第406話太古の巨獣(中編)

 アオイ:太古の昔に絶滅したとされていた古代巨獣は生きていた。その古代巨獣の名は『パトライトモア』突如その眷属『キドウタイモア』が統率を整い始めたのです。そう・・・まるで500億年間待ちわびた主人あるじを迎えるかのように・・・


 魔界時間16:58 ワッパ州テジョウ市郊外


 警官:君ねぇ、無許可の転移装置の設置は違法って知ってるでしょう。


 違反者:いやぁ、役所に許可申請書は出して許可は出たんですよ〜。


 警官:なら許可証、持ってるよね?見せて。


 違反者:それが、店に置き忘れ・・・


 突如大きく揺れる


 警官:な、何だ⁉︎


 足早に去っていく違反者


 警官:あ、コラ!


 警官に駆け寄る後輩警官


 後輩警官:先輩、大変です!


 警官:どうした?


 後輩警官:兎に角これ、これ見てください!


 デバイスでニュースを見せる後輩警官


 ニュースキャスター:緊急ニュース速報です。ワッパ州テジョウ市北西部のシラベ洞穴を震源とする地震が発生しました。震源地のマグニチュードは100.8、各地の震度は以下の通りです。


 警官:マグニチュード60に耐えられる耐震シールドを張った状態でこの揺れは納得だ。


 ニュースキャスター:合衆国政府の発表によると、500億年前に絶滅されたと思われていた古代種の巨獣『パトライトモア』が目覚め地上に出ようとした時に起こる地震との事で、今後もマグニチュード100.8クラスの地震が発生する可能性があるとみて避難勧告が出ております。


 警官:ここも避難対象じゃないか!


 ニュースキャスター:ワイバニア芸術文化大学古代生物学者ダグラス・サッサ教授の見解によると、パトライトモアの主食とされているケイテキの木が群生する『ケイテキの森』がテジョウ市南東部に位置する事からテジョウ市を通過するものとみて警戒を呼び掛けています。


 警官:巨獣の群れがここを通過するだって⁉︎


 ニュースキャスター:パトライトモアの体長は9000万㎢、体重7兆8000億トン。パトライトモアは群れで行動する事から、体長500万㎢の眷属キドウタイモアの群れを引き連れる可能性があり都市は壊滅的なダメージを受ける事は避けられないとの事です。


 後輩警官:ね、非常事態でしょ?


 ニュースキャスター:現在巨獣専門保護チーム『ビーストガーディアンズ』を緊急招集し、合衆国政府と緊急対策会議が行われる模様です。


 警官:これは大事になってきたぞ!


 大統領官邸会議室


 オリビア:お待たせしました!


 アオイ:この方はビーストガーディアンズのリーダーでオリビア・火乃酉ひのとりさん。ダークエルフ族の巨獣専門医です。


 リネフィ:500億年前の古代種が目覚めたって本当⁉︎


 アオイ:こちらはビーストガーディアンズサブリーダーの生物学者リネフィ・ローラン博士。種族はハイエルフ族です。


 ダグラス:最新の研究で明らかになったのですが、パトライトモアは大規模な自然災害を感知すると生命維持のため大量に食い溜めして仮死状態になり地下深くで眠る習性があるそうです。


 リネフィ:そこから推測するに、様々な地形の条件が重なって500億年もの間仮死状態で生きながらえた。その個体が今回のパトライトモアという事になりますね。


 ダグラス:これは奇跡と言っても過言ではありません。さて、問題は地上に出た後の移動経路です。


 会議室のモニターに地図を映し出す魔王秘書


 魔王秘書:パトライトモアのいるシラベ洞穴はテジョウ市の北西部に位置し、パトライトモアの主食であるケイテキの木の群生する森はテジョウ市から南西部。シラベ洞穴から直線上に位置するためテジョウ市が移動ルートに入ります。


 ダニエル:被害はどのくらいになるんだ?


 魔王秘書:500万㎢級の群れが10000羽、テジョウ市はほぼ全滅とみてまず間違いありません。


 ダニエル:巨獣は国家最重要特別天然記念物、下手に攻撃出来ない。何か手はないのか!


 リタ:おうまさんみたいにあたまにニンジンをぶらさげればどうかな?


 アオイ:この子は3歳の人間の女の子でリタ・ヌルマユちゃん。もぐもぐガールズの1人です。


 オリビア:それよリタちゃん!大統領閣下、大型空中輸送艦隊で1番大きいケイテキの木をぶら下げて誘導したらどうでしょう?


 ダニエル:成る程、その手があったか!よし、君!


 警官:ハッ!


 ダニエル:直ちに軍務省に緊急通達、大型空中輸送艦隊によるパトライトモア誘導作戦を決行する!


 警官:ハッ!


 後編へ続く・・・







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