第223話杏と桃と賢者のパン屋
アオイ:女王暗殺未遂事件の翌日。帝王都サタンヘイルダムではリズさんが思わぬ場所で再会する事になるようですね♪
魔界時間7:30 帝王都サタンヘイルダム 商業エリア ペンタゴンスクエア
周囲に鳴り響くリズのお腹
桃:リズさん、あれだけ食べてまだお腹空いてるんですか?
リズ:ああ。この匂いを嗅いでると余計に腹の虫が鳴る。
桃:はぁ〜、まったく・・・ん?
リズ:何だ?あの行列は。
桃:あの辺は確か最近オープンしたばかりのパン屋さんだっけ。
リズ:パン屋かぁ・・・・・じゅるり。
桃:行く?凄く並びますよアレ。
リズ:我慢して並んで食すのも乙なものだ♪
桃:ハイハイ。じゃ、並びましょ。
リズ:で、店の名前は?
店のパンフレットを見る桃
桃:え〜っと・・・『コメッコベーカリー』だって。あ!あの店人間がやってるんだって♪
リズ:(人間でコメッコ・・・まさかな)
桃:リズさん?
リズ:ん?ああ。なんでもない。さ、並ぼう♪
同時刻
アマテラス:これは相当並びますねぇ。
オーディン:まぁまぁ。良いではないですか。それにしても魔界の街を散策とは。面白い趣向の接待だな。杏姫ならではだ、実に結構♪
杏:ジャムパン♪クリームパン♪あんぱん♪コメッコパン♪カリカリふんわりメロンパン♪
ハル:フフ♪ご機嫌ですね姫様♡
杏:あんずはおかしのつぎくらいパンがだいすきです!
ミランダ:それにしても姫様を並ばせるとは!店に抗議してやる!
杏:ダメです!ちゃんとならぶです!ズルはぜったいダメです!
ミランダ:し、しかし姫様!
ソロモン:王族たるもの民衆と共に行動するなら民衆のルールに従うべし!流石は我が主人♪
ミランダ:まぁ、姫様がそう仰るのでしたら。
桃:ん?後ろから聞き覚えのある声が・・・
振り返る桃
桃:あ!杏ちゃん♪
杏:ももしゃん♪
桃:杏ちゃんもパン買いに来たの?
杏:あい!
桃:焼きたてのパンは美味しいよね〜♪
杏:ね〜♪
再びパンフレットを見る桃
桃:ふ〜ん。パン屋の店長はアリエル・コメッコパンかぁ。人間でこの名前だと案外お仲間なんじゃないんですかリズさん♪
リズ:・・・・アリエル・コメッコパン・・・
桃:え?もしかして当たり?
リズ:ああ。私のかつての仲間で賢者だ。
桃:何で賢者がパン屋を?
リズ:それはこっちが知りたいくらいだ。
ハル:あ、そろそろ順番きますよ。
杏:パーーーーン♪
店員:いらっしゃいませ〜♪
杏:ほわ〜♡
桃:香ばしい〜♡
目の色変えて買い漁るリズ
桃:リズさ〜ん!買い占め厳禁ですよ〜‼︎出禁喰らっても知りませんよ〜!
アリエル:リズ⁉︎ごめん、ここお願い!
店員:て、店長?
アリエル:リズ!
リズ:アリエル!やっぱりお前か♪
アリエル:久しぶりね♪
リズ:ああ!
アリエル:ここじゃなんだからこっちへどうぞ。
コメッコベーカリー3階居住フロア
ミランダ:成る程、2階までが店舗か。
アリエル:ええ。2階はイートフロアになってるの。
リズ:お前、前々から料理は得意な方だったが、本格的にパンは作った事ないだろ?
アリエル:この魔界に来てから教わったの。トム・デニッシュって方に。
ミランダ:トム・デニッシュだって⁉︎
ハル:誰ですか?
桃:魔界のパン好きなら知らない人はいない巨匠。魔界宇宙のコンクールで何度も優勝して、あの魔界宇宙獣王界貴族最高権力者にして魔界宇宙一の美食家ミシュトラン大公から何度も絶賛されてる超一流のパン職人ですよ♪
リズ:そんな凄い職人から師事を受けていたとは。
アリエル:他の皆んなは元気?
リズ:それなんだがな。どうもこの分だと全員この魔界に居るみたいなんだ。
アリエル:え⁉︎
魔王を倒したあの日その場にいた全員を巻き込んだようなんだ。
アリエル:そうなんだ。
リズ:その様子だと魔族への誤解に気付いたようだな。
アリエル:うん。叶う事なら魔王の生家を調べて謝りたい。
リズ:その魔王の墓なら知ってるが、行くか?
アリエル:うん!お願い。
リズの荷物を見るアリエル
リズ:ん?
アリエル:あ〜、相変わらずだなぁって思って。桃ちゃんだっけ。
桃:はい。
アリエル:彼女、よく食べるでしょ。
桃:はい。リズさんのお給料の半分は食費です。
アリエル:だろうと思った♪
杏:くいしんぼうさんです♪
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