第237話魔王具職人ユキノフ
アオイ:皆さんは魔王様達がどうやって魔王具を手に入れているかご存知ですか?実は専門の職人さんがいるのですよ♪今回の主人公はそんな一軒の武器屋を営む魔王具職人さんのお話・・・
魔界時間9:00 帝王都サタンヘイルダム 商業エリア
先輩記者:おーい!桃缶!
桃:だから!・・・はぁ。もういいです。で、何ですか?
先輩記者:編集長がお呼びだ。
桃:お呼びですか?編集長。
ジェームス:ああ。今回も取材を頼みたくてね。
アオイ:この方はジェームス・カタナさん。この週間グローバルジャーナルの編集長。時には自身も現場に向かう根っからのジャーナリストなんですよ♪
桃:今回は何処に行けばいいんですか?
ジェームス:今回はウエポニア帝国。取材対象者は魔王具職人のダルトン・ユキノフだ。
桃:魔王具職人・・・ですか?
ジェームス:うむ。彼は『ただの魔王具職人じゃない』あの『静寂王の錫杖』に大きく関わっている可能性があるんだ。
桃:アリス女王の魔王具ですか?
ジェームス:うむ。また例によってアポはとっておいた。君は現地へ向かい取材を頼みたい。
桃:了解です!
同時刻 ウエポニア帝国帝都グランフォート
3番街武器屋『GANTZ』
新米魔王:何!断るだと⁉︎
ダルトン:魔王の経験浅いひよっ子魔王がいっぱしに『最上級の』なんて口にするんじゃねぇ!身の丈に合わねぇ注文ならこっちからお断りだ。とっとと帰んな!
アオイ:この頑固一徹の職人さんこそ今回の主人公。ダルトン・ユキノフ。種族はドワーフ。帝国内でも皇室に出入りする程の凄腕の職人さんなのですよ♪
新米魔王:皇室御用達の魔王具職人と聞いたからわざわざ足を運んでやったというのに!
ダルトン:そいつぁご苦労さんだったな。ホレ。お帰りはあちらだ。
新米魔王:おのれ〜!行くぞアリア!
静かに深々と頭を下げる魔王秘書アリア
ダルトン:あのお嬢さんの方がよっぽど魔王に向いてるぜ。
サニー:親方!また断ったんですか?
アオイ:彼女はダルトンさんのお弟子さんでサニーさん。ダルトンさんのお気に入りのお弟子さんなんですよ♪
ダルトン:フン!ああいう礼儀のなってない小僧に作る義理はねぇ!
サニー:もぉ!あ、そろそろかな?
桃:すみませ〜ん!
サニー:は〜い!
桃:八咫烏文庫週間グローバルジャーナルの
サニー:お話は伺っています。さ、どうぞ♪
桃:失礼します。
ダルトン:おう。来たか。で?ブン屋の嬢ちゃんが俺に何を聞きたいんだ?
桃:はい。『静寂王の錫杖』についてです。
ダルトン:⁉︎
桃:ダルトンさん?
ダルトン:・・・ん?あ、ああ。すまん。静寂王の錫杖・・・だったな。
桃:何かご存知ありませんか?編集長は貴方が静寂王の錫杖に深く関わっていると聞いたのですが。
ダルトン:ジェームス・カタナか。まったくアイツは!悪いな嬢ちゃん。俺もそいつについては教科書程度の知識しかないんだ。ただ。魔王具職人の間じゃ有名な代物だ。魔王具職人なら一生に一度は生で現物を拝んでみたいと思う程度の知識だ。
桃:そう・・・ですか。
リズ:・・・・・・・・・・桃。
桃:はい?
リズ:悪いが『アレ』を持ってきてくれないか。
桃:うん。わかった。
部屋を出る桃
リズ:・・・・・久し振りだな『おやっさん』
ダルトン:ふぅ。まさかお前さんが一緒だとは思わなかったぞ。リズ。
リズ:よく言う。とっくに知ってたくせに。
ダルトン:ガッハハ!まぁそう言うな♪
リズ:あの宝剣を作った天才鍛冶屋がまさか魔王具職人とはな。通りで魔王具に詳しいわけだ。
ダルトン:俺も魔王を倒したという一報を受けて役目が終わったと思い帰って来てみりゃ今度はお前さんがこっちに来たときたもんだ!
リズ:おやっさん。
ダルトン:ん?
リズ:単刀直入に言おう・・・静寂王の錫杖には関わってない。アレは『嘘』だな?
ダルトン:何故そう思う。
リズ:簡単さ。おやっさんは昔っから嘘をついたり図星を突かれると金槌を必要以上にいじる癖があったからな♪
ダルトン:やれやれ。よく見てやがる。
リズ:でどれだけ関わっているんだ?
ダルトン:俺の遠い遠いご先祖様が静寂王の錫杖を作るのに関わったってだけの話さ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。
リズ:アレは誰でも使えるものなのか?
遠くから大声で叫ぶ桃
桃:あーーー!取材用のデバイスが無い!・・・ああ‼︎ステーションのコインロッカーに入れっぱなしだったーーー‼︎リズさ〜ん!ちょっと取ってきますぅ!
リズ:わかったーー‼︎
慌てて店を出る桃
ダルトン:ガッハハ!賑やかな嬢ちゃんだな♪で?などこまで話したか?・・・ああ。誰でも使えるかって事だったな。
リズ:ああ。
ダルトン:アレは誰でも使える代物じゃない。正当な王位継承者じゃないと他の奴が使ってもただの棒切れにすぎねぇ。
リズ:じゃあ、アレを使っているシルフィード女王は?
ダルトン:ニュースでシルフィードの名を聞いた時同姓の別人かと思ったが、アレを使えた時点で確信した。あの女王様は旧クラウント王国以前に存在した古代王朝の王族の、しかも正当な王位継承権を持った奴の末裔だ。
リズ:今シルフィード王国のクリスタルレイクの湖底に遺跡があるという事で王国科学省が調査・研究を進めているようだが。
ダルトン:確か彼処の科学大臣は『学界の魔女』と名高いソフィア・クルーガーだったな。アイツが筆頭となってやってるんだったら今頃とっくに遺跡の正体まで解明してるだろう。アレが古代王朝の空中都市だっていう事までな。
リズ:他に知ってる事は?
ダルトン:悪いな。俺の親父も爺さんもそのまた爺さんもこれ以上聞かされてないんだ。古代王朝が滅亡した後王様を含める王族は国民共々散り散りになったと聞いてるが、それ以上はわからねぇ。俺達子々孫々が知ってるのはここまでだ。
リズ:そうか。
桃:お、お待たせしました!では取材の方を・・・
リズ:あ〜、それなんだがな。もうあらかた聞いておいた。
桃:えーーー⁉︎
ダルトン:俺は仕事があるから、隣の部屋でリズにでも聞くんだな。お〜い!お客人にお茶出してやんなー!
サニー:は〜い♪
隣の部屋に移る2人
ダルトン:さぁて、どうしたもんか・・・
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