第356話骸の一家
アオイ:さて、あの時拾った赤ちゃん、誰の赤ちゃんなのでしょうね。今日は赤ちゃんのご両親のお話です。
魔界時間 11:50 死霊超大国ゾンバルト帝国帝都デスライア皇城
ゾンバルト皇帝:我等アンデットは太古の昔、天魔大戦時代、オーク族と共に前線に出て戦った。
アオイ:このお方は死霊超大国ゾンバルト帝国皇帝ガラハルト・ゾンバルト2世。多くの魔王の中で唯一天魔大戦時代から生きる最古参の魔王様です。
ゾンバルト皇帝:アンデットが故に寿命は無く、自身で死ぬ事も叶わず。生まれ変われぬ哀れなものよ・・・なぁ、オリバー・カントリアよ。貴殿は余よりも先に逝きおった。余を昔から知る者はもはや魔界帝王様とその妹君、そして4宰相殿と魔界宇宙3界王殿のみとなった・・・・
同時刻 シーラント諸島連合国 トワイライト島国立総合病院
死神族の女性:こんの!お馬鹿!
平手打ちの音が響き渡る
スケルトン族の男性:イッテテテ。そういやアンナお前、ミクはどうした?
アンナ:え?・・・・あ!ベンチに忘れてきた‼︎好良君、あとお願い!
アオイ:この
好良:お、おい!俺松葉杖で両手塞がってんだけど。お〜い!・・・行っちゃったよ。
アオイ:この方はスケルトン族の
敷地内広場
アンナ:あれ?いない⁉︎ミク!何処なのミク!
アリス:あのぉ。もしかしてこの子ですか?
ミク:ばんぶぅ♪
アンナ:ミク!
杏:ねえしゃまのせなかにくっついてたです。
アンナ:すみません。この子ちょっと目を話すと近くの女の人の背中によじ登ってくっつく癖があるんです。
アリス:そういえば住所コードにゾンバルト帝国ってあったのですが。ゾンバルト帝国の方ですか?
アンナ:はい。
アリス:ゾンバルト帝国って墓石生産や、墓守代行サービス、そして葬儀業でトップシェアを誇る死霊超大国ですよね?6大魔王ヨハン・ガプトラス教皇様の治めるガプトラス教国傘下の国。
アンナ:ええ。主人も墓守代行会社の社長をやっております。
アリス:どうして病院に?
アンナ:実は今組合の慰安旅行で来ていたのですが、宴会の余興で酔った勢いにナイトバンジーをやったらしく。その時強風に煽られ壁に激突して全身バラバラになったらしいのです。アンデットの命ともいうべき『核』は無事だったのは幸いですが・・・馬鹿ですよね。
院内に入る女性
アリス:およ?あの
アンナ:知り合いですか?
アリス:ええ、4界宇宙大法廷でお世話になった検事さん。
院内病室
ベットの立体モニターに映る看護婦
看護婦:オオマカさんに面会を求めてる方がいらしてますよ。
好良:面会?何方です?
看護婦:地獄界検察庁の検事、
好良:あの反魔党の元代表、布袋族の
結衣:はじめまして好良・オオマカさんですね?
アオイ:この方は地獄界検察庁の検事さんで朝珠結衣さん。種族は日照り神。詳しくは第7章『4界宇宙大法廷』で。
好良:ええ。
結衣:トワイライトマリンランドでの一件で聞きたい事があって参りました。
好良:あれはただの整備不良による事故ではないんですか?
結衣:国の全てのレジャーランドのアトラクションは毎週末に点検、整備が行う事が国の法律で義務付けられていて、それを怠ると国から罰金が課せられる仕組みになっていたのです。事故が起こった前日こそが丁度その点検、整備の日だったのです。
好良:ではあれは何者かが『故意に事故にする様に仕向けた』と検事さんは見ているのですね?
結衣:はい。
ベットの立体モニターが看護婦に切り替わる
看護婦:オオマカさんに面会の方が2人いらしております。
好良:2人?
10分前 院内受付
レイド:おい、ここに好良・オオマカってスケルトン族が入院してると聞いたが・・・あ?
蓮:すみませ〜ん。ここに好良・オオマカってスケルトン族の人が入院してると思うのですが・・・あ。
レイド:鼻垂れエルフじゃねぇか。
蓮:あ、厨二虫
レイド:誰が厨二虫だ!この鼻垂れエルフが‼︎
蓮:あんだとこの野郎‼︎
受付:お二方、院内ではお静かに!
レイド:すまねえ。
蓮:すみません。
受付:お二方はどういう方で?
蓮:私はこの前オオマカさんに話した母の終活の墓守代行サービスプランの件で。
レイド:俺ぁ、ヤツの墓前に供える花の事で。
受付:承知しました。少々お待ちください。
そして現在・・・
好良:あ〜、そういう事でしたか。構いませんか?検事さん。
結衣:ええ、構いませんよ。
病室内に転移する2人
レイド:久し振りだな、オオマカのとっつぁん。
好良:おいおい、確かに俺は3800歳だがアンデットの中じゃ380歳にあたるから『とっつぁん』って歳でもないんだがな。
蓮:暫くぶりですオオマカさん。
好良:あ〜、蓮さん。例の墓守代行サービスプランの件ですね?
蓮:はい。
レイド:とっつぁん。さっき幻龍会がどうって話してた様だが、詳しく話しちゃあくれねえか?俺ぁ訳あって幻龍会を追ってる。
好良:検事さん、さっきの話をしてくれませんか?
結衣:ええ・・・
事の経緯を2人に話す結衣
レイド:不自然だな。そのトワイライトマリンランドと幻龍会とは何の接点もないんだろ?
結衣:ええ。ですから最初から好良さんを狙っての犯行ではないかと考えています。ですが、いくら調べても好良さんと幻龍会に接点となるものが無いんです。
蓮:もしかして『好良さん自体には』無いけど、『好良さんが預かってるもの』にはあるんじゃないかな?接点。
結衣&レイド:⁉︎
結衣:好良さん!何か心当たりがありますか?例えば・・・そう、最近誰かか中を見ないでほしいと言われた物を預かったとか。
好良:この業界のお客様は墓前に欠かさず供えてほしいという物を預かる事が多く、プライバシー保護のため中は見ない規則になっておりますし、そういうのは事前に説明するので。『中は見ないでほしい』という方はいませんね。
結衣:そうですか・・・
蓮:あのぉ〜・・・
レイド:あ?何だよ鼻垂れエルフ。
蓮:私が言いたいのは『お仕事で預かって』という意味ではなくて『プライベートで』って意味だったんですが。すみません、言葉足らずで。
レイド:そういうのは最初っから言いやがれ!紛らわしい。
結衣:どうですか?好良さん。
好良:・・・・・・・あ!そういえば!
結衣:あるんですね?心当たりが。
好良:ええ、慰安旅行の2週間前にウチの近所の借家に住む邪竜族の男性がいるんですが、娘にペンダントをプレゼントしてくれた事があったんですよ。丁度その日娘の誕生日で、その男性にも話した事があったので。
結衣:そのペンダントは?
アンナ:好良君。
好良:アンナ!丁度良かった!ミクのペンダントは?
アンナ:あ〜、邪竜族の横山さんがくれたあのペンダント?相当気に入ったのか、ミクが肌身離さず持ってるわ。ミク、パパにコレ貸してね?
ミク:あい!
好良:直ぐ返すからな〜。検事さん、これです。
ペンダントを調べる結衣
結衣:・・・・・・!あった!好良さん。
好良:はい?
結衣:確か明日退院でしたね?
好良:え?ええ。
結衣:明後日の裁判、証人として出てもらえませんか?
好良:え!さ、裁判⁉︎
結衣:このままではありもしない罪で多くの従業員が路頭に迷う事になります!
好良:俺の証言で助けられるのですね?そこの従業員さん達を。
アンナ:あなた!
結衣:はい。
好良:アンナ、もしもウチの会社が同じような事されて家族である従業員を路頭に迷わせる事になったら同じように助けを求めるとは思わないか?俺は職種は違えど同じ経営者として黙って見てるわけにはいかない!
アンナ:・・・もう!好良君昔からそうなんだから♪
好良:ありがとう。検事さん、喜んで証言台に立たせていただきます!
結衣:ありがとうございます!
次回へ続く・・・
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