第508話 カイザークラーケン出現!

 アオイ:皆さんおはようございます、ナレーターのアオイです。惑星ウナバラにて関さ・・・じゃなかった!カミラさんに出会ったアリスさん達。その後漁の様子を視察する事になったのですが、そこへ突如暗雲が立ち込めて現れたのは・・・


 魔界時間5:56 惑星ウナバラ 次元国境海域エンペラートライアングル

 

 アリス:ここって確かこの国と私の国とシャークハルト共和国の3カ国をまたいで回遊してる巨獣カイザークラーケンの縄張りなんですよね?


 カミラ:はい。


 ヴィオラ:関さ・・・失礼しました。カミラ様、見たところ周囲に沢山の漁船が停泊していますが。漁などして大丈夫なのですか?

 

 アリス:ヴィオラ姐さん・・・


 カミラ:それは問題ありません。私達は事前にカイザークラーケンの回遊周期を把握しているのでそれに合わせて漁をしているのです。それに、こんな危険な海域で漁が出来るのは我等人魚族とサハギン族くらいですからね。


 千夜:まぁ、そうだろうね。それはそうと関さ・・・あ、ごめん。


 カミラ:千夜、お前まで何なんだ?その関羽というのは?


 千夜:ごめん、皆んな言うもんだから。それより、こっちにクラフトワーム来なかった? 


 カミラ:いや、来てはいないが何故だ? 


 千夜:だってほら、クラフトワームにとってカイザークラーケンは・・・ねぇ。


 カミラ:あ、そういう事か。


 アリス:ん?カイザークラーケンとクラフトワームは何かあるんですか?


 カミラ:カイザークラーケンとクラフトワームの2種の巨獣は太古の昔から犬猿の仲なんですよ。顔を合わせる度に喧嘩になって大変なんですよ。

 

 アリス:えっ!クラフトワームって泳げるの⁉︎


 カミラ:クラフトワームは地中に空気が無くても生きながらえる様に空気袋が体内にありますし、皮膚は耐水性に優れているので海中も移動出来るのです。


 突然ぽてとが座り込み振動を始める


 ぽてと:お〜っ!来るよ来るよ〜、ミミズさんが来るっすよ〜!

 

 アリス:えっ⁉︎


 船員:関さ・・・失礼しました、カミラさん! 


 カミラ:どいつもこいつも、まぁいい。どうした?


 船長:シャークハルト共和国より緊急通信!シルフィード王国へ向けて進行中のカイザークラーケンが突然方向転換し、我が国に向けて進路を変更しこちらへ向かって猛スピードで進行を開始しました‼︎


 カミラ:なんだと⁉︎


 ぽてと:プモモモモモモッ!

 

 船長:帝王の寝所よりゲートアウト反応!間も無くカイザークラーケンが出現します‼︎


 周囲に暗雲が立ち込める


 アリス:て、天気が急変した⁉︎


 カミラ:これは間違いなくカイザークラーケンが出現する前触れ!


 船内の通信機で全漁船に向けて呼びかけるカミラ


 カミラ:こちらカミラ、全漁船に告ぐ、たった今カイザークラーケンのゲートアウト反応が確認された。直ちにこの海域より離脱せよ!繰り返す、この海域より直ちに離脱せよ‼︎


 カミラの通信を受けて海域を離脱する漁船群


 カミラ:船長、こちらも離脱・・・  


 帝王の寝所の海面に巨大な渦潮が発生し波が荒れ漁船が大きく揺れる


 カミラ:クッ!遅かったか‼︎


 ぽてと:来たよ来たよ〜!真下に来たよ〜‼︎


『深海 帝王の寝所』


 クラーケン:貴様、よくも余の縄張りに土足で踏み込んでくれたな!


 ワーム:あ?俺様の通り道なんだからそれくらいでガタガタぬかすんじゃねぇよ!


 クラーケン:貴様、喧嘩売ってるのか?


 ワーム:ああん?そりゃこっちのセリフだろうが!上等だ、やんのかコラ!


 クラーケン:望むところだ、今日こそ長年の決着をつけようではないか!

 

『海上 漁船内』


 カミラ:マズいな、まさに一触即発だ。


 船長:それにしても妙ですね、カイザークラーケンとクラフトワームの喧嘩は毎度の事なんですが。例年なら2ヶ月後に鉢合わせして喧嘩する筈なんですが。

 

 アリス:そうなんですか?


 カミラ:ええ、本来この時期は絶対に接触しない筈なんです。


 船長:カミラさん、シャークハルト共和国大統領官邸より緊急通信です。


 カミラ:繋いでくれ。


 モニターに映るシリウス


 シリウス:無事か?


 カミラ:はい、こちらは今のところ大丈夫ですシャークハルト大統領閣下。


 シリウス:そうか、カイザークラーケンがそちらへ向かったと報せが入ってな。


 カミラ:本船を除く漁船は全て退避が完了しています。

 

 シリウス:うむ、実はカイザークラーケンがシルフィード王国へ空間転移する直前の進行方向に強力な時空エネルギーの反応を感知したと国境観測基地より報告があった。


 カミラ:時空エネルギーがですか?


 シリウス:そうだ、海で無敵の帝王カイザークラーケンにとって時空エネルギーは唯一の弱点。おそらく突如発生した時空エネルギーに驚いてそちらへ逃げ込んだと思われる。


 アリス:・・シリウスさん。


 シリウス:おお、シルフィード殿!何ですかな?  


 アリス:その海域は時空エネルギーが発生する事ってあるんですか?


 シリウス:いや、それは絶対にあり得ません。それに、時空エネルギーが発生するならその海域を縄張りになんてしないでしょうし。


 アリス:そうですよねぇ・・・という事は、という事になりますね。


 シリウス:人為的に・・・か。分かりました、早急に調査を致しましょう。


 アリス:お願いします。


 シリウス:アリス殿もどうかご無事で。


 通話を切るシリウス


 アリス:船長さん、この漁船は時空エネルギーを発生させる事って出来ますか?


 船長:ええ、この船には万が一カイザークラーケンに遭遇した時の対策で・・・そうか、その手があったか!分かりました、直ちに!


 海底に向け時空エネルギーを発生されると荒れた海が穏やかになる


 ぽてと:プモモモ・・・プモ。行っちゃったっす。


 アリス:クラフトワームも時空エネルギーに弱かったりします?

 

 千夜:はい。  


 アリス:だから一瞬で居なくなったんだ。


 船長:シャークハルト共和国よりカイザークラーケンが予定の進路へ向かったとの連絡がありました。


 カミラ:では漁は明日改めてという事で今日は引き上げよう。


 船長:了解です。  


 アリス:(カイザークラーケンの進路を変えた犯人・・か)











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