第242話父と娘

 アオイ:芸能界。人界の芸能界はどんな感じですか?・・・え⁉︎華やかに見えて結構闇が深いのですね。魔界の芸能界は競争心はあってもそんなドロドロしたものではないのですよ♪今回はトップアイドルを目指す1人の少女と育てのお父さんのお話。


 魔界時間11:00 農林水産超大国カントリア王国 林業都市エメラルダル


 製紙会社 森沢製紙


 アオイ:製紙会社。魔界で紙の本と言えば魔源図書館でしかなく。魔界の製紙会社は主にトイレットペーパーや、お茶を包む紙。天麩羅用の紙等を作っているのです。この森沢製紙は前魔界帝王サタン様に献上するお茶の包み紙を作っている凄い会社なのですよ♪


 社長:呼ばれた理由・・・判るね?


 儀習:副社長昇進の件ですか。


 社長:君のキャリアとリーダーシップ。そして技術にカリスマ性なら申し分ないと思うがね。


 儀習:お申し出は有り難いのですが、定年間近の私には過ぎたものでございます。


 社長:・・・そうだね。無理を言ってすまなかった。


 儀習:いえ。では失礼します。


 社内休憩所


 若手社員:課長。副社長昇進の件断ったんですか?


 儀習:ああ。定年間近の私には勿体ない話だよ。


 アオイ:この方の名前は由野儀習よしのぎしゅうさん。森沢製紙で勤続450年の課長さん。定年を50年後に控えて定年後の事を模索中です。


 若手社員:えー!俺なら二つ返事で受けたのに!


 儀習:今の私くらいのキャリアで君くらいの若さなら私も二つ返事だっただろうがね♪


 若手社員:そうですよねぇ。定年後はどうするんです?


 儀習:カレンが生きてたら一緒に旅行でもと思ったが。


 若手社員:・・・あ。スンマセン。300年前に亡くなったんでしたね。


 儀習:良いんだ。もう昔の話だ。


 若手社員:100年前・・・でしたっけ?七海ななみちゃんが課長のところに来たのは。


 儀習:ああ。あれはあの子が90歳(人界換算9歳)の頃だったな。


 若手社員:今芸能事務所でアイドルやってるんですよね。


 儀習:ああ。


 若手社員:結構売れっ子ですよね♪芸名は『ナナ』!


 儀習:まだまだだよ。一国の魔王様に作詞・作曲を提供できてそれがヒットして初めて『トップアイドル』と言える。


 若手社員:まぁ、そりゃそうですけど。でも有名雑誌の表紙飾ってるじゃないですか!


 同時刻 帝王都サタンヘイルダム都内カフェ


 雑誌記者:以上ですね。お疲れ様でした〜♪


 ナナ:はい!有難うございました♪


 アオイ:この方は七乃瀬七海ななのせななみさん。芸名ナナで活動中のアイドルです。事務所は『魔石芸能ませきげいのう』私と同じ事務所の後輩なんですよ♪そして、彼女が今はまだ登場していない方を含めた3人の準主役の魔王様の作詞・作曲を手がける事になるのですが、それはまだ先のお話。


 マネージャー:次はグラビアの撮影ね♪その後カントリア王国でライブ。


 ナナ:カントリア王国かぁ。おじさん元気かなぁ♪


 マネージャー:会いたい?時間つくるけど。


 ナナ:良いの?


 マネージャー:勿論よ♪


 ナナ:有難う♪


 マネージャー:じゃあカントリア行きの便を手配してくるわね♪


 ナナ:は〜い♪


 魔界時間20:00 居酒屋『ミドリ』


 儀習:ふぅ。


 蒼髪の女性:隣、良いかしら?


 儀習:懐かしい顔だな。リディア。


 リディア:そうね。300年ぶりかしら。


 アオイ:彼女は魔界宇宙財界に君臨する12の『王』の称号を持つ『トゥエルブ』の1人。『芸能王』リディア・アフロディーテ。種族はローレライ。芸能事務所『オーシャンミュージック』の社長さんですよ♪


 儀習:天下のトゥエルブの君が居酒屋に居たと知れればマスコミが騒ぐんじゃないのか?


 リディア:フフ♪今日は完全にオフなの♡


 儀習:で。用は何だ?ただ幼馴染に会いに来たってわけではないだろう。


 リディア:娘さんアイドルとして活動してるそうじゃない。どうしてウチ受ける時私と貴方が幼馴染って言わなかったの?


 儀習:あの子はコネで入るのを1番嫌うんだ。自身の実力で受かりたいって気持ちが強いんだ。そういうところは『あいつ』にそっくりだよ。


 リディア:伝説のトップアイドル瑠衣るいね。あの子それも隠してるんでしょ?


 儀習:ああ。とことん無名からやりたいらしい。


 リディア:父親は七乃瀬仁ななのせじん。4界警の刑事さん。確か殉職したんだっけ。


 儀習:私の高校時代の親友だった。100年前。あいつが七海を連れて預かってほしいと頼んで来た時無理にでも聞いて引き止めておくべきだった・・・


 リディア:貴方が気に病む必要はないわ。4界警に勤めている以上こういう事は必ずあるんだから。


 儀習:そう・・・だな。


 儀習のデバイスが鳴る


 儀習:ん?七海?・・・どうした?


 ナナ:おじさん!私次のライブカントリア王国になったんだ♪それでね。会えないかなぁって。マネージャーさんが会いたいなら時間つくってくれるんだって♪


 儀習:そうだな。カレンの墓参りしよう♪


 ナナ:うん♪じゃ、明日の準備あるからまたね♪


 儀習:気を付けて帰って来なさい♪


 ナナ:は〜い♪


 儀習:さて。帰ってあの子の部屋でも掃除するか。


 リディア:あら。もう帰っちゃうの?


 儀習:ああ。


 リディア:儀習君!


 儀習:ん?


 リディア:私、貴方の事諦めてないから!


 儀習:私の中にはカレンとあの子しかいない・・・が。気持ちは嬉しいよ。


 店を出る儀習


 リディア:・・・・ふぅ。結構本気だったんだけどなぁ。


 デバイスを取り出すリディア


 リディア:・・・・私よ。今売り出し中のアイドル。本名、七乃瀬七海の所属事務所を至急調べて。


 同時刻 帝王都サタンヘイルダム都内 マンション


 ナナ:・・・うん。おじさんOKだって・・・はい。それでお願いします♪


 ニュースキャスター:それでは各地のお天気です。明日のお天気はどうでしょうか?


 気象予報士:はい。明日の各国のお天気はこのようになっております。


 ナナ:カントリア王国は全域で晴れかぁ。明日のライブ。上手くいきそうだなぁ♪


 ナナのデバイスが鳴る


 ナナ:はい?あ、マネージャーさん?・・・え?オーシャンミュージックから移籍の話が⁉︎


 マネージャー:そうなの!オーシャンミュージックのリディア・アフロディーテ社長直々のご指名よ!凄いじゃない♪


 ナナ:う〜ん。何でそんな雲の上の様な人から?


 マネージャー:さあ?私もさっきウチの社長から断片的にしか聞いてないからわからないけど。でも本人はカントリア王国で直に会って話がしたいって言ってたそうよ。


 ナナ:ま、チャンスだと思って会うだけあってみる。


 マネージャー:そうね。あのトゥエルブの一角直々のご指名だからね。


 ナナ:じゃ、明日は朝早いから。


 マネージャー:そうね。お休み♪









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