第200話開廷!4界宇宙大法廷(後編)

 アオイ:天聖銀行頭取ビル・ゴットフリーの失言によってグリーンヒル王国の次元大震災が神的に引き起こされた事が証明され、次はいよいよ袋井耀蔵を追い詰める審議に入る様ですね。


 境界宙域時間13:00 検察側控え室


 結衣:遂にグリーンヒル王国の次元大震災が神的なものというのが証明された!


 薫:更に過去4000億年に渡る次元大震災の件も芋づる式に明らかになったな。後は・・・


 レイラ:この『白い小箱』と『告発文書の原紙』の出番ってわけですね♪


 アリス:引き続き頼んだよレイラ姐さん!


 レイラ:おうよ!お姉さんにまっかせなさい♪


 同時刻 被告人側 控え室


 耀蔵:こんの馬鹿者めが!貴様の一言で一連の次元大震災の件が明るみになってしまったではないか!


 ビル:も、申し訳ありません!


 シセリア:・・・・・・・・・


 耀蔵:な、何を黙ってる?そもそも貴様がちゃんと此奴こやつの発言にサッサと弁護しなかったからではないか!


 シセリア:それはMr.袋井、貴方にも責任がある。貴方が包み隠さず全部話していたらこうはならなかった。それに、貴方が・・・いや、お前が『天界宇宙中央政府の巨悪の根源』と知っていたら最初からお前の弁護など断っていた。


 耀蔵:なん・・・だと!


 シセリア:たった今からお前の弁護はしない。『正義の弁護士』として彼女達と共にお前を断罪するから覚悟しろ!


 銃を向ける耀蔵


 シセリア:この場で殺すつもりか?お前自身の首を絞める様なものだぞ?


 耀蔵:殺しはせん。貴様にはここで『突然謎の昏睡状態に陥って裁判に出られなくなった』という事にする。最初から私の顧問弁護士にやらせれば良かったのだ♪


 シセリア:生かして行動不能にするのは賢明な判断だ・・・だが!


 一瞬で耀蔵の懐に入り銃を蹴り上げるシセリア


 シセリア:それは『私に武術の心得が無かったら』の場合にのみ有効な判断だ。


 耀蔵:ぐ、ぐぬぬぬ!


 係官:何事だ!


 シセリア:何でもない


 係官:そ、そうか。そろそろ休憩が終わる。


 シセリア:判った。


 裁判終盤 最終審議


 羅刹:それでは双方、準備は良いですか?


 結衣:検察側、準備出来てます!


 シセリア:弁護側、問題ない。


 羅刹:先程の休憩の間に過去の次元大震災の件を閻魔帳で調べた結果、暫定的ではあるが、袋井耀蔵の関与がほぼ確定した。


 挙手をするシセリア


 羅刹:ん?なんですか?


 シセリア:恐れながら羅刹様の閻魔帳では『生きている天族は調べる事は出来ない』筈。検察側にはそれを証明する証拠の提示を要求するものであります。


 羅刹:もっともです。検察側、閻魔帳に出ない天族。これが『袋井耀蔵と証明する証拠』はあるですか?


 結衣:はい。あります。レイラさん。


 証言台に上がるレイラ


 レイラ:これはシルフィード王国の遺跡より発見され、無限金庫より出てきた『白い小箱』です。この中身はそこの袋井耀蔵の一族を含む袋井一派の名簿とその過去の悪事の記録が現在進行形で記録され続けています。


 羅刹:使われている素材はこの閻魔帳と同じですね。


 レイラ:はい。しかもこれは本物とは違ってこの白い小箱に記載された名簿の名前なら天族・神族といえど末代まで記録し続けるという仕組みになっています。おそらく現在閻魔宮にある人界総合データバンク『閻魔帳』の原型となるプロトタイプと考えられます。


 羅刹:ではそれを証拠品として提出するです。


 羅刹のもとに転送するレイラ


 羅刹:・・・・・・成る程、確かにこれには閻魔帳と同じ素材が使われているです。


 レイラ:次にこれを・・・


 1枚の書類を出すレイラ


 耀蔵:あ、アレは!


 ビル:『告発文書の原紙』の『本物』何でアイツが持っている⁉︎


 耀蔵:ビル!それはどういう意味だ?


 ビル:し、しまった!


 レイラ:この告発文書の原紙はその白い小箱の中に隠されていました。かつて袋井耀蔵の祖先の秘書でこの告発文書を書いた『オリヴィエ・クラウディア』によって今ビル・ゴットフリー氏が所有する・・・いや、今は妖魔銀行の朝倉善影あさくらよしかげ頭取のと言った方が良いですね♪その土地にある旧大金庫に保管されている『偽物』とここにある『本物』とすり替えて。


 耀蔵:な!何だと⁉︎


 羅刹:検察官。私が許可するです。その告発文書を読み上げるです。


 結衣:はい。


 アオイ:結衣さんの読み上げた告発文書の内容は袋井耀蔵とその一族、そしてその一派を信じてきた人々を見事に裏切る内容でした。


 傍聴席:なんという事だ!我々は今までコイツ等に騙されてたって事か!そうとも知らず我々は魔族になんて事を!


 羅刹:静粛に、静粛に!証人。その告発文書。本物かどうか鑑定するですから提出する様に。


 羅刹に告発文書を提出するレイラ


 羅刹:・・・・・間違いないです。これは本物の告白文書。シセリア・クラウディアの魂と同じ波長の霊気を感じるです。


 耀蔵:ま、まさか貴様は!


 シセリア:今頃気付いたか。これでようやく祖先の無念が晴らせる!いつかこの時がくると思い私は法廷には常にこれを懐に忍ばせていたのだ。羅刹様、これを証拠品として提出します。袋井耀蔵、これでお前達袋井一派は『完全に終わり』だ!


 耀蔵:何だ?それは?


 シセリア:我が祖先、『オリヴィエ・クラウディアの手記』だ。そこに書かれているのはお前の祖先が『私の祖先の国を乗っ取った』事が事細かく書いてある。


 惠:クラウディア・・・クラウディア・・・あーー!思い出したニャ!オリヴィエ・クラウディア。ゴールドバグ王国の女王様の名前ニャ‼︎


 ミリア:それホントなの?


 惠:間違いないのニャ!


 羅刹:ではそれを全部読み上げるです。


 シセリア:はい。


 アオイ:そこにはシセリアさんのご先祖様が袋井耀蔵の祖先のよって『国民全てを人質にとられ』泣く泣く国を明け渡した事、無理矢理秘書にさせられた事。辱めを受けた事等が書かれていたの。


 羅刹:・・・・・これ以上の審議の余地はないですね。良識ある4界宇宙の法を預かる者達よ、この判決の行方を示すです!


 人界国際裁判所判事:有罪!


 ハデス:フン!聞くまでもない。有罪!


 冥界国際裁判所判事:有罪ですね。


 羅刹:そして私も有罪です。では袋井耀蔵。証言台に上がるです!


 耀蔵:ま、ままま待ってください!どうか、どうかチャンスを!


 羅刹:この後に及んで見苦しいです!


 強制的に証言台に転移させる羅刹


 羅刹:それでは判決を下すです!罪状を上げればキリがない程あるので省略するです。袋井耀蔵とその一派は全員無間地獄送りとするです!


 羅刹の木槌が法廷内に響き渡ると耀蔵達の足元にワームホールが開き飲み込まれる。


 耀蔵:ヒッ!い、嫌だーーーーーー‼︎


 ビル:た、助けてくれーーー!


 羅刹:当法廷はこれにて閉廷!







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