第247話ポワロ教授の事件ファイル(後編)
アオイ:次元鉄道超大国トレイント共和国の鉄道ミュージアムで起こった障害事件。現場から消えた魔王具『メモリアルロッド』果たして盗んだ犯人の意図とは?それではポワロ教授の事件ファイル後編の始まりです。
事件発生1時間後 魔界時間17:35 首都鉄道ミュージアム館内
ジョン:それでは先ず事件のおさらいといきましょう。事件が発生したのは今から1時間前。明日から期間限定で開催されるここ『魔王具展』の会場内で起こりました。被害者は鉄道ミュージアム警備員コボルト族のトム・ハーリー。明日の魔王具展に備え警備中何者かに鈍器の様な物で後頭部殴られ現在一命を取り留めるものの未だ意識不明の状態です。
曲輪警部:医師の話では後15分程で意識を取り戻すそうです。
ジョン:それは良かった♪さて、事件発生と同時にこの会場から消えた魔王具があります。トム氏の側に展示されていた『メモリアルロッド』です。そこには転移魔法の痕跡と残留思念が一緒にあった・・・でしたね警部。
曲輪警部:はっ!その通りであります‼︎
ジョン:それで、科捜研の鑑識結果は?
曲輪警部:はっ!それが・・・・
ジョン:警部が言えないのも無理はありません。何故ならその残留思念の持ち主には『犯行は絶対に不可能だから』そうだね?瑠偉君。
瑠偉:はい。
ルドルフ:な!それはどういう事だ⁉︎絶対に卑しい人間が盗もうと警備員の背後から襲い転移魔法で盗んだんだろうが‼︎
ジョン:それが『絶対に無理』なのですよ。瑠偉君。説明を。
瑠偉:はい。鑑識官から分けてもらった残留思念のサンプルを地獄界の閻魔庁に届けて鑑定を依頼した結果。この残留思念の持ち主は50年前に人界で亡くなった悪徳魔法使いで。今もなお地獄で服役中なんです。
ジョン:その悪徳魔法使いは転移魔法を得意とする方で、かつて魔界宇宙国際警察本部があった公安超大国旧ポリスティア帝国で国際指名手配されていたそうです。容疑は違法魔道具窃盗。それを『ある天界政府の大物議員』に『密売していた』そうです。
ルドルフ:(マ、マズい。これはマズい展開だ)
曲輪警部:そのため何度も証拠として犯人に記憶を読み取って投影して突きつけていたためか魔王具メモリアルロッドの記録に1番多く残っていたのですよ。
エリカ:そういえばアンタ、教授の身元・アリバイ確認の時『何か見られてはマズいものでも記憶されていたに違いない』って言ってなかったっけ?
ルドルフ:い、言うわけ無いだろ!よ、酔って記憶が曖昧になってたんじゃないのか?
エリカ:私、昔から酔ってても記憶はしっかり残ってるって周りから珍しがられたし。顧客の中には接待と称して思いっきり酔わせて記憶が曖昧になる事をいい事に自分の都合の良い様に契約を結ばせようとするのがいるけど。私がしっかり覚えてるのに焦った顔をよく見るし。それに・・・
腕輪型レコーダーを再生するエリカ
ルドルフ:『何か見られてはマズイもの』でも記憶されていたに違いない!
エリカ:ね?酔っ払った時の記憶違いでは?ってすっとぼけられるのを防ぐためにいつも呑んだらこうして録音する事にしてるから♪一流大銀行頭取の嗜みってやつよ♡
ルドルフ:ぐぬぬぬ!
スゥ:マナ様!
マナに耳打ちするスゥ
マナ:アリガト♪教授。瑠偉さんが閻魔庁の鑑定結果を伝えている間にその悪徳魔法使いに事情聴取をしてもらった結果。『ある天界政府の大物議員』の名前を教えてもらいました。
ルドルフ:(チッ!余計な事を!)
ジョン:ルドルフ・キリングさん。貴方ですね?盗んだ魔道具の密売の『常連客』というのは。
ルドルフ:ぐぬぬぬ〜!
マナ:教授。1つ『大きな疑問』があります。『魔王具盗難の実行犯』とその『犯行のトリック』です。
ジョン:そうだね。その謎を解く答えをダルトンから教えてもらったよ。実行犯もね♪
ダルトン:え?俺?・・・ああ。『スピリットリング』の事か。
ジョン:アレの最後の持ち主は霊媒超大国旧シャーマニア連邦最後の大統領『クロウ・スピリアル』
エリカ:スピリアル・・・・あ!
ジョン:そう。ここの職員、飛鳥・スピリアルさん。貴女が実行犯なのですよ。
エリカ:じゃあ警備員のトムさんを殴ったのも?
マナ:いえ。彼女はメモリアルロッドを転移させた後スピリットリングでメモリアルロッドの中にあった悪徳魔法使いの証拠の一部である残留思念を抜き取り転移魔法の痕跡に混ぜただけにすぎませんよ。実際殴ったのは・・・ルドルフさん。貴方ですね?
ルドルフ:な!何を言い出すのだ‼︎
ジョン:飛鳥さんは元々転移魔法はあまり得意ではありませんでした。そのため直ぐに元の場所に戻ってしまいます。それを知らない貴方は上手くいったと思い現場に来たところ運悪く転移させた筈のメモリアルロッドが戻ってきて。そこに交代で戻ったトム氏と鉢合わせ応援を呼ぼうと振り返った瞬間をその手に持ってるステッキで殴った。そうですね?
ルドルフ:デ、デタラメだ!想像、推測に過ぎない!だいたい、証拠が無いではないか!
ジョン:ありますよ。『証拠』
ルドルフ:なんだと⁉︎
ジョン:貴方の持つステッキですよ。とっさに戻って洗浄液で血を洗っていますが。目に見えないだけで、その洗浄液ではコボルト族血は完全には消せません。科捜研に鑑定を依頼すれば1発ですよ♪もし貴方が『潔白』と言うのならば当然。正々堂々と警部に差し出す事が出来ますよね?
ルドルフ:うっ‼︎
ジョン:4界宇宙国際法では宇宙中央政府議員は一国の警察機関では逮捕出来ません。が、貴方はもう中央政府議員ではない『一般神』です。これにより、曲輪警部には逮捕の権限があります。
曲輪警部:ご同行願えますな?・・・それ!身柄を拘束しろ!
ルドルフに手錠をかける警官
曲輪警部:では自分はこれで!
飛鳥:警部さん!
曲輪警部:ん?
両手を差し出す飛鳥
飛鳥:私もこの事件の実行犯・・・
ジェームズ:彼女は!彼女は『警備員の抜き打ち防犯訓練の犯人役』です!なのでこの事件とは一切関係ありません!
館内に入るトム
トム:そ、そうです!彼女はこの事件とは無関係です!
飛鳥:・・・・館長!トムさん!・・・私、私‼︎
曲輪警部:行くぞ。
ルドルフ:何を言ってる!こいつは・・・
曲輪警部:空気読め!サッサと連行しろ!
警官:ハッ!
曲輪警部:では教授。自分等はこれで!
ジョンに敬礼する警部達
ジョン:ご苦労様でした。
15分後館内BAR
エリカ:それにしてもどうしてメモリアルロッドを?
飛鳥:私の目的はメモリアルロッドではなく、スピリットリングのみです。それに手を出そうとしたところルドルフさんに見られて『メモリアルロッドを盗め。なに、ついでだろ?断れば・・・わかるな?』と脅されて。
マナ:相変わらずね。
飛鳥:スピリットリングを盗むつもりは微塵もありません。お婆ちゃんから聞いた祖先が残したメッセージを聞きたかっただけで。ルドルフさんはそれを盗もうとしていたと誤解しただけです。
ジョン:メッセージは確認出来ましたか?
飛鳥:はい。
ジェームズ:実は昨日の昼に彼女から相談を受けて帝王都魔王具博物館に許可を取ってあったので。
エリカ:じゃあ飛鳥さんはちゃんと正当な手続きをしての行為だったから全然問題ないじゃない!
飛鳥:それが、何処で聞きつけたのか。父の借金の話も持ちかけて。それが知れたらここで働けなくなると思い・・・
ジェームズ:そんなのあの時一緒に話せば良かったのに。君のお父さんの借金など関係ありませんよ。それにその額なら全額肩代わり出来ますよ。働きながら少しづつ返せば良いのですから♪
飛鳥:ありがとう・・・ございます!
ジョン:さ。瑠偉君。マナ君。行きましょう。これ以上は野暮ですよ♪
マナ&瑠偉:はい!
ジョン:君はどうするんだい?ダルトン。
ダルトン:俺ぁ別の店で一杯ひっかけてから帰るつもりだ。ここじゃお邪魔だろうしな。ジョン、付き合え♪
ジョン:勿論だ♪
ミュージアムを出るエリカ
エリカ:さ〜て。どうしようかなぁ〜。
シエル:エリカ!
エリカ:シエル⁉︎
シエル:この後次の出張先のビバロン王国に行くんだけど・・・一緒にどお?
エリカ:行く♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます