第407話太古の巨獣(後編)

 アオイ:2体目の巨獣と契約を結ぶべく始まった捕獲作戦。ここで思わぬ事実が明らかになりテジョウ市の危機が再び迫ります。果たして捕獲作戦の行方は・・・


 魔界時間18:00 テジョウ市北西部 シラベ洞穴 上空


 黒部アナ:こちら現場上空です!たった今大きな揺れと共にシラベ洞穴が崩壊し、中からパトライトモアが現れました!


 同時刻 地上


 パトライトモア:グエーーーーーーッ!


 呼応するかのように雄叫びをあげるキドウタイモア達


 キドウタイモアの群れ:クエーーーーーッ!


 再び上空


 黒部アナ:テレビの前の皆さんご覧ください!あれこそが太古の昔に絶滅したとされていた古代種の巨獣パトライトモアであります‼︎現存する巨獣の中では最大級の体長を誇る巨獣です!


 パトライトモア:グエッ、グエーーーーーーッ!


 パトライトモアの号令と共に移動を開始する群れ


 偵察機パイロット:こちらエアホークワン、目標が移動を開始しました!


 テジョウ市北西部1000km地点上空 ビスマルク級輸送艦隊旗艦


 輸送艦隊提督:大統領閣下、偵察機より報告あり!目標が移動を開始したとの事です。


 大統領官邸執務室


 ダニエル:うむ、予定通り作戦を開始してくれ。私も直ぐに向かう。


 ビスマルク級輸送艦隊旗艦


 オペレーター:現在目標は順調に南下中。残り1時間で目標地点に到達します。


 輸送艦隊提督:よし、ケイテキの木を下げるよう各艦へ通達せよ!


 1時間後目標地点


 オペレーター:目標、予定地点へ到達!


 輸送艦隊提督:全艦誘導開始!


 2方向に分かれ誘導を開始する輸送艦隊


 オペレーター:提督閣下、目標直進のまま進路を変えようとしません!


 輸送艦隊提督:なんだと⁉︎


 ケイテキの森上空ポリスティア合衆国大統領専用艦ジャスティスブレード


 オペレーター:大統領閣下!輸送艦隊提督より入電、目標直進のまま進路を変えず真っ直ぐテジョウ市に向けて進行しているとの事!


 ダニエル:どういう事だ⁉︎


 パトライトモア関連データ見るダグラス


 ダグラス:・・・なんという事だ!大統領、テジョウ市中央に湖があります。


 ダニエル:湖?確かにあるが、それが何か?


 ダグラス:草食獣類のみならず自然界の生き物には水飲み場が必要不可欠でよね?


 ダニエル:ええ、まぁ・・・・まさか!


 ダグラス:そのまさかです。テジョウ市中央にあるあの湖こそ、500億年前から存在していたパトライトモアの『水飲み場』だったのです!


 ダニエル:マズイ!それはマズイぞ!


 ダグラス:ええ、このままいくとテジョウ市は壊滅必至!


 ダニエル:何か彼等が迂回する手立てはないのか!


 ダグラス:せめてパトライトモア最大の弱点である『テロリスト茸』があればいいのだが・・・あれはもうこの世に存在しない。


 ダニエル:テロリスト茸?


 ダグラス:パトライトモアがかつて普通のキノコと誤って口にして絶滅しかかった伝説の毒キノコ。毒キノコといってもパトライトモア以外は全くの無害ですが。それ以来匂いを嗅いだだけでキノコを避けて通るようになったとか。


 ダグラス:因みにどのようなキノコですか?


 中央のモニターに映すダグラス


 ダグラス:このような形状で匂いのサンプルも手元にありますが、これだけでは量が絶対的に足りません。


 小雪:おんや?このキノコ・・・


 ユキ:小雪様このキノコをご存知で?


 小雪:ばっちゃんちのやまでみたことあんべ。ユキ、ばっちゃをよんでくんろ。


 ユキ:承知しました。


 ユミルに切り替わる


 ユミル:ん、どうした?小雪。


 小雪:ばっちゃ、ばっちゃんちのやまにこのキノコあったべな?


 ユミル:・・・ああ、このキノコか?それなら売る程あるぞ。大昔に比べたらだいぶ小さくなったがな。多過ぎて困ってるくらいだ。


 ダニエル:小雪ちゃん、代わってくれ。


 小雪:ほ〜い。


 ダニエル:お初にお目にかかります。まさか小雪嬢のお祖母様がかのユミル様だったとは!


 ユミル:良い、本題に移れ。


 ダニエル:はい、そのキノコ、全て頂けないでしょうか?


 ユミル:それは有り難い、丁度処分に困っていたところだ。今すぐにでも送りたいくらいだ。


 ダニエル:では指定した座標に転送してくれますか?


 ユミル:・・・ふむ、承知した。


 ダニエル:有り難う御座います!


 テジョウ市前に転移する大量のテロリスト茸


 パトライトモア:グワッ⁉︎


 テロリスト茸の匂いに動揺し急激に進路を変え群れが二手に分かれる


 輸送艦隊旗艦


 オペレーター:パトライトモアとキドウタイモアの群れが迂回を開始しました!


 輸送艦隊提督:よし!シラベ洞穴跡地に戻らぬように退路を断ちつつ最終目標地点へ誘導せよ!


 2時間後ケイテキの森上空ジャスティスブレード ブリッジ


 オペレーター:大統領閣下、間も無くパトライトモアが最終目標地点に到達します!


 ダニエル:ここからは私の出番だな。


 ハル:通訳はお任せを。


 ダニエル:よろしく頼む。


 パトライトモアの前に転移する2人


 ダニエル:私はポリスティア合衆国大統領ダニエル・ハザード。貴公を我が国の巨獣として契約を結ぶべく『試練』を受けたい!


 パトライトモア:グエッ、グエ〜?グエ〜♪


 ハル:彼はこう言っております『お前さんみたいな若造が俺に挑むってか?ま、いいぜ。ただし勝てたらの話だがな〜♪』と。


 3時間に渡る激闘の末辛くも勝利するダニエル


 ダニエル:さ、流石は古代種、他の巨獣とは比べものにならない強さだった。


 パトライトモア:グ、グエ〜。グエ♪グエーッ!


 ハル:お見事でした。彼はこう言っています『や、やるじゃねえか♪約束通りお前さんに降ってやるぜ♪』だそうです。


 魔王具『秩序の警棒』掲げるダニエル


 ダニエル:我、試練に打ち勝ちし者也!ポリスティア合衆国大統領ダニエル・ハザードの名の下にパトライトモアとの契約を果たさん!


 秩序の警棒が輝きパトライトモアの額にハザード家の紋章が刻まれる


 ダニエル:・・・ふぅ。


 アオイ:ここからは通訳モードでお楽しみください


 パトライトモア:悪いが頼みがある。


 ダニエル:ん?


 パトライトモア:眷属からの情報で新しい水飲み場の目星はついた。だからあの忌々しいキノコをなんとかしてくれ。


 ダニエル:ああ、わかった♪















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