第334話女盗賊の秘密と悪しき魔神(前編)

 アオイ:アラシノオトシゴの餌場襲撃事件の真相を確かめるべく一行は事件現場であるシュガール島へ向かうのですが、杏ちゃん達はどうやらお疲れ気味のようですね。


 魔界時間10:00 シュガール島近海上空


 テノテノ:もうすぐシュガール島ね。


 杏:あんずおやすみしたいです。


 小雪:オラもつかれたべ。


 リタ:リタも〜。


 テノテノ:そうね、近くの島で休憩しましょう。


 テノテノを無言で見る小無知


 テノテノ:な、何?


 小無知:テノテノって、時折盗賊らしくない雰囲気を醸し出すわよねん。まるで何処かの国のお姫様・・・って歳じゃか。女王様みたいな?


 テノテノ:ナ、ナナナナンノコトカシラ〜?


 晃斗:(図星か)


 ウグイス:(図星かよ)


 ハル:(図星ですね)


 鬼鉄:(図星かぁ)


 テノテノ:あ!島が見えてきたわ!彼処に行きましょう!


 10分後ストームライト島上陸


 テノテノ:流石に誰もいないかぁ。


 鬼鉄:この島も降魔日食の影響下にある海域の島ですからね。ここも連合国政府から避難勧告が出てるでしょう。


 小無知:でもあのお店はやってるみたいよん・・・ホラ。


 営業中の看板が下がっている


 テノテノ:ホントだ。『喫茶ばあちゃん家』だって。


 店内に入る


 老婆:いらっしゃいませ。さ、こちらのテーブル席へどうぞ♪


 テノテノ:へぇ、人界の文字にもなるんだ♪え〜っと、私はハーブティで。貴女達は。


 杏:こぶちゃ!


 小雪:うめこぶちゃ!


 リタ:げん・まい・ちゃ!


 ウグイス:渋っ!


 ソロモン王:店主、其方はこの店を1人で切り盛りしてるのか?


 お茶を淹れながら話す老婆


 老婆:いいえ、主人とアルバイトの子が2人の4人でやってます。でも去年主人が亡くなって、今はアルバイトの子達と3人ですね。


 テノテノ:ここも避難勧告が出ているのですよね?


 老婆:ええ。アルバイトの子達は避難しました。さ、どうぞ♪


 ちびっ子3人:・・・・・ほぅ♡


 鬼鉄:どうして残ったのですか?


 老婆:私はもう歳ですし、それに主人との想い出の詰まったこの店を捨てて避難するなんて事は出来ませんから。そういう貴女達はどうしてこの島へ?



 テノテノ:実はアラシノオトシゴの餌場であるシュガール島で1000万と12年前に起こった襲撃事件の真相を知りたくてこの島に立ち寄ったのですが。お婆さん、何か心当たりありませんか?この島に伝わる伝承か伝説とか。


 老婆:そうねぇ・・・・あ!あるわ、ありますよ!丁度同じ時期に起こった魔神の伝説が。


 鬼鉄:これは当たりかもしれませんね!


 テノテノ:そうね、聞かせてもらえますか?


 老婆:良いですよ。今から1000万と12年前、この島にどこからともなく1つの大きな壺が流れ着きました。


 テノテノ:壺?


 老婆:その壺を拾った島の青年はその壺の蓋を開けました。恐ろしい魔神が封じられてるとも知らずに。


 鬼鉄:それで?


 老婆:蓋を開けると中から妖しくもとても美しい女の魔神が現れたのです。そして魔神は封印を解いてくれたお礼にどんな願いでも叶えると言いました。


 テノテノ:私が居た世界の砂漠の魔神と少し似てるわね。


 小無知:私?『アタイ』じゃなくて?


 テノテノ:今はそんなの良いから!続けてください。


 老婆:でもそれは魔神の甘い罠だったの、邪な願いをさせて、青年の心を貪り食べるのが目的だったの。そして、その青年を廃人にしたわ。


 テノテノ:とんでもない奴ね。


 老婆:でも、魔神の悪行も長くは続かなかったわ。


 晃斗:何があったんだ?


 老婆:その魔神はサトウキビ畑のあるシュガール島で何かを探してたようだったわ。


 鬼鉄:何を探してたんですか?


 老婆:さあ?でもそこへお忍びで来ていた6大魔王のお1人であるガプトラス教皇様が激闘の末に再び封じたそうよ。これがこの島に伝わる魔神の伝説よ。


 テノテノ:魔神はあの島で何を探してたんだろう?


 晃斗:兎に角行ってみればわかるだろう。


 老婆:行くなら気をつけてくださいね。絶対に蓋を開けてはいけません。開けた時点で魔神との契約が成ってしまいますから。


 鬼鉄:美味しいお茶とお話ありがとうございました♪


 老婆:いいえ。私も楽しかったわ。また来てくださいね♪


 後編へ続く・・・





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