第199話開廷!4界宇宙大法廷(中編)

 アオイ:開廷した4界宇宙大法廷。有罪判決の切り口とも言うべき『次元大震災人工的発生容疑』の審議。次元エネルギー精製プラントより行方不明になっていた記録映像。通称『空白の1時間』の映像を閻魔大帝羅刹様に鑑定してもらう事になったようですね。


 境界宙域時間11:00 4界宇宙統合司法裁判所


 羅刹:鑑定の結果が出たです。結果は・・・本物です。


 シセリア:つまり、この次元大震災は人工的に発生されたという事ですね。


 耀蔵:(フン!ここまでは想定内。『アレ』が見付からない限り問題ない)


 シセリア:羅刹様の鑑定結果は揺るぎないもの。しかし。これは事件当事者との『やりとり』を記録したもので、『決定的な証拠品』としては不十分です。


 耀蔵:(その通り、やりとりの事実だけで実行に要した証拠が無ければ立証は不可能♪)


 結衣:『立証出来る証拠』があれば良いんですね?


 耀蔵:な、何だと⁉︎


 2枚の図面を出す結衣


 結衣:これは両方とも次元エネルギー精製プラントの図面です。1枚目は天界宇宙中央政府建設省並びにエネルギー監督庁の承認された正式な図面です。そして、もう1つは今回の事件の図面。この2つの違いが判りますか?


 図面を見比べる羅刹


 羅刹:エネルギー監督庁の担当者だけが違うですね。


 結衣:その通りです。過去次元大震災の起こった精製プラント建設に携わる際に最終検査の承認された図面には『必ずこの担当者の判』があるのです。


 シセリア:ですが、現在その担当者は『行方不明』の筈。『書いた本人の証言』が無ければその図面がたとえ本物でも『無理矢理書かされた』という可能性がでてもおかしくない筈ですよね?


 耀蔵:(フッ♪奴は今監禁している。生きていれば閻魔帳で発見されないからな。殺すより安全というわけだ。)


 小声でビルに話しかける耀蔵


 耀蔵:ちゃんと監禁してあるだろうな。


 ビル:勿論です♪


 結衣:では検察側は『証人』の召喚を要求します。


 耀蔵:何⁉︎


 羅刹:判ったです。証人、証言台に立つです!


 羅刹の転移魔法で召喚される証人


 羅刹:では証人。名前と職業を言うです。


 ラクター:ラクター・トンプソン。職業は天界宇宙中央政府エネルギー監督庁次元エネルギー精製プラント監査官です。


 結衣:それでは尋問を始めます。ラクターさん。この次元エネルギー精製プラントの図面、貴方が検査して合格印を押したのですか?


 ラクターを睨む耀蔵


 耀蔵:(よ、余計な事言うなよ〜)


 ラクター:・・・・・はい。検察側の言う通り、私がサインして合格印を押しました。被告人の指示で。


 法廷内がどよめく


 羅刹:静粛に、静粛に!証人。弁護側は『行方不明になった』と言っていたが、偽りはないですか?


 ラクター:はい。グリーンヒル王国次元大震災直後、私は黒服の男達に拉致されました。監禁先に現れた天聖銀行頭取ビル・ゴットフリーの指示によって。


 結衣:成る程。それで、貴方はどうやって助かったのですか?


 ラクター:そこの傍聴席にいるDNSグループ社長レイラ・A・壱宮社長が私のデバイスをハッキングして位置を特定し、シルフィード王国特務機関『蜃気楼衆』によって助けられました。


 結衣:それまでは安全だったのですか?


 ラクター:いえ、蜃気楼衆の救出が一歩遅かったら殺されているところでした。


 耀蔵:ど、どういう事だ⁉︎


 ビル:私にも何が何だか!


 ラクター:それで私は真実を証言する事を心に誓いました。


 結衣:判りました。有難うございます。検察側は以上です。


 羅刹:それでは弁護側、何か異議はあるですか?


 シセリア:被告人の1人であるビル・ゴットフリー頭取にお聞きします。先程ラクター氏は『殺されかけた』と言っていますが、それは貴方の指示ですか?


 ビル:とんでもない!拉致の指示・実行は勿論の事、殺害の指示も寝耳に水ですよ!


 結衣:裁判長。ここでビル・ゴットフリー氏の証言について、拉致を指示する事を立証する『証拠』があります。そのためにレイラ・A・壱宮社長を証人として証言台に立たせる事をご許可願います。


 羅刹:判ったです。それでは証人。ラクター氏と交代するです。


 証言台に上がるレイラ


 羅刹:では証人。名前と職業を言うです。


 レイラ:魔界宇宙通信会社DNSグループ代表取締役社長、レイラ・A・壱宮です。


 結衣:それではレイラさん。証言をお願いします。


 レイラ:はい。先ずはこれをお聞きください。


 法廷内に通話記録を再生するレイラ


 ビル:そうだ、予定通りラクターを拉致しろ。殺さず監禁すれば如何に閻魔大帝の閻魔帳といえど見付ける事は絶対に不可能だからな。


 黒服:了解です。


 通話が切れる


 レイラ:これは4界警の許可を得て天界宇宙通信会社大手ENS、エンゼルネットサービスグループの協力のもと入手した通話記録です。そしてこちらは・・・


 法廷内に防犯カメラの映像を投影するレイラ


 アオイ:そこに映っていたのはラクターさんが隙を見て逃げようとしたところを黒服が銃で撃とうとしている映像のようね。そこに蜃気楼衆が踏み込んで救出するものですね。


 レイラ:これは位置を特定した後この建物のセキュリティシステムにハッキングして撮った防犯カメラの映像です。そのお陰で蜃気楼はラクターさんを救出する事が出来ました。


 ビル:何があっても絶対に殺すなとあれほど言って言っておいたのに!


 耀蔵:ば、馬鹿者!


 ビル:あ!


 結衣:裁判長!今のビル氏の発言、自白発言と見ますが如何でしょう?


 羅刹:被告人ビル。今の発言、この閻魔帳に誓って本音から出た発言とみて良いですか?先に言っておくが、この閻魔帳の前では嘘は通用しないですよ。言った時点で『偽証罪』になる覚悟で答えるです!


 ビル:ま、間違いございません。本音から出た発言です。


 それでは次の審議に移るです。


 後編へ続く・・・















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