第2話 伝説の二人の逃亡

世界中の人が二人の結婚という噂に驚いた

それはそうだろう。

 何度も街や国を救ってきたあの二人が結婚という噂に皆んなが夢中になった。

「剣神様と魔帝様が結婚!? 本当かそれ!?」

「凄いお似合いじゃないの! お二人とも顔立ち整ってるから並んだら絵になるわ!」

世界中の人がこう口々にこう言った。


 そしてやはり一番気になるのはあの話題だった。

「剣神様と魔帝様のお子さんはどんな子になるんだろう?」

「やっぱりあの二人に似てかわいかったり、カッコよかったらすると思うけど……」

「やっぱり気になるのは剣と魔法どっちが強いのかだよね!」

「男の子だったら剣術じゃない? で、女の子だったら魔法!」

「いやあの二人の子だぞ? どっちも凄いかもしれない!」

「それでもやっぱり……絶対凄い才能があるのは間違いないわよね!」


 人々は二人の子供について興味津々だった。

これはいろんな国の王様もそうであるようで、二人がどこで結婚式を挙げ、どこで子供を産むかが問題となった。

 やはり一番可能性のある国は、二人の出身国であるバンコク国である。

 だからそこの国の王や貴族達は喜んだ。

「我が国で強い子が生まれる。しかもあの剣神と魔帝の子だ!」


 しかし、剣神と魔帝は自分の子をそんな国のメンドくさいところに関わらせたくなかった。


 そして、剣神と魔帝は行方不明になった。

いや、行方不明といったら語弊がある。

場所はわかっている。

二人が一緒に暮らしていたはずの家には家具が一つもなくなり、代わりに床には手紙が落ちていた。


 ――魔の森に引っ越します。用があるなら探してください――


 こう書かれていた。

 魔の森とは――大陸の中でも最も危ないとされる場所である。

その森には危険な魔物がうじゃうじゃといる。

 普通はそんな所に引っ越して生活なんて出来るわけない。

しかし、剣神と魔帝なら出来るかもしれない。


 こうして、剣神と魔帝は行方不明になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る