第336話深層の宝玉

 アオイ:魔神シェリルの自由を奪う壺から解放するべくアラシノオトシゴが餌場とするサトウキビ畑のあるシュガール島へと向かうのですが・・・おや?先客がいるようですね。


 魔界時間13:00 シュガール島海岸


 アルバイト:店長、誰もいませんね。


 方翼の堕天使:そうだねぇ。毎年アラシノオトシゴが目を覚ます前にこの島の清掃があるんだけど・・・何かあったのかな?


 アルバイト:そういえばこの島のサトウキビ畑を管理してる農家さんもいませんね。


 方翼の堕天使:まぁ、先に始めてようか。


 アルバイト:ですね。


 同時刻シュガール島上空


 アラシノオトシゴ:グフォ、グオーーン。


 ハル:『もうすぐわしのシマに着くけぇ、落ちんようにしっかり掴まっておいてつかぁさい』と言ってます。


 アオイ:この方は杏姫の4人の従者の1人で天界宇宙最強の古代兵器ヴァルキリーのハルさん。正式名称はタイプ01です。ハルの名付け親は杏ちゃんですよ♪


 杏:サトウキビがいっぱいです♪


 アラシノオトシゴ:グオ?グオングフォ、グオン?グオーン。


 ハル:え?『あん?彼処に誰かおるのぉ、誰じゃ?わしのシマにおるんは』ですか?あ、本当ですね。


 ミランダ:あの方翼・・・まさか。


 アオイ:この方は杏ちゃんの従者の1人、堕天使のミランダ・レイナード。天界宇宙中央政府特務機関『シャドーエンジェル』の元長官です。


 地上


 アルバイト:て、店長!あ、アレ!


 方翼の堕天使:あれは、アラシノオトシゴ⁉︎休眠期から目覚めるのはまだ3日先の筈。それがどうして⁉︎


 ゆっくりと降りるアラシノオトシゴ


 アラシノオトシゴ:グオン、グルオン!グオーングオ!


 アルバイト:え?え?何か言ってるようだけど何言ってるかサッパリわからない。


 アラシノオトシゴから降りるハル


 ハル:僭越せんえつながら訳させてもらいます。『おどれらわしのシマで何しとるんじゃい!事と次第によってはブチのめすけぇのぉ!』だそうです。


 アルバイト:ひぇ〜、お助け〜!


 方翼の堕天使:参ったねぇ。


 ミランダ:やっぱりお前か。久し振りだな、ハイネ♪


 ハイネ:ちょ、長官⁉︎


 アオイ:ではご紹介しますね。この方は堕天使のハイネ・水瀬さん。彼女はシャドーエンジェルの元隊員です。


 ミランダ:アラシノオトシゴ、コイツはお前の敵じゃない。身元は私が保証しよう。


 アラシノオトシゴ:グルォン、グオン。


 ハル:『なんじゃい、おんしの知り合いか。なら居ても構わんぞ』だそうです。


 ミランダ:あれからお前何をしてたんだ?


 ハイネ:貴女が天界宇宙中央政府の闇の根源だった袋井耀蔵ふくろいようぞうに長官の任を解かれて後、貴女のいないシャドーエンジェルにいる意味を感じられなくなってから除隊してこの魔界に移住しました。


 ミランダ:そうか。


 ハイネ:今はリサイクルショップの店長やってます。


 ミランダ:それが何故この島に?


 ハイネ:環境美化のために各島の清掃活動に参加してるんですよ。そこで見つけた物を修理したりして店に出すんです。魔界って天魔大戦以降、科学と経済が爆発的に発展したのは魔族達の『勿体ない精神』が強く根付いているからなんです。


 ミランダ:それに習ってというわけだな?


 ハイネ:そうです・・・あ、そうだ。


 ミランダ:ん?


 ハイネ:そこのアラシノオトシゴの休眠から目覚める前にこの島を清掃する事になってたんですけど・・・何か知りません?アラシノオトシゴもいつもより休眠から目覚めるのが早いようですが。


 事情を説明するミランダ


 ハル:成る程、そういう事があったんですね。


 ミランダ:『あったんですね』ってお前知らなかったのか?


 ハイネ:ええ。このアルバイトの子と天界に里帰りしてたんで。


 ミランダ:そういう事か。


 ハイネ:そういう長官こそここへは何しに?


 ミランダ:もう長官ではない。ミランダで良い。実は・・・


 アラシノオトシゴから身を乗り出して叫ぶシェリル


 シェリル:あーーーーー‼︎


 ハイネ:うわ!びっくりした。


 ハイネに詰め寄るシェリル


 シェリル:そ、そそその宝玉!


 ハイネ:ち、近い近い!ああ、コレ?さっきアルバイトの子が見付けてきたんだ。


 シェリル:間違いない、私が探してた『深層の宝玉』だ。


 ハイネ:ほい。


 シェリルに宝玉を投げるハイネ


 シェリル:うおっと!き、貴様、もっと大事に扱え!割れたら一生この壺から解放されないままになるところだったんだぞ!


 宝玉に念を送るシェリル


 杏:ふお!ツボにヒビがはいったです!


 小雪:おお〜!


 リタ:ドキドキ。


 眩い光と共に壺が割れる


 シェリル:うおーーー!自由だーーー!


 宝玉が杖に変わる


 シェリル:こうして杖も戻った。これで完全復活だ!あとは浄化されれば私は晴れて女神に戻れる♪


 アラシノオトシゴ:グオン、グフォングオ。


 ハル:『そっちはめでたしめでたしじゃが、わしの方はどうなっとるんじゃ』と言ってます。


 シェリル:ああ。お前達が見たというクロノゴンの後ろ姿か。あれはゲルマルクが見せた幻術だ。気配とクロノゴンが放つ時空エネルギーを加えたな。なんのためにやったかは分からんが。


 ウグイス:大方1000万と12年後にコイツらに全面戦争させて国を滅ぼそうとか考えてたんだろ。あの馬鹿のやりそうな事だ。


 ※大正解


 アオイ:この方は杏ちゃんの4人の従者の1人、ヴァルキリーのウグイスさん。正式名称はタイプ03です。


 アラシノオトシゴ:グオーーン!


 ハル:『なんちゅう奴じゃ許せん!』だそうです。


 鱗から聞こえるクロノゴンの声


 クロノゴン:グオン、グルォーーン。


 ハル:『実に不愉快な奴でですね』と言ってます。


 杏:みつけたらオシオキです!


 リタ:ぜったいにゆるせない!


 小雪:お〜しおきだべぇ〜!


 ウグイス:小雪ちゃん、あんたのそのセリフは知ってる奴が聞いたらシャレにならなくなるからやめた方がいいぞ。


 小雪:なしてだ?


 ウグイス:なしてでも。


 小雪:ほ〜ん。


 テノテノ:さ、これで事件の真相も真犯人もわかった事だしリンネ島に戻りましょ♪











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