第344話エルフの錬金術師

 アオイ:日々発展している魔界の科学技術。魔導工学もその1つ。今回は時代と共に消えつつある錬金術を専門とする客員教授のお話です。


 魔界時間11:00 帝王都サタンヘイルダム学術特区 ビーストヘッジ工科大学


 エルフ族の教授:フンフンフ〜ン♪


 コカトリス族の老教授:えらいご機嫌やなぁ。蓮はん。


 アオイ:彼の名はコカトリス族の京都迅乃助きょうとじんのすけさん。魔界宇宙魔導工学の重鎮です。


 蓮:今日は1000年に一度の降魔日食でしょ?ようやく『アレ』が造れるのよん♪


 アオイ:この方は天界から錬金術の本場の魔界で本格的な術を研究するためにこの大学へ客員教授として活動する、蓮・コレット教授。


 迅乃助:阿呆、降魔日食は昨日や。


 蓮:えーーー⁉︎また1000年待たないといけないのぉ〜。


 扇子を仰ぐ迅乃助


 迅乃助:何言うてんねや。エルフの寿命はせいぜい1000年。アンタは今2・・・


 蓮:レディ捕まえて歳をバラすんじゃなーーい!


 迅乃助:と、兎に角。アンタその頃にはポックリあの世行きやろうが。せや!そういえば学長はんが降魔日食が発する時空エネルギーの採取に成功したって言ってたなぁ。何ならアテが取り寄せたるさかい、それまで待っとったらよろし・・・って、もういないんかい!


 3時間後シーラント諸島連合国首都トワイライト島国際次元空港


 蓮:到着!さ、急いで観測所に向かうぞー!え〜っと、観測所フェザール支部行きのゲートは・・・あった!


 同時刻 連合国環境省 環境観測所フェザール支部


 オズワルド:まさか、この歳で本格的な刻寄せの儀をこの目で拝められるとは。


 アオイ:この方がビーストヘッジ財団総帥にしてビーストヘッジ工科大学の学長のオズワルド・ビーストヘッジさん。種族はキングベヒーモス。


 ルドルフ:長生きはしてみるものですなぁ♪


 アオイ:この方はワイバニア芸術文化大学の学長でルドルフ・ワイバニアさん。ワイバーン族でワイバニア公爵家の御当主様です。


 ウォルター:いやはや、アレは実に見事じゃったのぉ♪


 アオイ:そしてこちらがリバイアス国際医科大学学長ウォルター・リバイアスさん。リヴァイアサン族でこちらも魔獣貴族リバイアス公爵家の御当主様です。


 オズワルドのデバイスに着信が入る


 オズワルド:ん?私だ・・・わかった直ぐ戻る。


 ウォルター:急用ですかな?


 オズワルド:ええ、至急戻らないといけない用が出来てしまいました。


 ルドルフ:それは残念ですなぁ。こういう機会はそうそうないというのに。


 オズワルド:では失礼。


 2時間後・・・


 ウォルター:さあ、我々はホテルに戻りますか。どうです?今夜辺り一杯♪


 ルドルフ:いいですなぁ・・・・ん?


 入れ替わりに会議室に入る蓮


 蓮:オズワルド学長ーーー‼︎・・・・あれ?


 ルドルフ:ん?君は?


 蓮:蓮・コレット。


 ウォルター:コレット・・・コレット。おお!ビーストヘッジ工科大学客員教授のコレット君か。残念ながらオズワルド学長ならつい2時間前に大学へ戻ったぞ。


 蓮:えーー!行き違いーー!?


 ルドルフ:4時間後の便で帰ると言ってたな。今なら追いつくかもしれんぞ♪


 蓮:失礼しましたー!


 慌てて会議室を出る蓮


 ウォルター:慌ただしい事じゃのぉ♪


 国際次元空港出発ロビー


 蓮:あ!いたー!おー・・・


 蓮の前を団体が通る


 ガイド:は〜い、この先で入国手続きをしま〜す♪


 観光客A:ここが南国の楽園シーラントかぁ。


 観光客B:早くホテルに行って休みた〜い!


 蓮:ちょ!どいて!


 団体が過ぎるとオズワルドの姿が見えなくなる


 蓮:うえ〜ん!見失った〜。


 電光掲示板見る蓮


 蓮:つ、次のサタンヘイルダム行きの便は・・・えーー!今日の便全て満席⁉︎


 蓮のデバイスが鳴る


 蓮:はい?あ、教授。


 迅乃助:まったく、人の話聞かんで飛び出しよってからに。そっち行かんでも今日帰ってくるって言おうとしたのにこの阿呆!どうせ満席だったんやろ。


 蓮:よくわかったね。


 迅乃助:そらそうや。降魔日食と台風を操るドラゴン種の巨獣アラシノオトシゴの影響で休眠期に入る1週間までそこで足止めやこのど阿呆!


 蓮:えーー⁉︎そんなぁ。


 迅乃助:ま、せいぜいバカンスでもしてきなはれ♪


 蓮:ほ〜い。














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