第245話ポワロ教授の事件ファイル(前編)

 アオイ:基本争いを嫌う私達魔族にはこれといって事件らしい事件はあまりありません。だからといって『絶対に無い』とは言い切れないのです。


 魔界時間10:00 獣王界 ワイバニア芸術文化大学


 大学内カフェテラス


 瑠偉:あ!ここに居たんですか。先生。


 アオイ:彼女の名は氷女河瑠偉ひめかわるい。犯罪心理学の准教授です。種族は雪女族。


 ジョン:私を探してたのかね?瑠偉君。


 アオイ:この方は犯罪心理学者のジョン・ポワロ教授。ケイン・シャーロック教授に並ぶ学界の名探偵として有名な方で種族はワイバーン族。


 瑠偉:何を読んでるんですか?


 ジョン:人界にはね。今も鉄道を使っているそうだ。そこではよく犯罪が起こっているらしい。


 瑠偉:電車内での犯行って、逃げ場がじゃないですか?


 ジョン:そこが人間の犯罪者の興味深いところでね。逃げ場の無い空間を『敢えてトリックとして』活用する術を持ってるようなんだ。・・・よし!行こう!


 瑠偉:行くって。人界にですか?


 ジョン:いきなり行ってもいざ事件に遭遇した時トリックの知識なしではなす術もないさ。だから学びに行くんだよ。『次元鉄道超大国トレイント共和国』その首都にある『鉄道ミュージアム』にね♪


 瑠偉:あ、成る程。では早速手配しますね♪


 ジョン:ああ。頼むよ♪


 同時刻 軍事超大国ウエポニア帝国 帝都グランフォート


 3番街武器屋『GANTZ』


 ダルトン:おーい!


 アオイ:この方は魔王具職人のダルトン・ユキノフさん。ドワーフ族で見た目の通り頑固一徹な職人さん。ウエポニア皇室専属なのですよ♪


 サニー:あ。は〜い!


 アオイ:彼女はサニー・ローラン。種族はセイレーン族。ダルトンさんのお弟子さんです。


 ダルトン:ちょっくら行ってくる。


 サニー:あ〜。確か明日だったけ。ティーゼル大統領からのメンテの依頼。


 ダルトン:ああ。だから朝の便でいかねぇとな。


 サニー:は〜い。行ってらっしゃ〜い!


 同時刻 司法超大国ザルダジア連邦 首都ハンジア


 大統領官邸


 リーシャ:ほ、本当に1人で大丈夫か?マナ。


 アオイ:彼女は極寒の司法超大国ザルダジア連邦のリーシャ・ザルダジア大統領。魔界宇宙でただ1人法に携わる全ての資格と権限を持った氷の魔王様なんですよ。しかも元自然の女神様。


 マナ:大丈夫よ姉さん。もう子供じゃないんだから。


 アオイ:この子はマナ・ザルダジア。40歳(人界換算4歳)なんだけど。何やら秘密があるようなのですが、それはまた別のお話で。それまではヒ・ミ・ツ♡


 リーシャ:し、しかしだな!


 マナ:大丈夫よ。スゥとレンもいるんだし♪


 リーシャ:本当に大丈夫か?


 マナ:もう!ただ鉄道ミュージアムに行くだけじゃない!ホント姉さんは心配性なんだから。魔界の法の番人の名が泣くわよ!


 翌日 トレイント共和国 首都 ステーショナリア


 鉄道ミュージアム


 ジョン:ほお。これが鉄道ミュージアムか!


 ダルトン:なんでぇ!ティーゼルの奴。しっかり手入れしてたじゃねぇか。ま、俺の仕事が早く済んで楽だったがな。今時の若い魔王にしちゃ感心感心♪・・・あ?


 マナ:ここが鉄道ミュージアムね!


 スゥ:マナ様。


 レン:あまりお1人で行かれると危ないですよ。


 アオイ:この2人はアイスデーモン族の双子でスゥさんとレンさん。マナちゃんの専属SPであり世話役なのですよ♪


 マナ:わかってる♪


 ダルトン:ジョン!ジョンじゃねぇか!


 ジョン:君は・・・ダルトン!久し振りだね♪


 ダルトン:相変わらず犯罪心理学のお勉強か?


 ジョン:ああ。今回は鉄道における犯罪トリックについてだ♪ダルトンは?


 ダルトン:俺ぁ早く仕事が終わったんでここの中にある館内BARで一杯ひっかけて帰るトコだ。


 ジョン:君も相変わらずじゃないか♪


 マナ:あ!あの人は・・・・教授!


 ジョン:おお!マナ君!随分見ないうちに・・・縮んだ?


 マナ:その事は・・・ちょっと訳ありで。


 ジョン:なら多くは聞かないさ♪


 マナ:すみません。


 ダルトン:おいジョン。このちっこいお嬢ちゃんは誰・・・


 館内から聞こえる女性の悲鳴


 女性:きゃーーーーーー‼︎


 ダルトン:何だ?


 ジョン:行ってみよう!


 マナ:はい!


 中編へ続く・・・



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