第238話天界からの災厄

 アオイ:『天魔大戦』人界の地球の近代史で例えると世界大戦にあたる天界宇宙・魔界宇宙の大戦争。その当時天界宇宙の主力兵器だったのがヴァルキリー。中でもシングルナンバーは恐ろしいほどの強さ。天界で保管されてるヴァルキリーが突如目覚め脱走したようです。


 天界時間10:00 天界宇宙中央政府科学省庁舎『太宰府天満宮』


 久遠くおん:天界宇宙で確認されているシングルナンバーのヴァルキリーはこの2体と特別保管室にある『あいつ』だな。


 アオイ:彼女の名は3代目菅原道真様。天界宇宙最高権力者の天界大帝様のNo.2である14天界王の1柱。同時に天界宇宙中央政府4宰相の科学大臣を兼任しているの。本人は久遠と呼んでほしいそうですよ♪


 久遠:ありがとうこ〜ねこちゃ〜ん♪


 科学省職員:誰に言ってるんですか?


 久遠:あ〜・・・コホン!何でもない。それより『タイプ03』の様子はどうだい?


 科学省職員:はい。相変わらず眠って・・・


 建物全体に爆発音とともに大きく揺れる


 久遠:な!何事だい⁉︎


 研究員:も、申し上げます!科学省内にて保管していたシングルナンバーの1体が突如起動し。だ、脱走しました‼︎


 久遠:な、なんだって⁉︎で、起動したのは?


 研究員:そ、それが・・・


 科学省職員:構わないから言いなさい!


 研究員:特別保管室に安置されてたタ、タイプ03です!


 久遠:なんてこった!よりによってタイプ03とは‼︎


 科学省職員:軍政省にも艦隊の出動要請もした方がいいのでは?


 久遠:確かに航宙艦隊全てなら破壊出来るかもしれないが、『タイプ03だけは』マズいんだ!


 科学省職員:と、申しますと?


 久遠:奴の体内には大量の『カオス』が搭載されている。


 科学省職員:カオス。『感染型精神汚染物質』天魔大戦の引き金となった第1級危険汚染物質ですね。


 久遠:ああ。しかも1番ヤバイ『古代種』だ。天界からヴァルキリーが攻め入ってきたとなればとんでもない国際問題だぞ!それだけじゃない。下手に破壊してカオスを拡散しようものなら第2次天魔大戦の引き金になりかねない‼︎


 アオイ:う〜ん。かなり難しい話ですね。人間の皆さんに分かり易く言うとそのヴァルキリーの体内に核爆弾1000発分が搭載されていると言った方が良いでしょうね。


 久遠:それで。何処に向かってるんだい?


 研究員:先程、高天原天文台たかまがはらてんもんだいから連絡があり。目標は次元鉄道超大国トレイント共和国に向かっているとか。


 久遠:よりにもよって魔界宇宙中央政府交通省本部のあるトレイント共和国だなんて。急ぎ魔界へ通達!・・・いや、それは私が直接魔界の中央政府に通達する!君は国境宙域の封鎖を軍政省に通達を急ぎたまえ!


 科学省職員:はっ!


 魔界時間11:00 トレイント共和国 国防省本部 統合司令室


 環状かんじょう国防相:何事だ!


 アオイ:彼はトレイント共和国国防大臣、環状倫太郎かんじょうりんたろう。ティーゼル大統領の仲間の1人です。


 オペレーター:強力なエネルギー弾を撃ってくる生体反応があります!


 環状国防相:何者だ?


 オペレーター:先程天界科学省の菅原道真様直々の通達によれば、対象はヴァルキリーでシングルナンバー『タイプ03』とか。更に『大量のカオス古代種』を搭載されているため破壊するべからず』との事!


 環状国防相:『天魔大戦の負の遺産』か。


 オペレーター:どうやら決まった場所のみを攻撃しているようです。ですが、このままだとあと4〜5発でシールドは崩壊します!


 環状国防相:次元大震災クラスの空間大振動にも耐えるシールドだぞ!クッ!なんという破壊力だ!


 同時刻首都ステーショナリア上空


 タイプ03:滅す!破壊する!殺す!サタンとその血縁は全て皆殺しだーーー‼︎


 地上ステーショナリア3番街街頭モニター前


 ミリア:な!何アレ⁉︎


 惠:ありゃ〜。アレは『ヴァルキリー』ニャ。しかも1番ヤバイ『シングルナンバー』ニャ。


 シン:(という事は狙いは私か。今のご時世に似合わぬ時代錯誤の古代兵器・・・か)


 惠:案外狙いはアンタじゃないかニャ?


 シン:おや。意外と鋭いですね。


 惠:これでも一国の科学大臣ニャ。意外は余計ニャ。


 スティーブ:やはり貴女でしたか。あのヴァルキリーの狙いは。サタン様の妹君、シンシア様。


 シン:スティーブン・ティーゼル大統領。私に提案がございます!


 ミリア:駄目だよ‼︎


 シン:まだ何も言ってませんが?


 ミリア:自分が囮になって『ゼロライン』にヴァルキリーと一緒に飛び込むつもりなんでしょ!もし飛び込む前にシンさんが感染したらどうするの‼︎


 シン:まったく。貴女という人は。こういう時は1番冴えてるんですから。


 アオイ:ミリアさんの言うゼロラインというのは混沌属性の天敵とも言うべき無属性が龍脈の様に流れている地脈の事。


 スティーブ:確かにゼロラインなら感染したヴァルキリー共々体内のカオス古代種も一気に消滅しますが、飛び込む前に感染してしまえば二次災害を招きかねない。私もミリアと同意見です。


 ミリア:スティーブ♪


 轟音と共に上空のシールドにヒビが入る


 スティーブ:マズいな。このままだとこの国は壊滅する!


 リズ:私が行きましょうか?


 スティーブ:君は・・・人間⁉︎


 惠:人間ならイケるんじゃないかニャ♪


 ダリア:どういう事だ?


 真琴:人間にはカオスが効かないんですよ。それどころかカオスが人間の体内に入れば消滅するから人間には無害なんです。


 ダリア:だが近づく前に襲われれば意味がない。


 惠:ところがどっこい!そうでもないんだニャ〜♪


 ダリア:何⁉︎


 惠:ヴァルキリーは『絶対に人間を殺す事はおろか、傷付ける事すら出来ない』のニャ。だから人間はヴァルキリーの天敵なのニャ♪


 更に轟音と共にヒビは大きくなる


 タイプ03:連れて来い!サタンの血縁を連れてこーーーーい‼︎


 スティーブ:どうやら時間はなさそうだ。リズ君と言ったね。


 リズ:ああ。


 スティーブ:行ってくれるかね?


 リズ:任せろ!


 桃:リズさん!


 リズ:大丈夫だ。そこのネコの獣人も言ってただろ?『ヴァルキリーは人間に絶対手出し出来ない』って。


 桃:気を付けてね!


 リズ:ああ!行ってくる!


 魔界時間13:00作戦空域 タイプ03より上空1400m


 パイロット:これ以上はカオス感染の恐れがあるので近付けません!


 スティーブ:ああ。ご苦労・・・さて、そろそろ気付くか。


 タイプ03:いた!いたいたいたいたーーーー!上かーーー‼︎


 スティーブ:リズ君。君に全魔族の命運がかかっている!


 シン:ご武運を!


 リズ:ああ!任せてくれ!


 輸送機から飛び降りるリズ


 タイプ03:見えた・・・・な!人間⁉︎


 タイプ03に抱きつくリズ


 リズ:捕まえたぞ!


 タイプ03:は、離せ!離せ離せ離せ離せ離せーーーーー‼︎ち、力が・・・抜ける・・・


 背中の飛行ユニットを起動するリズ


 リズ:アレか!ゼロライン!


 ゼロラインに突っ込むリズとタイプ03


 タイプ03:やーーーーめーーーーろーーーー‼︎


 ゼロラインを抜けると別々に転移するリズとタイプ03


 杏:う?このおねえしゃんはネンネしてるですか?おっきしないですか!


 タイプ03の額をペチペチ叩く杏


 杏:ここでネンネするとカゼひくですよ〜!


 タイプ03:システム再起動・・・・全システムチェック・・・・オールグリーン。指紋・声紋・網膜登録完了。貴女が私のマスターですか?


 杏:う?ハルしゃんとおんなじです!じゃあおなまえは・・・ウグイスしゃんです!


 ウグイス:登録完了。私は今日よりウグイスです。


 杏:あい!


 魔界時間13:20 地上3番街


 桃:・・・・さん!・・・リズさん!


 リズ:・・・・ここは・・・桃?


 桃:良かった〜!ゼロラインに突っ込んだら急に目の前に出てくるんだもん。驚いたよ〜。


 ミリア:タイプ03は?


 ミリア達の前に転移するスティーブ


 スティーブ:大丈夫だ。カオス反応は完全に消滅した。作戦は成功だ!君のお陰でね♪


 同時刻天界『太宰府天満宮』


 久遠:そうか!やってくれたか!しかも全魔族を救ったのが人間とはね♪で?タイプ03は?


 科学省職員:そ、それが・・・・


 久遠:なんだって!シルフィード王国の姫君と契約したーー⁉︎


 科学省職員:い、如何致しましょう?


 久遠:どうするも何も・・・ま、良いかな♪















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る