第五章 企画名「#魔女集会で会いましょう 短編」(もがみたかふみ様)
第8話(#魔女集会で会いましょう )
その日、私は男の子を一人、拾った。
「ここが私の家。魔女の家と呼ばれていて、ちなみに私はこの家に住む魔女なの」
私が連れてきた少年にそういうと彼は、
「……どうして僕を拾ったのですか?」
そこで彼は不思議そうに私に問いかける。
でも、その言葉は、
「ようやく話したね。何も話せない子かと思ったよ」
「……どうでも良くなってしまったので」
死んだような目で彼は言う。
本当はお茶をごちそうしてからさようならをするつもりだった私だけれど、どうも彼の話からすると……彼は“捨てられて”しまったらしい。
詳しい理由は話さないので私は聞かない。
そして私は拾ってしまったので、拾った責任を私はとることにした。
「じゃあ、今日からここが貴方の家よ。それで名前は何て言うの?」
「……ロミオ」
「私はジュリエット、だよ」
こうして、その日から男の子と私の生活が始まった。
この子は学習意欲が高くて、私の魔法も含めて教えたことは全部吸収していく。
その日々は私にとって思いのほか楽しかった。
そうして何年もたったある日。
私よりも背の高くなった彼は、私を抱きしめながらこう言いました。
「全部あなたから教わったのですよ? 料理も、魔法も、そして……誰かの愛し方も。僕の大切な……ジュリエット」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます