第346話南国の画商
アオイ:絵画を愛でる心は古今東西、形は様々ですが文明を持てばどの世界にもあるものです。今回はそんな魔界で画廊を営む画商さんのお話です。
魔界時間14:00 シーラント諸島連合国 首都トワイライト島 メインストリート
画廊『オレンジハーツ』
ミカン:こちらは邪神界で活躍するキリノという方の作です。
アオイ:この方はこの島で画廊を営むアルラウネ族の画商ミカン・ローランドさん。アルラウネ族は頭に花が咲いているのですが、彼女の場合蜜柑が生っています。髪も緑ではなくオレンジ色なんですよ。
来店する杏達
杏:ほえ〜、きれいなえがいっぱいです!
アオイ:この子は主人公の妹で杏・シルフィードちゃん。30歳(人界年齢換算3歳)のお姫様です。
小雪:オラえをうってるおみせはじめてきただよ♪
アオイ:こっちの子はフローズンダスト連邦の魔王クラウド・アイゼンフリーズ大統領の娘さんで小雪・アイゼンフリーズちゃん。東北弁がキュートな女の子です♪
リタ:きれいね〜♡
アオイ:この子は人間族の女の子リタ・ヌルマユちゃん。ロシア出身の子で魔界に迷い込んで最近親御さんと再会を果たして魔界にご両親と共に移住した子です。
杏:おえかきしたいです!
小雪:オラも!
リタ:リ、リタも〜。
ミカン:フフッ♪じゃあこっちでお絵かきする?
リタ:いいの?
ミカン:ええ、勿論良いわよ♪
画家:師匠!
ミカン:あら、いらっしゃい♪
画家:天界宇宙貴族デスガウスト公爵様からのお抱え絵師の話を断ったって本当ですか⁉︎
ミカン:本当よ。
画家:何故です師匠!貴女の腕をデスガウスト公が惚れ込んだって相当名誉な事ではありませんか!デスガウスト公爵家といえば14天界王の1柱、冥王ハデス様のお血筋にあたる方ですよ!
杏:できたです!
小雪:こんしんのさくだべ♪
リタ:さんにんでかいたんだよ〜♪
ミカン:フフッ♪皆んな仲良しさんね♡ねえ、絵って地位や名声やお金のために描く事かしら?私はその時点でそれは絵じゃないとおもうの。この子達の描いた絵を見て。こんなに生き生きと楽しく描かれてる。私はね、これこそが『絵画の真髄』だと思うの。違う?
画家:そ、それはそうですが・・・デスガウスト公爵様が黙って手を引くとは到底思えません。
デスガウスト公爵:店主!店主は居るか!
画家:噂をすれば。
デスガウスト公爵:おお!いた!おい、何故私の誘いを断った!
ミカン:何処の何方であろうとも、絵を自身の見栄と自己満足のために手元に置きたいと考える方の下に行く気はありません。
リタの前に転移するフレイラ
フレイラ:こちらでしたか師匠♪
アオイ:このお方こそ、天界宇宙第2位の権力者14天界王の1柱で3代目冥王ハデスのフレイラ様です。
リタ:フレイラ!あのね、フレイラもかいたんだよ。これあげる♪
フレイラ:なんと!この私めのために絵を・・・おお!素晴らしい♪
フレイラから絵を奪い取るデスガウスト公爵
デスガウスト公爵:こんなガキのラクガキ不愉快だ!
リタの絵を破るデスガウスト公爵
リタ:あ・・・・リタのえ。
デスガウスト公爵の肩を掴むフレイラ
フレイラ:・・・・おい、貴様。我が至高の御方たる恩師リタ様の絵になんて事するのだ!
デスガウスト公爵:イ、イダダダダ!貴様私を誰だと思ってる。こんな事してハデス様が黙ってはいないぞ‼︎
指輪を外すフレイラ
デスガウスト公爵:こ、この凄まじい
フレイラ:本人なら問題ないな?
デスガウスト公爵:ハ、ハデス様とは気付かず!どうか、どうかご容赦を‼︎
フレイラ:我が師が私のために描いた絵を貴様はよくも!
小雪:あ〜、やぶれちゃったべ。でもだいじょうぶ!こういうときは・・・
ポシェットから
小雪:さいせ〜のり〜♪
リタ:さいせいのり?
小雪:このやぶれたトコをこうして〜、こうして〜、こうするとぉ♪
破れた絵が綺麗に修復される
リタ:お〜!もとどおだぁ♪
デスガウスト公爵:お、お許しをーー‼︎
フレイラ:純粋な師匠の心を踏みにじった罪は万死に値する。
デスガウスト公爵の顔の前に冥界陣が現れる
フレイラ:その命で償え・・・
リタ:フレイラ!
フレイラに復元した絵を見せるリタ
フレイラフィルター
リタ:フレイラよ、物はいつかは壊れる儚きもの。しかしこれらはこの通り修復すれば元通りになる。が、命は失えば二度とは戻らぬ。許してやれ。他の者達に迷惑をかけるでない。
実際・・・
リタ:えはもとどおりだよ!だからそのひとゆるしてあげて。ほかのおきゃくさんにごめいわくだよ。
リタに跪くフレイラ
フレイラ:ハッ!このフレイラその様な事にも気付かず、お恥ずかしい!師匠の仰せの通りに致します!
デスガウスト公爵:た・・・助かったぁ!
青年:ですが、何かしらの罰は必要ですね。
フレイラ:お前が国を離れるとは珍しいな、それにお前の言う事一理ある。久しいな、ガプトラス。
ヨハネ:神殿に飾る絵を探しておりまして、天界大帝様と我等が魔界帝王様が絶賛した天才画家ミカン・ローランドさんの目利きで出す絵が良いと思いお忍びで参りました♪
アオイ:このお方が14天界王と同列の6大魔王の一角、ガプトラス教国魔王ヨハネ・ガプトラス教皇様です。
グリフィン族の貴族:己の見栄と独占欲で見られたら絵も可愛そうというものですぞデスガウスト公。
デスガウスト公爵:貴殿はグリフォート公⁉︎
エドガー:この子の描いた絵の『真の価値』を見出せねぇなら天界貴族随一の目利きと名高いデスガウスト公爵家の名が泣くんじゃねぇか?え?デスガウストさんよぉ!
アオイ:この方は魔獣貴族筆頭ユグドラシル族のミシュトラン大公直属の名門貴族、エドガー・グリフォート公爵様です。
デスガウスト公爵:うぐぐぐ!
杏:リタちゃんにごめんなさいするです!
デスガウスト公爵:なんだとこのガキ!
エドガー:その子への口の聞き方に気を付けた方がいいぞ、その子『14天界王に愛されし子』だぜぇ♪
デスガウスト公爵:え⁉︎
杏:ご・め・め・ん・な・さ・い・は?
デスガウスト公爵:す、すみませんでした!
リタ:もういいですよ♪
フレイラ:去れ!
デスガウスト公爵:し、失礼しましたー!
去り際に肩に手を当て囁くフレイラ
フレイラ:このまま公爵の地位でいられるとおもうなよ?師匠は寛大であられるからいいが、私は絶対に許さんぞ。覚悟しておけ。
足早に去るデスガウスト公爵
フレイラ:・・・・ん?師匠?
リタ:あのかみさまおどかしたでしょ?リタもういいっていったでしょ、このおばか!
フレイラフィルター
リタ:デスガウスト公を脅したであろう?私はもう許すと言った筈だぞ、この馬鹿者めが!
リタに跪くフレイラ
フレイラ:あの中でも私の愚行見逃さないとは!流石です師匠!
※たまたま見えてただけです
リタ:あとでごめんなさいするんですよ?
フレイラフィルター
リタ:後で謝っておくのだぞ?
フレイラ:ハッ!
頭の蜜柑をもぎ取るミカン
ミカン:さあ、この蜜柑をお食べ♪
リタ:リタしってる!ニホンのアニメでみたことある!アンパン・・・・
エドガー:お嬢ちゃんストーーーップ!
リタ:ほえ?
エドガー:それ以上はその世界の創造主にこの世界の創造主が本気で怒られるから。
リタ:それリタしってる!『ちょさくけんしんがい』っていうんでしょ?
エドガー:えらい詳しいな。
リタ:エッヘヘ〜♡
フレイラ:流石師匠です!博学であられる♪
ミカン:さ、こっちで食べましょう。
杏:は〜い♪
小雪:ミカンだべ♪
リタ:・・・・・ともぐい。
エドガー:それ共喰いって・・・・いうかもな。
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