第394話ルキアVS紫堂(前編)

 アオイ:幻龍会内部の袋井擁護派ふくろいようごはの1柱がまた逮捕されました。果たして弁護士ルキア・白銀しろがねさんは龍神美琴さんの無罪判決を勝ち取る事が出来るのでしょうか?それでは第394話スタートです。


 紫堂組一斉摘発翌日 魔界時間9:00 4界宇宙境界宙域 4界宇宙統合司法裁判所


 被告人側控え室


 ルキア:・・・ふぅ。


 アリス:緊張する?


 ルキア:これは、アリス女王陛下!


 アリス:あ〜、そのまま。ここじゃ、神も魔王も人間も隔たりはないからリラックスリラックス♪


 ダニエル:アリス殿の言う通りだ。緊張し過ぎると大事なところで失敗しかねないからな。


 ルキア:はい。


 ダニエル:地獄界検察庁からの調書は読んだかね?


 ルキア:はい。紫堂組組長『紫堂剛』はあくまで凶器準備結集罪きょうきじゅんびけっしゅうざいで逮捕されて起訴されたにすぎないんでしたね。


 ダニエル:そうだ。殺神さつじんの罪で起訴されている龍神美琴の裁判。更に彼女はヴァルキリー密造の主犯格として昨日再逮捕されている。


 ルキア:そこからどうやって紫堂をヴァルキリー密造幇助と大使殺神未遂の主犯格として告発するかが鍵になるんですね?


 ダニエル:その通りだ。


 控え室に入る美琴


 美琴:・・・・・・・


 ルキア:・・・・・綺麗だ。


 美琴:ん?何か言ったか?


 ルキア:あ、いえ!何でもありません。この裁判で貴女を担当するルキア・白銀です。


 美琴:宜しく頼む。


 美琴に駆け寄る優実


 優実:うえ〜ん!おねえちゃ〜ん!


 優実を優しく抱きしめる美琴


 美琴:優実!・・・優実!良かった♪


 ルキア:(ハザード大統領の話だと美琴さんは妹の優実ちゃんが人質にとられていた所為で殺神の罪を被っただけでなく真実を語れなかった。そのかせとなってた優実ちゃんがこうして無事救出された事で事態がどう好転するかそこにこの裁判の重要性が出てくる)


 係官:間も無く開廷です。


 ルキア:わかりました。(この裁判、なんとしてでも勝たなくちゃいけない!優実ちゃんのためにも)


 20分後 4界宇宙大法廷


 閻魔大王:これより、幻龍会会長龍神美琴の裁判を執り行います。尚、被告人が天界の龍神である事から、閻魔帳が使用出来ません。よって、弁護人並びに検事による審議とします。双方、準備は宜いですな?


 ルキア:弁護人、準備は出来ています!


 結衣:検察側も問題ありません。貴方が『灼眼の弁護人』ね?私は朝珠結衣あさたまゆい、種族は日照り神よ。


 ルキア:よ、宜しくお願いします。(この女性ひとが『法曹界の剣』の朝珠検事か・・・って!灼眼の弁護人ってなんだよ!厨二病患者がいかにも好んで名乗りそうな通り名は)


 閻魔大王:では検察側、事件の内容を説明してください。


 結衣:はい、事件は今から20年前。天界宇宙貿易超大国トレーディア共和国で起きました。被害者はレオパルト・レート副大統領、レート副大統領の屋敷自室が殺害現場です。そこに駆けつけた警官によって現場にいた龍神美琴を拘束し逮捕しました。


 ルキア:ちょ、ちょっと待ってください!天界で起こった事件なのにどうして被告人は魔界の、しかもポリスティア合衆国の巨獣プリズンドーベルに収監されていたのですか?普通なら天界の刑務所に収監されるのではないのですか?


 閻魔大王:確かに弁護人の言う通りですな。ですが、これには国際的な『理由』に基づいたものが関わっていたのでしたな?


 結衣:はい、殺神現場から『あるもの』が無くなっていたのがその理由なのです。


 ルキア:あるもの?


 結衣:6大魔王様が1人、司法超大国ザルダジア連邦大統領、リーシャ・ザルダジア様から預かっていた国宝『審判の天秤』です。当時トレーディア共和国はザルダジア連邦との国交1000万年にあたる年で、両国間では友好の証として互いの国の国宝を預かるという習わしがあったそうです。


 ルキア:つまり、美琴さんはその国宝目当てに殺害したという疑いがかけられていたという事ですね?


 結衣:その通りです。魔界宇宙第3位の権力を持つ6大魔王様の治める国の国宝を殺害してまで奪ったとなれば天界、魔界両宇宙最大の国際問題となりその審議のためプリズンドーベルに収監されていたという事です。


 閻魔大王:確か、幻龍会幹部の内部告発によって明らかになったのでしたな?


 結衣:はい。


 ルキア:(その内部告発をしたのが紫堂剛か)


 結衣:その告発に基づいて彼女の自宅から審判の天秤が発見された事により魔界へ護送されました。


 アリス:ルキア君、これ。


 一冊の資料を渡すアリス


 ルキア:(ん?これは!)裁判長・・・じゃなかった、閻魔大王様!


 閻魔大王:何ですかな?


 ルキア:弁護側は証人の召喚を要請します!


 閻魔大王:その証人とは?


 ルキア:現在ポリスティア合衆国の巨獣プリズンドーベルに収監中の大使殺神未遂事件の容疑者『鑒瑠維かがみるい』です!


 閻魔大王:わかりました。


 静かに目を閉じて召喚する閻魔大王


 瑠維:・・・・・・


 閻魔大王:証人、名前と職業を。


 瑠維:・・・鑒瑠維、紫堂組構成員。


 ルキア:この調書によると、貴女は事件当時、別の法廷で凶器準備結集罪の罪で起訴され審議中の紫堂組組長、紫堂剛の指示でレート副大統領の屋敷に使用人として潜入していましたね?


 瑠維:・・・さあ?何の事でしょう?


 アリス:しらばっくれる気?ならこっちは『切り札』出すよ?杏〜♪


 アリスのわきからひょっこり顔を出す杏


 杏:あい♪


 瑠維:ヒィ!


 アリス:これでもまだしらを切り通す?


 瑠維:喋る!喋るから、その子を引っこめろ!


 アリス:また後でね杏♪


 杏:あ〜い♪


 瑠維:・・・ふぅ。ああ、そうだ。その調書の通り、私はレート副大統領の屋敷に潜入していた。だが私は殺ってない。審判の天秤を盗み、殺害現場にいて留守だった龍神会長の自宅に忍び込み金庫の中にこの天秤を入れただけだ。


 ルキア:その時被告人の妹、龍神優実ちゃんに目撃され誘拐した。そうですね?


 瑠維:ああ、どうせ誘拐するのは元々目的にあったからな。目撃されようがされまいがその場で誘拐した。


 ルキア:それで紫堂組長の筋書き通り被告人は2つの罪で起訴されたと。


 剛:さっきから聞いてりゃ、まるで俺が会長に罪を擦りつけたような言い方だが、証拠はあるんだろうなぁ?


 アリス:何でいるの?


 剛:そりゃこの事件の証人でもあるから来たに決まってんだろうが!で、あんのか?証拠はよ〜!


 ルキア:そ、それは・・・


 アリス:証拠ならあるよ♪


 剛:何⁉︎


 アリス:その証拠は・・・これだ!


 閻魔大王:こ、これは!


 中編へ続く・・・


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