第9話サトリの女
着実に国の形が出来てくるシルフィード王国。グラスト王国の勇者アナスタシアは保護期間終了の後に仕掛けられる『国土争奪戦争』に向け、親善大使の役割を果たすべく帰国の準備にかかる。その時、ある閣僚の必要性を求められるのであった・・・
アナスタシア:よしっと、後は・・・・あ。
アリス:アナちゃん帰国の準備出来た〜?
アナスタシア:もう少しでって、アナちゃん?
アリス:アナスタシアだからアナちゃん。駄目かな?
アナスタシア:ううん、良いわよ♪あ、それよりアリス。
アリス:ん〜?
アナスタシア:『国土争奪戦』についてちょっと勉強したんだけど、『外交系』の閣僚がいる事絶対条件ってルールにあるんだけど・・・大丈夫?
アリス:だ、だだだ、だいじょ〜ぶ、だいじょ〜ぶ!
目が泳ぐアリス
アナスタシア:大丈夫じゃないわねソレ。
アリス:はい、仰るとおりでございます。
アナスタシア:私が帰ってくるまでにどうにかしないとマズいわよ。
アリス:あ〜、うん、大体の目星はついてるんだけど・・・
アナスタシア:え?いるの?
アリス:いるにはいるんだけど、その女性(ひと)サトリ族なんだよ。
アナスタシア:サトリ族?
アリス:東洋の『妖怪』って魔族なんだけど、相手の心を読むんだよ。
アナスタシア:外交系の閣僚としてはうってつけの種族ね。
アリス:それだけに気難しいらしんだよ。
アナスタシア:あ、そうかぁ。いいトコも悪いトコも心が読めるから人間不信になりがちだもんね。
アリス:兎に角スカウトに行ってみるよ。
アナスタシア:大丈夫?
アリス:何もしないで無理と決めつけて諦めるのは死人と同じだから!
アナスタシア:無理しないでよ!
アリス:そっちこそ頼んだよ!
アナスタシア:ええ、任せて!
魔界時間 13:00 ドラグナー盆地、周囲の山々に囲まれたその盆地は山をも超える超巨大なドラゴンの巣の様に見える事から別名『竜王の巣』と呼ばれており、交通の便の悪さから滅多に現地の魔族も立ち寄る事がない。その為国内最大の秘境の1つに数えられている。
麗華:な、なぁ〜、未だ着かへんの?
アリス:もうちょっとだよ。って、麗華ちゃん無理して付いて来なくても良かったのに大丈夫?
麗華:気遣ってくれはるんどすなぁ〜、優しい子ぉやわぁ♡
静香:どうせ不純な動機でしょうけど?
麗華:はぁ?アンタこそ抜け駆けしようと企んではるんやろ?
静香:あぁ?
ゴゴゴゴゴ(殺気立って睨み合う2人)
ソフィア:静香は兎も角女王さんタフだねぇ〜、息切れ1つしてないし。
アリス:小さい頃からサバイバルは得意中の得意だからねぇ〜、体力に自信あるんだぁ♪
麗華:頭良くて可愛い外見だけやのぉて、逞ましいなんてますます惚れてまうわぁ♡
ソフィア:ヴィオラとシオンはお留守番かい?
アリス:全員で行ったらマズいしね。
ソフィア:ま、そりゃそうだ。お?
彼女達の目の前に一軒の日本家屋が姿を現す
アリス:おお〜!趣あるいい家だぁ♪
紺色の髪の女性:・・・・・・待ってたよ、入りな。
ソフィア:サトリ族は周囲の心が読めるっていうけど、確か1〜3mが限界じゃあなかったかい?ここから10m位はあるよ。
紺色の髪の女性:ただし、入るのはソコの女王のお嬢さんだけだ。
麗華:ま、まさか!邪な事する気やあらへんやろなぁ‼︎
紺色の髪の女性:他の『心の声』が雑音になって『見極め』がやり難いんだよ。特にソコの変態貧乏神が近くに居るとね。
必死に笑いを堪える静香
静香:へ、変態貧乏神(笑)
麗華:静香はん、喧嘩売っとりますぅ?
紺色の髪の女性:さ、馬鹿共はほっといて入りな。
魔界時間13:15 日本家屋屋内
アリス:わぁ〜、囲炉裏久し振りにみたよ〜♪
紺色の髪の女性:さ、ソコに座りな。
アリス:は〜い♪
薫:私はサトリ族の旭野 薫(ひの かおる)アンタの目的は知ってるから早速私がアンタに仕えるに値するか『見極め』させてもらうよ。
アリス:は〜いって。何すれば良い?
薫:ただ座って私の目をジッと見てれば良い。それじゃあ始めるよ。
アリス:お願いしまっす!
深く呼吸を整えてアリスの目を見つめる薫
薫:うん、アンタは見た目の割には凄い死線をくぐってきたんだねぇ〜。それに何より『敵すら味方にするカリスマ性』を持っている。全てを見て結論から言えば『王』になるために生まれた様な子だ。気に入ったよ。合格だ!
アリス:出来れば私の過去は皆んなには言わないでもらえると・・・・
薫:そりゃ出来ない相談だ。皆を『家族』の様に信じているなら語るべきだ。それが出来なきゃこの話はナシだ。
アリス:・・・・・そだね、分かった皆んなに話すよ。
薫:上出来だ!
外に出る2人
静香:ど、どうだった?
麗華:なんか変な事されへんかったか?
アリス:あ、大丈夫だよ。それより皆んなには話しておく事があるんだ・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます