第341話南海の工業島

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 アオイ:さあ!リンネ島調査もいよいよ大詰め。その後はシルフィード王国VSシーラント諸島連合国の国土争奪戦争ですよ♪え?『平和な魔界で戦争⁉︎』ですって?フフッ、戦争と言っても魔界の戦争は皆さんの思うようなものではありません。戦争とは名ばかりのエンターテイメント。誰も傷つかず死なない戦争なんですよ♪


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 アオイ:え?リンネ島調査完結と国土争奪戦争まで尺があるから特別回をやるですって⁉︎・・・はぁ、またこのパターンですか。それでは第341話スタートです。


 リンネ島上陸から3日前 ファクトリウス島


 アオイ:ここはシーラント諸島連合国の首都があるトワイライト島から遥か北西部に位置する工業島。この島を所有するのは魔界宇宙財界に君臨する12人の王の称号を持つ『トゥエルブ』の一角『重工王』ゴレオン重工グループです。それにしても海域一帯を買い取るなんて凄い財力ですよね。しかも人界でいう北アメリカ大陸程の島を『造る』のですから。


 アロハの化け狸:何?鋳造エリアでライントラブルだと⁉︎・・・しょ、しょうがねぇなぁ♪あ〜、わかった。今すぐ保全部の連中連れて行くから待って・・・


 秘書:リクイチ統括工場長、どちらへ行かれるので?


 アロハの化け狸:え?あ〜、そのぉ、なんだ。鋳造エリアでライントラブルがあってよ。


 アオイ:この方はファクトリウス島の全権を預かるジュン・リクイチ統括工場長。元は町工場の職人さんで、ゴレオン重工グループCEOのダレス・ゴレオン氏から直々にスカウトされたいわば『現場人』です。


 秘書:はぁ、ライントラブルなら鋳造エリアのエリア長と保全部が居れば対処出来るでしょう。少しは自身の『立場』をお考えください!


 ジュン:で、でもよぉ。俺ぁ、どうもデスクワークってのが苦手で。


 秘書:本来貴方はシーラント諸島連合国支社長か、専務のポストにあっても全然おかしくないキャリアと実績、それに人望もあるんですよ。


 ジュン:そりゃあわかってるさ。だがどうにも俺は現場作業が性に合ってるっていうか。


 秘書:そう言うだろうと思いまして『現場での仕事』がつい先程入りました。


 ジュン:ほ、本当か!


 秘書:ええ・・・あ。丁度かかってきたようですね。


 中央のモニターに映るゴーレム族の男性


 ジュン:ゴレオンさん⁉︎


 ダレス:暫くぶりだなジュン。


 アオイ:この方こそ、魔界宇宙工業系企業の支配者『重工王』ダレス・ゴレオン氏です。


 ダレス:この度我が社と魔界宇宙有数のIT企業クロノライド社とで共同開発する時空ナビシステム搭載艦『ネメシス』建造の件は聞いてるな?


 ジュン:ええ。


 ダレス:後は組み立て工程というところでそのネメシスの納期が早まった。


 ジュン:それはいつで?


 ダレス:明後日だ。


 ジュン:それはまた急な事ですな。


 ダレス:そこでその組み立て工程をジュン、お前の所に依頼したい。


 ジュン:え⁉︎ウ、ウチでですかい?


 ダレス:完成後即納品という形になる、出来るか?


 ジュン:おいおいゴレオンさんよ〜、職人捕まえておいて『出来るか?』はないでしょう。そこは『出来るな』でしょ?


 ダレス:ハハハ!頼もしいな♪わかった。では頼むとしよう!


 ジュン:任せてくださいよ♪


 翌朝 ファクトリウス島 組み立てエリア工場内


 エリア長:朝礼呼称!保護具着用、危険箇所示唆確認、安全確保ヨシ!


 従業員一同:保護具着用、危険箇所示唆確認、安全確保ヨシ!


 エリア長:上司への報連相ヨシ!


 従業員一同:上司への報連相ヨシ!


 エリア長:今日も1日安全作業でいこうヨシ!


 従業員一同:今日も安全作業でいこうヨシ!


 エリア長:え〜、本日はいつもの作業とは違う。しかも急ぎの作業だ!


 騒つく作業員達


 エリア長:静かに!それについて統括工場長よりお話がある!さ、統括工場長。


 ジュン:ん?ああ。え〜、お前等は我がゴレオン重工グループとクロノライド社との共同開発で建造される時空ナビシステム搭載艦ネメシスは知ってるな?そのネメシスの納期が急に明日になり、しかもその組み立て工程をウチがやる事になった。


 再び騒つく作業員達


 エリア長:静かに聞け!


 ジュン:まぁ、無理もねえか。俺もつい昨日、ゴレオンCEOから聞いたばかりだからな。だが、これは造船・水産超大国シャークハルト共和国から魔界宇宙第1位のトップシェアを勝ち取る最大のチャンスでもある!俺達でそいつをやってのけようじゃねぇか!


 作業員一同:おーーーーーー‼︎


 ジュン:いいかお前等、今回はいつもと違って本社直轄の工場から直にここに転送される。次元搬入路前は危険を伴う。巻き込まれたら何処の異世界に飛ばされるかわかんねぇし、大型のパーツの下敷きにもなり兼ねねぇ。充分注意して作業にあたれ。よおし、作業開始だ!


 作業員A:主任!工具が足りません!


 主任:それは第2倉庫に在庫がある!


 作業員B:それにしてもさあ、いつもながらDコーティングは凄いよなぁ。工場全体をコーティングすれば1年、2年かかる仕事も1日で俺達に負担なく作業出来るんだから。


 アオイ:彼等の言うDコーティングというのは、ディメンジョンコーティングの略で、これを施す事で外部の時間での1時間がコーティング内では1カ月となるのです。


 作業員C:ま、そのためには『浦島現象』を防ぐ専用のナノマシンを投与しとかないとな。


 アオイ:浦島現象というのはDコーティング内に長時間いると外に出た時その反動で中にいた時間分歳をとる現象の事です。そのためそれを安全に防ぐ専用のナノマシン投与が法律で義務付けられてるのです。


 主任:コラお前等!もうお前等の休憩時間とっくに過ぎてるだろ!とっとと次の作業者と代われ!


 作業員B:やっべ!


 翌朝 魔界時間7:45


 ジュン:なんとか納品に間に合ったな。


 エリア長:これも統括工場長が居たからですよ。


 ジュン:馬鹿野郎、あいつ等の頑張りがあったからだろうがよ!


 エリア長:そうですな♪


 ジュン:さ、飯にするか!


 エリア長:お供します。勿論、統括工場長の奢りで♪


 ジュン:な!ま、いいか♪





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