第408話塔野さん
アオイ:皆さんは幻龍会の一件で目撃者として捜査に協力してくださった人間の塔野さんを覚えておりますか?国土争奪戦争を3日後に控えたこの日の彼女を少し覗いてみましょう。
魔界時間13:00 大統領官邸
侍従長:本日はこのフロアを重点的に清掃していただきます。
清掃員一同:はい!
大統領執務室
ダニエル:あれからもう7年になるか。
魔王秘書:塔野さんがこの国に来てから・・・ですね?
ダニエル:ああ。
7年前 魔界時間11:00 インターポート州コロンブ市 国立次元天文台
天文台職員:所長!強力な時空震を感知しました!
所長:場所は?
天文台職員:市の北部、国道線沿いです!
同時刻 国道線沿い
警官:こちらアーノルド、異常は見られませ・・・・ん?何だあれは⁉︎
無線の声:どうしたアーノルド巡査、応答せよ!
アーノルド:上空に次元の裂け目が!・・・中から・・・じょ、女性⁉︎人間の女性です!
無線の声:直ちに保護せよ!
アーノルド:了解!
大統領官邸 執務室
ダニエル:何?人間の女性を保護しただと⁉︎
魔王秘書:はい、地獄界総合データバンク『閻魔帳』の情報によりますと、大正4年の日本から来たとの事。良心ランクはSS、如何致しましょう?
ダニエル:とにかく一度会って話しがしたい。ここへ連れてくるよう伝えてくれ。
魔王秘書:畏まりました。
20分後・・・
ダニエル:ポリスティア合衆国大統領ダニエル・ハザードだ。
塔野:塔野と申します、以後お見知り置きを。
ダニエル:日本人女性は清楚で礼儀正しいと聞いていたが、噂に違わぬ
塔野:お褒めに預かり恐悦至極でございます大統領閣下♪
ダニエル:君はここが君達の世界で言うところの地獄にあたるが怖くはないのかね?
塔野:いえ、私の伝え聞く地獄とは似ても似つかぬもの。皆さん穏やかで親切で、見た目で判断してはいけないと言うのは万国共通と知りました♪
ダニエル:そうか♪それで、君はどうしたい?君が望むならもといた時代に帰す事も出来るが?
塔野:それでしたら望みは1つ。
ダニエル:何でも言ってくれたまえ。
塔野:私をここで清掃婦として雇っていただきとうございます。既に身内と呼べる者は居らず、頼れる者もおりませぬ故。
ダニエル:つまり我が国の国民になりたいと?
塔野:はい。
ダニエル:・・・・わかった・・・・私だ、侍従長を呼んでくれ。
10分後・・・
侍従長:お呼びですか、大統領閣下。
ダニエル:ああ、今日より彼女はここで清掃員として働く事になった。色々教えてやってくれ。
侍従長:承知しました。
ダニエル:塔野君。
塔野:はい?
ダニエル:その前に色々と手続きがある。先ずは外交省に向かってくれたまえ、そこまでの道のりは彼女が案内する。
塔野:畏まりました。
そして現在・・・
ダニエル:塔野君は今何をしている?
魔王秘書:今日の彼女は休暇中で国土争奪戦争の前夜祭に行っております。
ダニエル:そうか♪
同時刻 国土争奪戦争戦場 ハリコミ州デカチョウ平野
塔野:ここで大統領閣下とアリス女王陛下が戦をなさるのですね。私の故郷の国もこういう戦なら誰も哀しい想いをせずに済んだものを・・・
悪魔族の老人:誰も傷つかず、死なない戦。互いの歌を競い、互いの国の正しき心を持った人間をどれだけ集めてそれを国の『信頼』として高められたかを競う。互いの国が切磋琢磨して勝っても負けても恨む事なく両国の健闘を称え友好を育む。それが魔界の『戦争』ですぞ♪
塔野:そうですね♪
悪魔族の老人:さて、婆さんを待たせてはいけませんな。では失礼。
塔野:はい♪さ、私も出店を見て回りましょう。
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