ニーチュ
ノブ
■
「ゴギャギグゲグゴグギャギギャギ……」
目の前の。僕をにらみつけているニーチュが出す不気味な声が、天井の高い石造りの部屋内に反響していく。
この声は、村の中で何度か見たことのある『機械』と呼ばれる道具が出していた音に、どこか似ていると思った。
「ギャギ……ギャギ……」
一発で僕を仕留める事ができなかった事にいらだっているのだろう。箱状の初期形態に戻り、再び複雑化した姿へと変わる。
鋭いツメのようなものでガリガリと地面の石をひっかきながら、大きく円を描くようにしてジリジリと僕から離れていく。
さっきは危機一髪ではじき返す事ができたが、もしヤツの攻撃が直撃していたら自分の命はすでに無かったと思う。
これほどまでに強化、進化させたニーチュの使い手も、その命を散らせたのだ。僕に14体目を倒す事などできるのだろうか。
キリキリと弓を引くような動きからニーチュはぴたり、と止まり「次は失敗しない」と言わんばかりに僕に刃先を向けている。
僕のニーチュの性能を把握されればされるほどに、ヤツを倒す事は困難になる。次の突進での反動力を活かして確実に破壊する。
「ギャギッ!」
鋭い声とともに、親指ほどの大きさだったニーチュが狂気の速度で目の前に迫ってくる。先ほどとは微妙に武器部分の形状が違う。
1年前の。13歳になった夜に村長からもらった僕のニーチュを、ぎゅっときつく握りしめ直した。
ニーチュ ノブ @nobusnow198211
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