切だ。

炭酸水の泡の大きさは、ハイボールを口に含んだ時のファーストコンタクトになるので、店でハイボールを提供する時の最重要項目といえる。

細かい泡の炭酸水は、ウィスキーの味が分かりやすく、お酒そのものの微妙な味わいを楽しめる。

大きい泡の炭酸水は、淡麗でシャープな喉越しになり、ビールの代わりとして気軽に飲みやすい。


最後に、選んではいけない炭酸水は、すぐに気が抜ける炭酸水だ。

品質の悪い炭酸水は、氷の入っているグラスに注いだ時点で、ある程度の炭酸が抜けてしまい飲んでるうちに微発泡の水割りみたいになり、非常に残念な結果になりかねない。

激安で売ってる商品によくありがちだ。


炭酸水といってもそれぞれ個性があるので、同じウィスキーを違う炭酸水で割って飲み比べるのも、味わいがかなり違ってくるので、楽しく飲める。

そうする事によって、自分の好きな炭酸水が発見できるし、自分が狙った味わいのハイボールを作り出せる。


ちなみに俺が選んだ炭酸水は、純水から作った強炭酸のものだ。

炭酸がしっかりと水に溶け込んでいるので、喉越しすっきり!

純水なのでお酒の味もそのままで味わえる。

最後のひと口までしっかり炭酸が残ってるので、飲みきった時の満足感がある。


皆さんもぜひ、炭酸水の飲み比べをしてみてはいかがでしょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る