第501話 惑星ファウムの千夜さん
アオイ:カントリア王国軍と手分けして超巨大ミミズ・・・失礼しました!巨獣クラフトワームを探す事になったアリスさん。彼女が最初に向かったのは酪農の星、惑星ファウムでした。
魔界時間12:25 惑星ファウム 千夜ファーム前
ヴィオラ:陛下、どうして最初にこの星へ?ここには何かお考えがあっての事なのでしょうか?
アリス:うん、ここにはクラフトワームが近づいて来るのを国内で一早く察知出来る生物が生息、正確には飼育されてると言った方が正解かな♪
ヴィオラ:カールトンですか。
アリス:そ、でも成獣じゃダメなんだよね〜。
???:大人になるにつれ察知能力が鈍くなるからですよ。
アリス:あ、千夜・綾上さんですね。その節は妹がお世話になりました♪
千夜:いえいえ、こちらこそ助かりました♪あの子は見知らぬ土地で少しストレス気味だったので杏ちゃん達のお陰でリラックス出来ましたから。
アオイ:この方はカントリア王国5大組合長の1人、酪農協会組合長の
ヴィオラ:大人になるにつれてという事は幼体という事ですか?
千夜:特に赤ちゃんの時が察知能力が優れているんです。あちらの放牧場で母カールトンが仔カールトンを連れて散歩に出るので見てみますか?
アリス:是非!
『放牧場』
母カールトン:ブンモ〜、ブモモフブモブンモ、ブモッフブモモモフブモブンモ、ブ〜ンモ。
仔カールトン達:プンモ〜、プモモフプモプンモ、プモッフプモモフプモプンモ!
ヴィオラ:母カールトンが何かを伝えてそれを仔カールトンカールトンが復唱している様に見えますが、何と言ってるのでしょうね?
千夜:さあ?子連れカールトンは散歩の前には必ずああやって毎日日課の様にしていますが、正直私も分かりません。
アリス:アオイさん、アレ訳せないかな?
アオイ:カールトンはカントリア王国の巨獣キングカールトンの後継種を産む直系眷属ですから訳せますよ。それでは早速音声さん、翻訳フィールド展開お願いしま〜す。
カントリア王国内に翻訳フィールドが展開される
アオイ:はい、フィールド展開完了ですよ〜♪
千夜:ではあっちのグループが始まるので早速聞いてみましょう。
母カールトン:左右見て、一旦止まって確認しよう、ハンターウルフに気を付けよう、さ〜んはい。
仔カールトン:左右見て、一旦止まって確認しよう、ハンターウルフに気を付けよう!
千夜:散歩前の安全確認だったんですね♪
ヴィオラ:ハンターウルフに気を付けようという事はハンターウルフはカールトンを捕食するからでしょうか?
千夜:いえ、ハンターウルフはこの星の生態系を守る警備隊の様な存在でむしろカールトンにとっては強い味方です。
ヴィオラ:では何故?
千夜:ハンターウルフは高い機動力と戦闘能力を持ったフェンリル族の一種でこの星の家畜達の英雄的存在ですが。ただ一つ欠点があって、一度猛スピードで加速すると自分では止められなくなるんです。
ヴィオラ:成る程、激突してカールトンに大怪我をさせてしまうからなのですね。
千夜:あ〜・・・いえ。むしろ逆です。
アリス:逆?カールトンに激突してハンターウルフが大怪我するからですか?
千夜:その通りです。強いて例えるならカールトンの赤ちゃんの平均体重が500トンですから、全速力で走る自転車が走行中の500トントレーラーに激突する様なものです。
ヴィオラ:た、確かにそれは無事では済みませんね。
散歩に出ようとする仔カールトンの群れが座り込み突然震える
アリス:ど、どうしたの⁉︎
千夜:どうやらクラフトワームがこの星の地下にワープして来る様ですね。
仔カールトン達:プモモモモモモッ♡
ヴィオラ:なんだか、充電スタンドで充電中の携帯がマナーモードで一斉に振動してるみたいですね。
アリス:何か気持ち良さそうな顔してる。
千夜:ワームホールが作り出される振動が心地良いんですよ。
アリス:てことはこの地下にクラフトワームが居るって事ですか⁉︎
振動が収まったのか物足りなさそうな顔をして大人しくなる仔カールトン達
仔カールトン達:・・・・プモ。
アリス:ありゃ、静かになった。
千夜:あらら、もう通過して別の星に行った様ですね。
アリス:えっ!もう居ないんですか⁉︎
千夜:この星の作物といえばこの仔達のご飯である干し草の原料だけですからね。作る肥料も少ないのであっという間に配合・散布して行ってしまうのですよ。なんせ時速マッハ50で地下を駆け巡るのですから。
アリス:速っ!
ヴィオラ:では会うのは極めて困難ですね。
千夜:そうでもありませんよ、この星に訪れたという事はそろそろ休息が近いという証拠です。あと一つ星に散布したら故郷の惑星ドジョウで1週間休息して再び活動再開しますから。
アリス:本当ですか⁉︎
千夜:はい、ですからそこに行く前に豊穣の儀式を見て行きませんか?
アリス:豊穣の儀式?
千夜:この国の巨獣キングカールトンが1000年に一度の休眠期から目覚めてこの星に恵の恩恵を与える儀式があるのです。この国のカールトンが一同に集まる壮観な光景が見られますよ♪
クリーム色の物体?に気付くアリス
アリス:それは是非見てみたいです!・・・おや?
ヴィオラ:どうされました?
アリス:あそこ、物凄く大きなジャガイモがある。
千夜:フフッ、あれはジャガイモじゃありませんよ。あの仔もカールトンの赤ちゃんですよ♪
ヴィオラ:あれカールトンなのですか⁉︎
千夜:丸まって寝てるだけですよ。そろそろお昼寝から目を覚ます頃ですね♪
大口開けてあくびする仔カールトン
???:プファ〜・・・よく寝たっす〜♪
アリス:ホントに仔カールトンだった!
仔カールトンを連れて来る千夜
千夜:この仔の名前は『ぽてと』っていうんですよ。寝てる姿がジャガイモに似ててこの仔自身お芋を主食にする程大好物ですからそう名付けました。
ぽてと:ご飯は〜?
千夜:あっちに用意してあるわよ♪
山積みにされたジャガイモに猛スピードで突進するぽてと
ぽてと:ジャガイモっすーーー♡
千夜:1日100トンのジャガイモを食べるんですよ〜♪
ヴィオラ:ひゃっ、100トン⁉︎
千夜:そうだ!この仔を連れて行きませんか?あの仔がこの国の仔カールトンの中で1番察知能力が高い仔なんです。
アリス:お借りして良いんですか?
千夜:勿論です・・・ただ、お勧めしておいてなんですが。あの仔お芋ばかり食べてるせいか、よくオナラをするんですよ。
アリス:あ、聞いた事ある!植物由来の天然ガスを出す種類のカールトンですよね?まだ次元エネルギーが研究される遥か昔まで貴重なエネルギー資源だったんですよね?
千夜:はい。魔界では価値が無くなりましたが、天界では今でも高額で取引きされています。高額の理由はガスエネルギーとしての加工処理に手間がかかるというのと、お芋を好む種類が極めて少ない、いわゆる希少種であるという事です。
食べ終えて戻って来るぽてと
ぽてと:お出かけっすか?
千夜:明日は大事な儀式があるから明後日ね、このお姉さん達のお手伝いをしてほしいの。良いかな?
ぽてと:オッケーっす♪
千夜:ちゃんとお手伝い出来たらご褒美あげるからね♪
ぽてと:ご褒美♡
千夜:陛下、お部屋をご用意してありますのでこちらへどうぞ♪
アリス:一晩お世話になりま〜す♪
次回へ続く・・・
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