第304話南海大海戦を阻止せよ!(前編)

 アオイ:テイサツペリカンからの報告でフォートレストータスがアイランドクラブの縄張りに一直線に進んでるとの報告を受け大海戦のカウントダウンが迫っています。この2体が接触したらまさに地獄絵図。果たしてオリビアさん達は無事回避出来るのでしょうか?


 魔界時間 13:00 ブルーランク海上空


 杏:カメさんいたです!


 オリビア:確かにあのままいくとアイランドクラブの縄張りであるクラブ海に到達してしまう。


 デバイスで通話するオリビア


 オリビア:晃斗聞こえる?


 ケンペイペリカンの背に乗る晃斗


 晃斗:ああ、こっちは予定通りフォートレストータスの甲羅に到着する・・・ん?


 オリビア:どうしたの?


 晃斗:甲羅の後ろに人影らしいのが見えた。


 オリビア:え⁉︎


 同時刻 フォートレストータス 甲羅格納庫区画


 ミリア:うぅ〜。何でこんな目に。


 アオイ:この方魔王少女物語の準主役の1人ミリア・アクガリタルさん。どうしてあんな所にいるのでしょう?


 桜:参ったね。一度休眠状態に入ると1週間は動かないって聞いてたのに。


 アオイ:こちらの方は魔界宇宙最強の傭兵団『黒翼の剣』の副団長さん。どうやらミリアさんの護衛として依頼を受けてたようですね。


 ミリア:それにガイドブックにある回遊ルートでもないし。


 再び甲羅後方上空


 晃斗:ん?フォートレストータスの後方にヘリが飛んでるな。


 高速ヘリ内


 惠:あわわわ!大変な事になったニャー!


 アオイ:この方はアクガリタル国の科学大臣で惠・木天蓼またたびさん。どうやらハイビス大統領との会談を終えた後にアクシデントにあったようですね。


 高速ヘリに通信が入る


 オリビア:こちらはフォートレストータスより上空3000mのオリビア・火乃酉。応答願います!


 惠:私はアクガリタル国科学大臣、惠・木天蓼ニャ!火乃酉ってもしかして巨獣専門医の火乃酉さんかニャ?


 オリビア:ええ。


 惠:助けてほしいのニャ!ウチの総理大臣があの亀の甲羅の中にいるのニャ!


 オリビア:何ですって⁉︎


 惠:仕事終わりの観光で休眠状態に入ったあの亀の甲羅要塞の見学ツアーに来たのだけど、ミリアとその護衛の依頼で一緒に来てた桜・乱捕らんとりが入った途端に動きだしたのニャ!


 オリビア:他に観光客は?


 惠:ハイビス大統領の好意で貸し切りになってたから2人以外いないのニャ。


 オリビア:アクガリタル総理大臣のアドレス教えてくれる?確認したい事がああるの。


 惠:わ、わかったのニャ!そっちに転送するのニャ!


 再び甲羅格納庫区画


 ミリアのデバイスが鳴る


 ミリア:もぉ〜!誰?こんな時に・・・惠からのメール?


『今からそっちに巨獣専門医のオリビア・火乃酉から電話がかかるのニャ。ミリアに確認したい事があるから教えてあげてほしいのニャ』


 その直後に着信が入る


 ミリア:はい。


 オリビア:ミリア・アクガリタル総理大臣ですね?


 ミリア:はい。確認したい事があると惠からメールがあったのですが。


 オリビア:確認というのは、甲羅に入った時『クルータートル』はいませんでしたか?


 ミリア:そういえば1匹もいませんでした。


 オリビア:変ね。休眠状態に入ると体内の安全確保の為に動きが活発になるから必ず見かける筈なのに。彼等を指揮するリーダー格の『コマンダータートル』もいなかったですか?


 ミリア:いません・・・・あ!


 オリビア:どうしました?


 ミリア:ア、アレ。『垂直カサゴ』だ!いっぱいいる!


 オリビア:なんですって⁉︎


 晃斗:垂直カサゴ?


 ミリア:自分より遥かに大きな巨大海洋生物の体内に侵入してシェルダーホタテに激突させて中の身を食べる習性がある魚で、鮮度が落ち易い事から刺身は獲ったその場でしか食べられない高級魚でもあるんです!


 桜:詳しいね。


 ミリア:食べるのと同じくらい料理も好きなので♪


 オリビア:晃斗聞いてた?原因は垂直カサゴよ。


 ミリア:でも変ね。


 オリビア:垂直カサゴの天敵であるクルータートルがいないから好き放題してるって事ですよね?


 ミリア:流石巨獣専門医♪そうなんです。彼等はクルータートルがいるのを知ってるから本能的に近付かない筈なんだけど・・・


 晃斗:それで、作戦は?


 桜:その声は・・・鷹橋晃斗たかはしあきとか?伝説の巨獣ハンターの。


 晃斗:これは驚いた。魔界宇宙最強の傭兵団の副団長とは。久し振りだな。


 桜:あの時は敵同士だったね♪


 晃斗:巨獣を狩る側の俺と巨獣を保護する保護団体に雇われた側のお前とな♪今はハンターから足を洗ってオリビアとコンビ組んで巨獣保護活動をしている。


 オリビア:盛り上がってるトコ悪いんだけど、作戦内容いいかしら?


 晃斗:ああ、すまない。


 オリビア:当初の予定だとこのまま晃斗に甲羅内に侵入して原因を探ってもらうところだったんだけど、桜さんがいて原因がわかったからには晃斗にはこの先のアイランドクラブの縄張りに行って彼の偵察隊であるソナークラブの撹乱をして時間を稼いで!


 晃斗:応!


 桜:私達は?


 ミリア:もしかして私も巻き込もうとしてる?


 桜:貴女は私が退治した垂直カサゴを調理して食べてもらうよ。それならやってくれるだろ?


 ミリア:まぁ、それくらいなら・・・ん?


 桜:こっちは了解した。ついでにコマンダータートルとクルータートル達がいない原因を探ってみるよ。


 オリビア:お願い!


 垂直カサゴの群れが取り囲む


 桜:おやおや。すっかり囲まれたね・・・って。ミリア?


 包丁を持って目が座ってるミリア


 ミリア?:ソイツ等はリーダー格を倒せば気を失う。アンタはリーダー格の額にある赤い宝石を撃ち抜け。ソレが奴の急所だ。その後は・・・任せろ。


 桜:ミ、ミリア?


 惠:どうしたのニャ?


 桜:ミリアの様子がおかしいんだ。包丁拾った途端に人格が変わったというか・・・


 惠:あ〜。それ多分『あのスイッチ』かもしれないニャ。


 桜:あのスイッチ?


 惠:伝説の料理人『灼眼の女神』って聞いた事ないかニャ?


 桜:あ〜、あるある。魔界宇宙美食家の2大巨頭ミシュトラン大公とベルゼブブ公爵を満足させ続けた伝説の料理人だろ?


 惠:ソイツがご本人ニャ。


 桜:ええ⁉︎


 冷たく鋭い眼光で睨むミリア?


 ミリア?:何をしてる。早くやれ。


 桜:怖っ!ハイハイ、わかりました・・・よっと!


 素早く動く回るリーダーカサゴの額の宝石を撃ち抜く桜


 ミリア:・・・いくぞ!


 瞬く間に全ての垂直カサゴを捌くミリア?


 桜:あの数を一瞬で捌いた。大したモンだねぇ♪


 包丁を仕舞うと元の人格に戻るミリア


 ミリア:うわ〜!垂直カサゴのお刺身がいっぱい♡桜さんが捌いてくれたんですか?


 桜:覚えてないのかい?


 ミリア:え?桜さんじゃないんですか?まっ、いっか。いっただっきまーーす!


 そして瞬く間に平らげるミリア


 桜:料理人モードのミリアも凄いけど腹ペコ大魔王のミリアも凄いね♪


 1時間後牢屋区画


 桜:居た!


 全ての鍵を撃ち壊す桜


 コマンダータートル:グオッ!グオーー!


 クルータートル:グーオー!


 フォートレストータス上空


 オリビア:マズイ!もう距離がない!


 晃斗:まだか⁉︎こっちも限界だ!


 縄張りの境界海域直前で止まるフォートレストータス


 オリビア:と・・・止まった!


 晃斗:間一髪か。


 オリビア:後はアイランドクラブの方ね。


















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