第28詩 燃える氷
砂の上 蟻の行列 通せんぼの水たまり
大きなお菓子を運んでいる一匹の蟻 水に湿らせて重くなる
身動きができず お菓子と一緒に溺れる
お菓子を持ち上げ 助ける僕 それは善意でもなく
ましてや悪意ではなかった ただ 助けたかった それだけだ
溶け続ける氷 決して燃える事のない僕の内側
冷たくもなれず ただただ溶ける
せめて燃えながら溶けたい心 そう思うのはわがままな事だろうか?
溶けたアイスの様に 中途半端なままなのは嫌だと言いながら
地面に落としたアイスのかけら
蟻が即座に群がってくる とても生命に溢れ そしてもったいないとため息を吐く
次はかき氷を食べようか お腹を壊してしまうかな
それでも食べたいんだ なぜか 心が熱いんだ
これが燃えているって事だろうか いや ただ暑いだけだろう
昨日友人が引っ越してしまったからかな もう会えないわけではない
電話をすればいい ただ 寂しさを噛みしめて
冷めた氷に火をくべる 友人は言ったんだ 悲しまないで
そう 僕は燃えるべきなんだ そう思いながらかき氷を食べる僕
ファタモルガナ 旋律 雲海 @senritu
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