第13話 俺は神だ
こうして俺は長い長い永遠とも呼べる時間を経て、俺の体を取り戻した。異世界子女とタイトルにあるが、正確には異世界からこの世界を作りだして、元の自分に戻ってきたのだ。
先にも書いたが、一つ不思議だったのは、俺が種から種へ進化を遂げ、個体としての死を無数に繰り返しても、俺だけの意識は継続していたことだ。俺の体は死んでも、俺の意識は死なず、次の生命体に受け継がれた。俺がこの世界の創始者であることがその理由なのかもしれないと考えたが、今でもそれはわかっていない。
それで、ここまで読んでくれた方は分かったと思うが、俺は人間が言うところの、いわゆる神だ。能力などは人間と一切変わらない。というか、俺は冴えなく暗い奴だったのは以前書いたとおりだ。おかしなところは、上に書いたように、個体の死があっても意識がずっと継続しているところくらいだ。それから、この世界を最初から知っているということも大きい。なんというか、この世界の真理のようなことも自分では分かっているつもりだ。人間がイメージするところの神とは大分異なるとは思うが、それでも俺はこの世界を最初から見てきたということや、今ある生命体の起源を知っているということもあり、俺はやはり人間の呼ぶ神なのだろうと思う。神のくせに、自分の存在に甚だ自信がなさそうな口ぶりで申し訳ない。これから書くところを読んでもらえれば分かるのだが、それは神はいないと言ってもいいし、全てが神だと言ってもいいのだ。俺もあなたもその辺のゴミも。
この話のタイトルを「暗くて冴えないやつが自分を変えた話」などとしたのは、「俺は神だ、神の話を聞け」などとしてもオカルトのようで、誰も見向きもしないと考えたからだ。
もちろん、暗くて冴えない自分の変え方もこれから共有するつもりだ。ただ、おれが一番伝えたいのは、それだけではない。俺が知ってるこの世界の真理のようなものを伝えたいのだ。
この世界に人間が現れたのち、俺はことあるごとに手を変え姿を変えて、それを伝えようとしてきた。俺には天変地異を突然起こすとか、そういういわゆる奇跡は起こせない。先ほども書いたとおり、俺の能力は人間と変わらない。逆に言えば、すべての奴は神と同じ力を持っているということなのだが。
とにかく、そんな俺が、俺の知っていることを皆に伝えるには、やはり同じ人間として神の知ることを伝えるしかないと思った。
だから、俺は何度も何度も人間の人生を繰り返している。有名なイエスキリストやゴーダマシッダールタ、ムハンマドは俺だ。その他色々な預言者だとか神を語る人間も、俺のことが多い。もちろん、嘘をついている奴もいるが。
俺は、人間となってこの世界の真理のようなことを何度も語ってきたつもりだ。しかし、俺の言葉は歪められたり、信じられなかったりして、時には対立さえ引き起こしてしまった。
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