第460話浮上するクリスタルレイク巨大遺跡(後編)
アオイ:巨大遺跡浮上と共に目覚めた古代種の巨獣アーマードランス。シーラカンスの様な外見で湖底を悠然と泳ぐその姿は『生ける大陸』の異名を持つ巨獣に相応しいものでした・・・
シルフィード王国入国前日 魔界時間11:00 帝王都サタンヘイルダム
『商業エリア ランドラゴン社社長室』
土竜の獣人:・・・・っと、こんなもんか。
秘書:ペペロンチーノ社長、荷造りは終わりましたか?
ピエトロ:ああ、こっちはもう終わったよ。
アオイ:この方は星間空間管理会社ランドラゴン社社長、ピエトロ・ペペロンチーノさん。種族は土竜の獣人族です。サングラスと葉巻の似合うちょいワルオヤジ風の方です。
秘書:それにしても思い切った事しましたね。本社をシルフィード王国へ移転するなんて。
葉巻を吸うピエトロ
ピエトロ:・・・・・ふぅ〜。どの企業もあそこには高い注目を集めてるからね、幸い同業者はまだ移転に踏み切ってないから絶好のチャンスだと思ったんだよ。チャンスは絶対に逃してはいけない・・・そう、ビジネスチャンスも美女もね♪
秘書:・・・・奥さんに言いますよ?
ピエトロ:おっとぉ!これは参ったな。それはそうと社内の方は準備終わってる?
秘書:ええ、あとは社長室だけでしたので。
ピエトロ:業者は?
秘書:既に運び込みは終わっております。
ピエトロ:じゃあ、行こうか♪
『翌日シルフィード王国王都アイリス 商業エリア新社屋』
ピエトロ:う〜ん!良いね、真新しい社屋っていうのは♪
秘書:『女房と畳は新しい方が良い』ですか?
ピエトロ:そうそう・・・って!君そういうのホントやめてくれないか。
社長室に入る
作業員:失礼します。インターネット接続作業終わりました!
ピエトロ:ご苦労さん♪
秘書:おや?シルフィード王国王室から緊急通信ですよ。
ピエトロ:繋いでくれ。
宙に浮いたモニターに映るアリス
ピエトロ:これは!女王陛下御自らとは。
アリス:良かった、無事移転出来たんだね♪
ピエトロ:緊急通信とは穏やかじゃないですね〜、何かあったんですか?
アリス:あ、そだ。実は困った事があって。ウチの科学大臣を筆頭とした遺跡の調査チームが閉じ込められて困ってたんだよ〜!
ピエトロ:何でまたウチに?
アリス:先日クリスタルレイク巨大遺跡浮上に伴って湖底に眠ってた古代種の巨獣が目覚めちゃって困ってるんだよ〜。アオイさん詳しい説明お願い!
アオイ:はいは〜い♪アーマードランスは魚型の古代種の巨獣。体長体重に関しては前回を参照していただくので割愛させてもらいますね、この巨獣は次元空間内に巣を作る習性があって外敵から身を守るために分厚い次元の壁を作って外敵の侵入を防ぐのです。空間の厚みが凄くて次元転移はおろか、物理的にも侵入不可能な状態になってるようですよ。
アリス:私の妹の杏が巣を作る前に入ったから一緒に閉じ込められちゃったの。遺跡の発する次元エネルギーの影響で彼処の空間自体が不安定になってるし、そのせいで通信も出来ない始末なんだよ〜。
ピエトロ:成る程、事情は分かりました。その依頼、お受け致しましょう♪
アリス:ホント⁉︎ありがとう♪そんじゃ、ヨロシクね!
通話を切るアリス
秘書:安請け合いして大丈夫なのですか?女王陛下に恩を売るのは私も今後の経営に良い影響を与えるので反対はしませんが。
ピエトロ:おいおい、
秘書:まったく、貴方という人は・・・社長のそういうトコ好きですよ。勿論、社員の皆さんもね♪
ピエトロ:さあ、本社移転後の初仕事だ!
秘書:でも今日は新社屋移転で昨日休日出勤してたので皆さん代休で休んでますよ?
ピエトロ:誰が休暇中の社員を呼び出すって言ったんだい?
秘書:まさか社長お一人でやられるおつもりですか⁉︎
ピエトロ:君だってこの後大事な式があるんだろう?新郎さん待たせちゃいけないぜセニョリータ♪
秘書:社長・・・
ピエトロ:さ、行くんだ。女が一生一度の晴れ舞台、絶対に遅れちゃ駄目だ!
秘書:・・・・はい!
社長室を出る秘書
ピエトロ:さて・・・
『1時間後シルフィード王国領 クリスタルレイク湖畔』
ピエトロ:こいつぁ、酷い。かなり厚い次元の壁だ。こんな分厚いのは会社立ち上げた時の初仕事以来・・・いやぁ、あの空間の変色具合はそれ以上か。それにしてもこんなデッカく分厚い壁を作るとはとんだバケモンだな、アーマードランスってのは。
『同時刻 クリスタルレイク湖底』
アオイ:ここからはハルさんによる翻訳モードでお届け致します。
ランス:
杏:こんにちはです、おじいちゃん!
ランス:こりゃまた、
杏:じいちゃんのおはなしききたいです。
ランス:おいの話をか?じゃっどん、おいの何の聞きたいんか?
モニターに映るソフィア
ソフィア:話が聞きたいのは私さね。
ランス:ほぉ、アンタはこん子の
ソフィア:その子は私が仕えてる女王様の妹さ。
ランス:ないな、女王様んトコの
ソフィア:アンタの眠る前から4000億年経っている。今はクラウント王国は無くなり、シルフィード王国になっている。
ランス:ほいじゃったか。で?聞きたか事って何ね?
ソフィア:アンタは今空に浮いてる遺跡について何か知ってるかい?
ランス:遺跡?・・・あ〜、『王都クリスタ』の事じゃね。
ソフィア:王都クリスタ⁉︎じゃあ、旧クラウント王国は魔界宇宙最古の国じゃなかったって事かい?
ランス:おまはんの言い方から考えたらそうじゃっど。
ソフィア:なんてこった!これは4界宇宙史を震撼させる大発見だぞ‼︎
ランス:その国が出来た頃はまだ稚魚じゃったどん、当時の事は鮮明に覚えちょいもす・・・ん?
ソフィア:どうした?
ランス:だいか
『再び湖畔』
ピエトロ:クッ!なんて硬い次元壁だ!俺の自慢の
超巨大な空間掘削艦が穴を開けようとしている
ピエトロ:あれは、ウチの空間掘削艦⁉︎
ピエトロの前のモニターに映る秘書
秘書:社長!手伝いに来ましたよ!
ピエトロ:君達・・・俺の指示もなく勝手に出勤して・・・これが終わったら罰として特別ボーナスと有給消化してもらうからな♪
社員一同:はい!
掘削艦に乗り込むピエトロ
ピエトロ:状況は?
オペレーター:空間をスキャンした結果、複数の次元壁がミルフィーユ状になって重なっているようです。空間掘削の際に出た次元エネルギーを掻き集めて作っている様です。
ピエトロ:まるでビーバーみたいな魚だね。成る程、質の違う次元エネルギーが混ざり合っているから俺のDクローが通じなかったのか。
秘書:この艦の高次元ドリルなら一発ですよ♪
秘書を見るピエトロ
ピエトロ:それはそうと君・・・
秘書:はい?
ピエトロ:君、式場からそのまま来ただろう。
秘書:え?
自身のウエディングドレス姿を見て赤面する秘書
秘書:い、今はどうでもいいじゃないですか‼︎
ブリッジ内から笑い声が聞こえる
秘書:そこ!全員笑わない‼︎
ピエトロ:さて、緊張も解れたところで・・・やるか!
社員一同:はい‼︎
『再び湖底』
ランス:だいか、だいか!おいの寝ぐらに穴開けとんは⁉︎
ソフィア:あ〜、多分私達がアンタの巣の次元壁で閉じ込められたから救出に来たんだろう。調査が終わったら元に戻すからそれまで暫く我慢しておくれでないかい?
ランス:むむぅ、しょうがなかね〜。終わったら元に戻す、約束じゃっど。
杏:あい!
『艦内』
オペレーター:間もなく開通です!
ピエトロ:いっけぇーーーーー‼︎
大きな空間振動と共に次元壁に穴が開く
オペレーター:開通しました、大成功です!
全員:よっしゃーーーーー!
ピエトロ:ミッションコンプリートだな・・・さて皆んな。
社員一同:?
ピエトロ:打ち上げは秘書の結婚式の二次会に乱入って事でどうだい?
社員一同:いっぎな〜し♪
秘書:問題大アリですよ‼︎
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