第395話ルキアVS紫堂(中編)

 アオイ:遂に始まった裁判。前回では紫堂剛がレート副大統領殺神事件の黒幕であるという証拠の提示を迫られ窮地に立たされてそうになったルキアさん。アリス女王陛下はそれを好転させる発言をします。


 魔界時間 10:00 4界宇宙統合司法裁判所 4界宇宙大法廷


 剛:そりゃこの事件の証人でもあるから来たに決まってるだろうが!で、あんのか?証拠はよ〜!


 ルキア:そ、それは・・・


 アリス:証拠ならあるよ♪


 剛:何⁉︎


 アリス:その証拠は・・・これだ!


 閻魔大王:こ、これは!


 1枚の書類を出すアリス


 アリス:ここに書かれているのは犯行計画書です。これはプリズンドーベルの異変から在ポリスティア合衆国天界宇宙大使殺神未遂事件までの計画が書かれています。


 剛:ハハッ、これにはレート副大統領殺神事件に関しては一切書かれていない上に暗号化されているからアンタのいう事件との関連性は無いに等しいんじゃね〜のか?


 アリス:ルキア君。


 ルキア:はい。瑠維るいさん、貴女を含めた達紫堂組は極秘任務の際その犯行計画書が『本物であるかどうか確認する方法』があるんでしたよね?


 瑠維:犯行計画書には『ある方法』で『計画書の承認の証』が浮かび上がる様になっている。


 ルキア:貴女はそれが紫堂剛の指示である証拠を確認したからこそ実行に移した。そうですね?


 瑠維:・・・・・そうだ。


 剛:で、デタラメ言うな瑠維!


 ルキア:デタラメではありませんよ紫堂さん。この犯行計画書には書き手の遺伝子情報が記憶されていて、実行犯は全員貴方の鱗を持っているんです。それを犯行計画書に近づけると貴方の名前が浮かび上がる仕組みになっています。しかもこれは時間が経つと再び消え、何度でも確認可能というものです。


 剛:・・・クッ!


 ルキア:貴方がこの事件と無関係なら当然、この犯行計画書に触る事が出来ますよね?


 アリス:どうなの?


 剛:・・・・ああそうだよ!その計画書を書いて指示したのは俺だよ!だが、レート副大統領殺神事件に関してはその犯行計画書は無いだろう?ならそっちは無関係だぜ♪


 ルキア:皆さん、『今の発言』しっかり聞きましたね?彼は確かにこの犯行計画書との関係を認めました。それは同時に『国際的なある重大犯罪』と彼との関連性を自供した事になります。


 剛:ど、どういう・・・まさか⁉︎そんな筈は無い!『アレ』は確かに始末するよう指示して俺の目の前で処分した筈だ!


 不敵に笑うルキア


 ルキア:貴方がいう『アレ』というのはコレの事ですか?


 もう一枚の犯行計画書を提示するルキア


 ルキア:ここにはシーラント諸島連合国のリングファイツ諸島本島であるリングサイド島に自生する常闇草とこやみそうの採取によるものでした。閻魔大王様、そちらにあらかじめ提出した資料に目は通されましたか?


 閻魔大王:シルフィード王国科学省所属のヴァルキリー専門家クララ・B・ファウスト博士が書いたヴァルキリー製造法にある素材ですな?確かに素材の中に常闇草がありました。


 ルキア:更にこの犯行計画書には大使殺神未遂事件の際に盗み出す予定だったゲイリー・フォード大使所有の『ユニコーンの涙』もありました。これは果たして『単なる偶然』なのでしょうか?瑠維さん。


 瑠維:ん?


 ルキア:この後証言する大使館勤務の清掃員の塔野さんの話によると貴女は事件前日誰かと話していたそうですが、誰と話していたのですか?


 瑠維:そ・・・・それは・・・


 剛:(そのまま喋るなよ〜?『あのお方』の名は絶対出すなよ〜!)


 ルキア:貴女が紫堂剛ではなく幻龍会に忠誠を誓っているから言えないのはわかります。ですが、これは貴女が忠誠を誓った幻龍会そのトップの龍神美琴さんが背負おわくても良い罪を背負おうとしているのですよ?それでもいいのですか?


 瑠維:うぅ。


 ルキア:・・・わかりました。では閻魔大王様、弁護側は次の証人の召喚を要請します。その方は大使館の清掃員『塔野さん』です。


 閻魔大王:わかりました。


 静かに目を閉じて召喚魔法を唱え次の証人を召喚する閻魔大王


 閻魔大王:証人、名前と職業を。


 証言台に立ち一例する塔野


 塔野:在ポリスティア合衆国天界宇宙大使館勤務清掃員の塔野とうのと申します。


 ルキア:では塔野さん、貴女が聞いたという会話の内容を教えてくれませんか?


 塔野:私が言うよりこれを聞いていただいた方が宜いかと。


 懐から小型の集音器を出す塔野


 塔野:私は趣味で色んなタイプの集音器を集めていて、この日も事件前日から2週間前の給料で買ったこの集音器の性能を確かめるべく使っていました。これは録音出来るタイプで・・・


 集音器の録音機能から再生する塔野


 謎の声:そうか、やはりフォードが持っていたか。


 瑠維:・・・はい、如何致しましょう?


 謎の声:殺しは失敗しても必ずそのブツを手に入れろ。


 瑠維:はい、『黒峰』さん。


 録音内容はここで終わる


 瑠維:・・・・・・クッ!


 ルキア:朝珠検事、この記録にあった『黒峰』というのは?


 結衣:現在空席の幻龍会の会長代理をしている代貸だいがしの黒峰隆二くろみねりゅうじよ。幻龍会内部の袋井擁護派ふくろいようごはの現筆頭であるのと同時に龍神美琴が会長になる前まで天界宇宙政界の闇の中枢、反魔党代表の七福神布袋族『袋井耀蔵ふくろいようぞう』と頻繁に会っていたと聞くわ。


 ルキア:これでもう言い逃れは出来ませんね、紫堂さん!


 剛:確かにヴァルキリーの素材を集めさせたり、大使を殺害させるよう指示したのは俺だぜ。だがアンタは『大事なところ』が欠けてやしねえか?


 ルキア:大事なところ?


 剛:そうさ、レート副大統領殺神の犯行計画書の行方と黒峰さんとが真の黒幕だと証明する『証拠』がよぉ♪


 アリス:(痛いトコ突くねぇ。でも・・・)


 女性の声:お待たせしました!


 アリス:(ナイスタイミン〜ング♪)待ってたよ、刑事さん♪


 後編へ続く・・・

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