第364話元人間の受難
アオイ:皆さんは『生前転生』というのをご存知ですか?本来は死後に生まれ変わる際に行う死者の特権なのですが、天界・魔界では条件が揃えば生前転生を行う事が出来ます。今回はそんな生前転生を行った1人の元人間のお話。
元人間の魔族:私はある日突然魔界に転移した。魔族の女性は皆身も心も美しく、教会で教わったものとは全く違った。転移して2年、右も左もわからない私に親切にしてくれた魔族の女性に惚れ付き合うもフラれる。その理由が・・・
『貴方は優しく魅力的。でも、夜の方は満足出来ない』
元人間の魔族:人間は魔族の男性より精力が乏しいらしい。人間の男性より500倍の精力を持つ魔族の女性には人間の私では夜の営みは物足りないらしい。それが魔族の女性にフラれる最大の理由。
『ならば私も魔族の男に転生すれば良い』
元人間の魔族:魔族の女性が人間の男性より500倍の精力を持っている理由を文献を紐解いてみる。どうやら魔界では一時期男性が絶滅寸前にまで陥り、女性同士でも子作りをする事が出来る技術が開発されたその名残らしい。
アオイ:あの〜、私の出番はいつなのでしょう?
元人間の魔族:転生にまつわる方法を検索すると、特定の条件が揃えば『生前転生』が可能だという。そこで私は早速地獄界の閻魔庁で適性審査を受けた。その結果、私は条件を満たしていた。そこで手続きをして生前転生を行った。
現在より3年前 魔界時間10:00 地獄界閻魔庁 生前転生会場
閻魔庁職員:え〜、講習会でもあったように、生前転生は本来死後の死者のみに許されるいわば『生まれ変わり』これを生きてる内にやるわけでありますからして・・・
元人間の魔族:・・・・はっ!
閻魔庁職員:転生自体が1人につき一回のみです。成功しても失敗しても次に転生出来るのは死後皆さんが転生を行う前、つまり産まれてから今日までの年数待たないといけません・・・
元人間の魔族:コクリ・・・・コクリ・・・・
閻魔庁職員:で、ありますからして、生前転生は皆さんが好きな種族や性別になれますが、イメージする際には転生が完了するまでそのなりたいもののイメージを続けてください。一度でも別のものをイメージしてしまうとその違うイメージになってしまうのでく〜れ〜ぐ〜れも気を付けてください!
元人間の魔族:グゥ〜・・・・
閻魔庁職員:そこの貴方!
元人間の魔族:グゴ〜・・・
閻魔庁職員:貴方ですよ!起きてくださ〜い!
元人間の魔族:グゥ〜・・・・・フゴッ!
閻魔庁職員:起きましたか?寝てましたね?
元人間の魔族:す、すみません!
閻魔庁職員:先日の講習会、ちゃんと受けて聞いてましたか?ま、修了証書があるので受けてたでしょう。同意書もよく内容読んで書きましたか?
元人間の魔族:は、はい!緊張して眠れなくて。
閻魔庁職員:そういう事なら仕方ないですね。さあ皆さん、これより生前転生を行います。このカプセルに順番に並んでくださ〜い!
元人間の魔族:こうして転生を行った結果・・・・
『私は魔族の女性になってしまった』
閻魔庁職員:残念ですが、生前転生のやり直しは出来ない一度きりだと言いましたよね?え〜っと、
充:はい。
閻魔庁職員:え〜っと、リバイアス国際医科大学薬学部教授。へぇ〜!魔界宇宙3大学府の名門校の先生ですかぁ。
充:ええ、感染型精神汚染物質カオスの進行を抑える薬の開発をリバイアス学長に認められて。もっとも、その後に別の次元から来た人間の魔法使いに特効薬を開発されましたが。
閻魔庁職員:充さん。どうして生前転生が一度きりだかわかりますか?
充:本来1人の死者に出来る生まれ変わりが一度きりだからですよね。
閻魔庁職員:ええ。もう一つ理由があって、そう何度も生前転生されると生者・死者を管理する総合データバンク『閻魔帳』のサーバーが直ぐパンクして死者を裁く『閻魔裁判』に悪影響が出るから4界宇宙国際法で定めたのですよ。
充:そうだったんですか。
閻魔庁職員:ですから性転換に関しては残念ですとしか言いようがないのです。どうかご理解ください。
充:・・・・そうか!理想通り魔族になれたんだから人工的に性転換手術すれば良いんだ♪
閻魔庁職員:残念ですがそれは出来ないんですよ。どう性転換手術しても翌日には元通りになってしまうんです。生前転生の際に天界大帝様の戒めの
充:そんな〜。
閻魔庁職員:そう気を落とさないでください。魔界では女性同士の恋愛も結婚も子作りも出来ますから。
充:・・・・はい。
そして現在 シーラント諸島連合国 リングファイツ諸島本島 リングサイド島
充:ここに体内に宿った強力な神聖力を打ち消す常闇草っていう薬草があるって学長から聞いたんだけど・・・
アオイ:・・・・あの、キャラクター紹介・・・ナレーターの私の仕事・・・もういいです。
12時間前シーラント諸島連合国首都トワイライト島
充:本当ですか⁉︎
ウォルター:うむ。天界大帝様程の神聖力が宿った戒めともなればそれを打ち消すには『常闇草』しかあるまいて。・・・じゃのぉ。
アオイ:やっと出番が!この方こそ、リヴァイアサン族のリバイアス国際医科大学学長、ウォルター・リバイアスさんで、魔獣貴族の公爵様なのですよ♪
充:何か問題でも?
ウォルター:この国は魔界宇宙で1番巨獣が多いのは知っとるな?
充:ええ。
ウォルター:中でも最も強い6つの諸島の『ヌシ』とも『守護神』とも呼ばれておる6体の巨獣の1体『密林の王者』テンペラーコングの縄張りのど真ん中に自生しとるんだよ。
充:テンペラーコングの縄張りのど真ん中っていったらテンペラーコングの闘争心を満たすために凶暴な猛獣が
ウォルター:うむ、じゃから誰も採ろうとはせんのじゃよ。実際、その常闇草も効くかどうかも
そして現在・・・
充:どうにかこうにか常闇草の自生してる場所まで無事来れたけど・・・
幻龍会構成員A:これか、『ヴァルキリーの素材』となる常闇草は。
幻龍会構成員B:ああ、『ホムンクルス』をベースに7つの材料を使うのだが、その1つがコイツだ。
充:(何で天界のヤクザがこんな所に⁉︎それにヴァルキリーの素材って)
幻龍会構成員A:何にせよあのデカブツが眼を覚ます前にとっとと採ってずらかるぞ!いくら俺等龍神族でも、あんなバケモン相手にするのはゴメンだからな。
充:(あ・・・ヤバイ・・・何でこういう時ってクシャミが・・・)ハ・・・ハ・・・
幻龍会構成員B:だな、命がいくらあっても足りぁしねぇ。
充:ハ・・・ハ〜・・・ハック・・・
大きな地響きと共に動くテンペラーコング
幻龍会構成員B:ヤベッ!ヤツが起きるぞ!
幻龍会構成員A:でもよ、まだ1つしか・・・
幻龍会構成員B:馬鹿!1つありゃ十分だ、とっととずらかるぞ!死にてのか!
転移する幻龍会構成員達
充:助かったぁ・・・ん?
千夜:ん〜、やっぱこの島しかないかぁ。それにしてもあの子のお陰でテンペラーコングの眷属ボクサーコングの護衛付きで採りに行けるけど、星草の栽培方法教え・・・あら?
アオイ:この
充:どうも。
千夜:貴女、護衛も付けずにこんな所で何してるの?
事情を説明する充
千夜:あ〜、そういう事。残念だけどその常闇草には天界大帝様の神聖力を打ち消す効果はないわよ。せいぜいヴァルキリーを造るくらいしか・・・
充:そ、そうだ!実はついさっき・・・
幻龍会構成員達の会話の内容を話す充
千夜:なんですって⁉︎ヴァルキリー生産は4界宇宙平和協定法違反じゃない!
充:この事を警察に伝えようかと。ここに撮影した記録映像もありますし。
千夜:そうね、それが良いわ!
アオイ:この通報が後の章に深く関わるのですが、今回はここまで。それでは皆さんまた次回お会いしましょう♪
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