10―43

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 パーティメンバーたちが、『キャンプルーム』の中に入ってくる。

 全員が入ったところで、扉を閉めてから『アイテムストレージ』へ戻した。


「あっ!?」

「扉が……」

「消えた?」

「ユーイチ!? あたしたちを閉じ込めてどうする気?」

「ははーん? ユーイチは、オレたちを自分の女にする気だろう? きっと、出して欲しければ言うことを聞けとか言うつもりだぜ」

「ああん、ユーイチくぅん。何でもしますから、どうか出してくださぁい……」

「馬鹿なことを言ってないで、もっと緊張感を持て」

「それで、ユーイチ。これはどういうことかしら?」

「扉を閉めたのは、自動清掃機能を発動させるためです。それにこの部屋に何者かが侵入して来ないようにするためでもあります」

「宿の部屋の中なのに?」

「可能性はゼロではありませんからね。扉は、朝になったら召喚しますよ」

「分かったわ。それで、わたくしたちは何をすればいいの?」

「とりあえず、そちらのテーブルに座ってください」


 パーティメンバーたちが、入り口から入って右にあるテーブルに座った。

 僕は、左にあるテーブルの真ん中辺りにテーブルとは反対向きに座る。


「一人ずつこちらへ来てください」

「……では、わたくしが……」


 そう言ってクリスティーナが僕の前に来た。


「新しい刻印を刻みますので、服を脱いで背中を見せて貰えますか?」

「分かったわ」


 クリスティーナが僕に接近して、黒っぽいキャミソールを脱いで向こうを向いた。

 そして、背中が見えるように跪いてブラを外し、ポニーテールの髪を右肩から前へ下ろす。


【刻印付与】


 僕は、フェリアが開発した【装備】の【基本魔法】を刻印するため【刻印付与】の魔術を起動した――。


―――――――――――――――――――――――――――――


【刻印付与】を起動すると肌に刻印されている【魔術刻印】が淡く光って見えるようになる。

 新しい【魔術刻印】を刻むときのプロセスは、まず刻印したい魔術を選択してから、その【魔術刻印】を施す場所を視線で指定するのだ。

 今回のケースでは、魔術のリストから【装備】の【基本魔法】を選択すると念じて、刻印を施す場所を見る。このとき、既に刻印がある場所に重なったところを指定するとイメージが赤くなり、そこには刻めないことが分かる。肌に1円玉ほどのスペースが空いていないと刻印することはできないのだ。

 そして、空いた場所に視線で『ここに刻む』とロックオンするように指定してから、そこに手のひらを押し当てると魔力が消費され刻印が刻まれる。


―――――――――――――――――――――――――――――


 クリスティーナの背中は、かなり【魔術刻印】だらけだったので、僕は左右の腋の下に4つずつ刻むことにした。


 左手で彼女の右腕の二の腕の辺りを掴んで持ち上げて右の腋の下のポイントを視線で指定してから、右手を押し当てた。


「あんっ!?」


 クリスティーナが声を上げた。


「ご、ごめん」

「んっ、大丈夫よ。ちょっと、びっくりしただけだから……」


 急に腋の下に触れられて驚いたようだ。

 確かに他人に触られるとこそばゆいところかもしれない。

 それに指先が少しおっぱいに触れるので、痴漢行為をしている気分になってきた。

 僕は、【戦闘モード】を起動して冷静さを取り戻してから、【装備】の刻印を施した。


「クリス、裸になって『装備1』にいつもの戦闘用装備をセットしてみて」

「は、裸にならないと駄目なの?」

「下着は、今から渡す装備の下着を身に着けてよ」


 僕は、そう言って『魔布の黒ブラジャー』と『魔布の黒Tバックパンティー』を【工房】で作成してから渡す。


『トレード』


 クリスティーナが装備の下着を受け取った。


「こっちを見ちゃ駄目よ」


 そう言ってクリスティーナが立ち上がった。

 僕は、目を閉じて横を向いた。


「ユーイチ、『装備1』にセットしたわ」

「じゃあ、『装備1換装』って念じてみて」

「あっ」


 クリスティーナが驚いたような声を上げた。

 目を開けてクリスティーナを見ると、彼女はプラチナ装備になっていた。


「【装備】の【基本魔法】は、予めセットしておいた装備に瞬時に切り替えられるんだ」

「これは、便利ね。でも、いくつも装備を持っている人じゃないと、あまり意味がないんじゃ?」

「例えば、その装備の武装を解除したバージョンなんかも登録しておくと便利だよ」

「なるほどね」

「えっと、それだけじゃなくて、今からクリスに装備を作るから、ちょっと待ってて……」


【工房】→『装備作成』


 僕は、前にレイコたちに作った『アダマンタイトのブロードソード+20』を改造して『アダマンタイトのブロードソード+10』と『アダマンタイトのブロードソード+5』を作成する。


『トレード』


 その二つをクリスティーナに渡す。


「その武器は、両方装備できる?」

「……『アダマンタイトのブロードソード+5』は装備できるけれど、『アダマンタイトのブロードソード+10』は装備できないわ」

「じゃあ、両方返して」

「ええ」


 クリスティーナが『アダマンタイトのブロードソード+10』と『アダマンタイトのブロードソード+5』を『トレード』で返してきた。

 僕は、その二つの武器を解体する。

『アダマンタイトのブロードソード+10』と『アダマンタイトのブロードソード+5』は、素材であるアダマンタイトに戻った。


【工房】→『装備作成』


 次に『アダマンタイトのブロードソード+9』と『アダマンタイトのブロードソード+6』を作成する。


『トレード』


 クリスティーナに『アダマンタイトのブロードソード+9』と『アダマンタイトのブロードソード+6』を渡した。


「どう?」

「『アダマンタイトのブロードソード+6』は装備できるけれど、『アダマンタイトのブロードソード+9』は駄目ね」

「じゃあ、また返して」

「ええ」


 二つの武器を解体する。


【工房】→『装備作成』


 そして『アダマンタイトのブロードソード+8』と『アダマンタイトのブロードソード+7』を作成する。


『トレード』


 クリスティーナに2つの武器を渡した。


「どう?」

「両方装備できるわ」

「じゃあ、『アダマンタイトのブロードソード+7』だけ返して」

「『アダマンタイトのブロードソード+8』は?」

「それは、クリスにあげるよ」

「そんな!? こんな高価な武器を頂けないわ……」

「この後、オークの拠点で戦うわけだし、武装はしっかりしておく必要があるからね。でも、学園の授業では装備しないで」

「……分かったわ。いつか対価を支払うわね……」

「気にしないで……。僕の我が儘に付き合わされる代償と考えてくれればいいよ」


 クリスティーナが『アダマンタイトのブロードソード+7』を『トレード』で返してきた。

 僕は、『アダマンタイトのブロードソード+7』を解体した。


 そして、以下の装備を作成する。


―――――――――――――――――――――――――――――


 ・精霊の盾+8

 ・アダマンタイトのプレートメイル+8

 ・アダマンタイトの鎖帷子+8

 ・竜革のマント+5

 ・回復の指輪


―――――――――――――――――――――――――――――


『精霊の盾+8』は、【フレイムアロー】・【アイスバレット】・【エアカッター】・【ストーンバレット】・【ファイアボール】・【ライトニング】の精霊系攻撃魔法の刻印石を追加した『アダマンタイトのヒーターシールド+8』だ。

 金属製の全身鎧では、精霊系の攻撃魔法が使えないので、盾に刻むことにしたのだ。魔法石は追加していないので、術者の魔力――MP――を消費して発動する必要がある。

 おそらく、魔法石を追加すると魔法を使っても精霊力の成長はないだろうと思ったので、術者が魔力を消費するタイプにしたのだ。勿論、これで成長するのかどうかは分からないが……。

 ちなみに魔法石を追加していない魔術刻印を刻んだ装備やアイテムは、付与した魔術を発動する場合、術者の能力により威力が変化する。しかし、リキャストタイムは、肌に刻んだ刻印に比べて遅い。というか、リキャストタイムは、デフォルトのまま成長しないようだ。

 そのため、装備やアイテムに付与する魔術は、自己強化型魔術のようなMP消費をオン/オフで切り替えて使用するタイプのほうがいいのだが、低レベルな攻撃魔法の改造では、そういったものが作れない。

 オリジナルの魔法なら、例えば、盾から火炎放射が出るような魔術を作成することもできるだろうが、精霊力の低い冒険者が使える程度の魔術では、十分な威力が出ないだろう。


『トレード』


 それらの装備をクリスティーナに渡した。


「『装備2』にセットしてみて」

「分かったわ」


 クリスティーナの身体が白い光に包まれて、フェリアやルート・ドライアードと同じようなアダマンタイトの甲冑姿となった。

 クリスティーナのほうが身体が大きいので、見た目は威圧感がある。


「おお、凄ぇじゃねーか?」

「強そうですわ」

「ユーイチ、私たち全員に装備を配るつもりなのか?」

「ええ、順番に装備を支給しますよ」

「まぁ、楽しみだわ」


 僕は、床に落ちているクリスティーナのキャミソールを拾った。


「これも装備品として作りますね」

「ええ、お願い」


【工房】→『装備作成』


 僕は、黒っぽい色のキャミソールを両手で広げながら、【工房】でほぼ同じデザインの装備を作成した。


『トレード』


『魔布のキャミソール』をクリスティーナに渡す。


「じゃあ、下着と『魔布のキャミソール』と『回復の指輪』を『装備7』にセットしてみて。あ、『回復の指輪』は念のため、全ての【装備】にセットしておいたほうがいいかも。僕は、『装備8』を裸になるときに使っているけど、『回復の指輪』は裸でも身に着けているんだ」

「ええ、分かったわ」


 白い光に包まれて、クリスティーナが寝間着姿となった。

 以前との違いは、下着が白から黒になったことだ。


「この下着は、ちょっと恥ずかしいわね……」

「こういう大人っぽい下着のほうが似合ってると思いますよ」

「もう、ユーイチったら、からかわないでっ」


 クリスティーナがそう言って頬を染めた。


「いえ、素直な感想です」

「おー、おー、ユーイチがクリスを口説いてるぜ?」

「カーラも茶化さないで」

「じゃあ、次は、レティと交替してください」

「ええ、ありがとう」


 ――チュッ


 クリスティーナが跪いて僕の頬にキスをして、脱いだ下着類を持って席に戻った。

 僕は、突然のことにドキドキする。


『やっぱり、西洋人だからスキンシップが直接的なんだな……』


 クリスティーナと入れ替わりでレティシアがやって来た。


 そして、レティシアにも【装備】の刻印を8個刻んだ――。


 ◇ ◇ ◇


「腋の下に触れられるのは慣れませんわ……」


 レティシアが恥ずかしそうにそう言った。


「レティの奴、ユーイチに触られて感じちゃってるぜ」

「ち、ちがっ、そんなことありませんわ!?」

「そうやって、ムキになるところが怪しいんだよな」

「もう、何を言ってますの!?」


 僕は、『アダマンタイトのブロードソード+8』を【工房】で作成してから『トレード』で渡た。


「装備できますか?」

「ええ、装備できましたわ」

「では、そのまま持っていてください」


 それ以上に素材を追加した装備は試さなかった。

 もし、レティシアの筋力がクリスティーナよりも上だった場合、+9以上の金属装備を装備可能かもしれない。しかし、同じくらいのレベルだと思われるので、違っても一つだろう。


 レティシアに追加で、以下の装備を渡した。


―――――――――――――――――――――――――――――


 ・精霊の盾+8

 ・アダマンタイトのプレートメイル+8

 ・アダマンタイトの鎖帷子+8

 ・竜革のマント+5

 ・回復の指輪

 ・魔布の青ブラジャー

 ・魔布の青パンティー

 ・魔布のスリップ


―――――――――――――――――――――――――――――


 レティシアが僕の指示通りに装備をセットした後、最後に薄いブルーのスリップ姿となった。


「ユーイチは、クリスよりもわたくしを子供扱いしているのかしら?」

「どうしてですか?」

「だって、わたくしが頂いた下着は、黒ではなく青でしたもの……」

「それは、そのスリップに合わせたのですよ」

「確かにこのスリップには、黒の下着は合いませんわね」

「じゃあ、次はカーラと交替してください」

「分かりましたわ。ありがとう、ユーイチ」


 ――チュッ


 レティシアも跪いて僕の頬にキスをした。

 そして、スリップを手に席へ戻っていく。


「じゃあ、次はオレだな」


 カーラが嬉しそうに歩いてきた。

 何故か全裸だった。


 カーラは、僕のすぐ近くに寄ってから、反対を向いて跪いた。


「さぁ、オレにも頼むぜ」


 僕は、カーラに【装備】の刻印を施した――。


 ◇ ◇ ◇


「ハァハァハァハァハァ……変なところを触るから、感じちゃったじゃねーか……」

「【戦闘モード】を一瞬起動してください」

「はぁー……。冷静だな、お前……。裸の女に触ってるんだから、ちっとは興奮しろよ……」

「カーラ、これは遊びじゃないんですよ?」

「わーってるって」

「じゃあ、あのレザーアーマーを装備してくれますか?」

「いいぜ」


 カーラが立ち上がり、胴体の辺りが白い光に包まれてハイレグ水着のようなソフトレザーアーマーが装備された。


【工房】→『装備作成』


 水着にしては、厚みがあるものの、ハイレグでTバックな水着のようなデザインだ。

 上半身は、チューブトップになっている。

 ほぼ、同じデザインの『竜革のボディスーツ+8』を作成した。

 素材のせいで色が黒っぽくなっている。


『アダマンタイトのロングスピア+8』を渡してみたところ、カーラは装備することができたので、追加で以下の装備を渡した。


―――――――――――――――――――――――――――――


 ・竜革の胸当て+8

 ・竜革のボディスーツ+8

 ・竜革の篭手+8

 ・竜革のブーツ+8

 ・回復の指輪

 ・魔布の黒ブラジャー

 ・魔布の黒Tバックパンティー


―――――――――――――――――――――――――――――


 カーラがこれらの装備に換装した。

 ドラゴンスキンを使った装備なので、全体的に装備の色が以前よりも黒っぽくなったと感じる。

 また、太ももの付け根あたりから黒い下着がはみ出ていた。


「カーラ、この装備ではボディスーツが下着の代わりになるから、下着は装備しないほうがいいよ」

「あっ、ホントだぜ。はみ出しちまってるよ」


 カーラが装備を換装しなおした。


「じゃあ、次は下着姿だな」


 カーラが白い光に包まれて黒い下着姿となった。


「寝間着みたいなものを作ったほうがいい?」

「いや、いつも裸で寝てるから別にいいぜ」

「じゃあ、グレースさんと交替して」

「ああ、ユーイチ。ありがとな」


 そう言って、カーラが僕を抱きしめた。


 ――チュプッ……チュパ……


 唇にディープなキスをされた。


「意外と動じねぇのな。キスには慣れてるってか?」

「いえ、そんなことは……」


 僕は恥ずかしくなって俯いた。


「おっ、可愛いじゃねーか」

「うぷっ」


 カーラの豊満な胸に抱きしめられる。


「オイ、カーラ! いい加減にしておけ。ユーイチが困っているだろう」


 レリアが注意してくれた。


「じゃあ、次はあたくしの番ですわね」


 グレースがそう言って歩いてきた。


「やれやれ、もうちょっと楽しみたかったんだけどな……」


 カーラがそう言って、立ち上がり、自分の席へ戻って行く。


「ユーイチくん、お姉さんの身体を好きにしてもいいのよ?」


 そう言って黒いスケスケのネグリジェを脱いで僕に手渡した。

 グレースの身体は、見ているだけで恥ずかしくなるようなダイナマイトボディだ。


「じゃあ、向こうを向いて屈んでください」


 僕は、グレースの身体をあまり見ないようにしてそう言った。


「見たかったら、見てもいいのよ?」


 そう言って、そのまま跪いた。


「あの……向こうを向いてください」

「腋の下に刻印されるのでしたら、このままでもできますわよね?」

「……分かりました」


【戦闘モード】


 僕は、【戦闘モード】を起動して冷静さを取り戻して、グレースに【装備】の刻印を施した。


 そして、以下の装備を作成してから『トレード』で渡した。


―――――――――――――――――――――――――――――


 ・アダマンタイトのメイス+5

 ・精霊の盾+5

 ・アダマンタイトの鎖帷子+5

 ・竜革の篭手+5

 ・竜革のブーツ+5

 ・魔布のボディアーマー+5

 ・回復の指輪

 ・魔布の黒ブラジャー

 ・魔布の黒Tバックパンティー

 ・魔布のネグリジェ


―――――――――――――――――――――――――――――


 グレースは、これまでのメンバーよりも筋力が劣るため、金属装備では+5までしか装備できなかった。

 革装備や布装備では、もっと素材を追加できると思うが、ギリギリのポイントを探るのも面倒なので、+5で統一しておいた。

 これは、カーラの装備も同様だ。


「では、次はレリアと交替してください」

「ユーイチくん、ありがとうございますわ」


 黒いネグリジェ姿のグレースはそう言って、僕を抱きしめた。

 グレースの大きな胸の谷間に僕の顔が埋まる。


『こうしてると、安心するなぁ……。包容力ってこういうことなのかな……?』


 ――いやいや、こんなことをしている場合ではない。


 僕は、未練を感じつつグレースを引きはがした。


 ――むちゅっ……


 今度は唇を奪われた。

 大人のキスに頭がボーッとする。


 ――チュ……


 唇が離れ、僕とグレースの唇の間に唾液の糸が引かれた。


「ふふっ、ユーイチくんはキスが上手ですわね……」

「いえ、そんなことは……」


 僕は、恥ずかしさのあまり俯いた。顔から火が出そうだ。


「いつまでやっている」


 レリアがすぐ側まで来ていた。


「あらあら、時間を忘れてしまいましたわ」


 そう言ってグレースは戻って行った。


 そして、僕は、側に立つレリアの身体を眺める。


『レリアには、必要そうな装備が無いんだよな……』


 エルフのレリアは、精霊系魔術師としてほぼ完成されていると言ってもいいだろう。

 そのため、装備で底上げというのは難しい。


 ――オーク程度の攻撃なら軽く回避できるだろうし……。


 とりあえず、刻印を刻んでしまおう。


「では、向こうを向いてください」

「ああ、頼む」


 そう言って、レリアは向こうを向いて跪き、装備のボディスーツを解除した。


【刻印付与】


 僕は、レリアの腋の下に【装備】の刻印を施す。


「――――っ!?」


 腋の下に手のひらを押し当てたら、レリアの身体がビクンと跳ねた。


『やっぱり、エルフって敏感なんだ……』


 僕は、刻印付与の作業を続けた。


「ハァハァハァハァハァハァ……」

「レリアの奴、ユーイチに触られて興奮してるぜ?」

「だっ、黙れ!? こっ、これは興奮しているのではない。そう、身体が熱いのだ!」

「だから、興奮して身体が火照ってるんだろ?」

「…………んっ!?」


 図星を突かれたからか、レリアがまたビクンと跳ねた。


「【戦闘モード】を起動して落ち着いたら?」

「そんなことは、さっきから何度もやっている。それでも駄目なのだ……。ユーイチ、貴様は一体何者なのだ?」

「この場合、僕の問題ではなく、レリアの問題なのでは?」

「――――っ!?」

「やっぱり、レリアってスケベだったんだな。前からそうじゃないかって思ってたぜ」

「な、何を言う!」

「口ではお堅いことを言ってる割にエロい話に興味津々だったよな?」

「貴様! 適当なことを言うな!」

「カーラと一緒にされたら誰でも怒りますわ」


 レリアは、腋の下がウィークポイントだったようで、触れる度に反応するため刻印を施すのに時間が掛かってしまった。


「レリアの装備は、何がいいかな?」

「ハァハァハァ……私には必要ないだろう……?」

「うーん、でもレリアにだけ装備が無いのも不公平だし……とりあえず、下着と『回復の指輪』を渡しておくね」


『トレード』


 僕は、レリアに『魔布の黒ブラジャー』と『魔布の黒Tバックパンティー』と『回復の指輪』を渡した。


『指輪か……』


「――――!?」


 閃いた。


【工房】→『装備作成』→『レシピから作成』


 僕は、以前に作成した『レビテートの指輪』と『トゥルーサイトの指輪』をレシピから作成する。


『トレード』


 レリアに『レビテートの指輪』と『トゥルーサイトの指輪』を渡した。


「これは……?」

「魔力系の【レビテート】と【トゥルーサイト】が使えるようになる指輪です。レリアは、魔力系の魔術が使えないようなので、それを装備して発動してみて」


 レリアの身体が空中に浮かび上がる。


「ほぉ……これは使えそうだな……」

「『トゥルーサイトの指輪』は、【インビジブル】の魔術を見破ることができるけど、あまり使う機会はないかもね」

「いや、こんな高価なものをすまない……」

「僕が勝手にしてることだから気にしないで……。『トゥルーサイトの指輪』は、魔法石を多目に使ってあるから、一日中発動していても持つと思うよ」

「そうか……」

「じゃあ、最後にアリシア」

「ええ」

「ユーイチ……」


 ――チュッ


 レリアが跪いて僕の頬にキスをした。

 そして、赤くなって席へ戻って行った。


「レリアがキスを……」

「これは、事件ですわね」

「レリアのやつ赤くなってるぜ?」

「可愛いですわ」

「貴様ら、からかうのは止めろ!」


 レリアの叫びが『キャンプルーム』にこだました――。


 ◇ ◇ ◇


 アリシアが僕の前にやってきた。

 カーラ同様、何故か全裸だった。

 しかし、俯いて頬を染め顔を少し横に向けている。


『恥ずかしいのなら、何か着て来ればいいのに……』


 アリシアには、他のパーティメンバーに対して対抗意識があるのかもしれない。

 アリシアは、自分の身体を武器に僕に何かを手伝わせようとしているようだ。

 僕は、それを『組織』に対する復讐なのではないかと推測していた。


「では、向こうを向いてください」

「あたしにも正面から刻印して頂戴」


 そう言って、僕の前に屈んだ。

 真紅の長い髪をしたアリシアが恥ずかしがっている姿を見ていると、僕まで恥ずかしくなってくる。

 僕は、アリシアの身体をできるだけ見ないようにして、【装備】の刻印を8個刻んだ。


 そして、以下の装備を作成して渡した。


―――――――――――――――――――――――――――――


 ・アダマンタイトのスティレット+10

 ・アダマンタイトのスティレット+10

 ・竜革の胸当て+8

 ・竜革のボディスーツ+8

 ・竜革の篭手+8

 ・竜革のブーツ+8

 ・竜革のマント+5

 ・回復の指輪

 ・魔布の青ブラジャー

 ・魔布の青パンティー


―――――――――――――――――――――――――――――


 アリシアは、レリアを除いた他のパーティメンバーよりもレベルが高いので『アダマンタイトのスティレット+10』を作って渡してみたら装備できたので、それをもう一本渡した。


「アリシアの装備していたスティレットは、ミスリル製?」

「ええ、そうよ。『ミスリルのスティレット+2』」


 アリシアの装備は、他のパーティメンバーに比べて元から良かったので、あまりパワーアップしていないかもしれないが、攻撃力に関しては、『ミスリルのスティレット+2』から『アダマンタイトのスティレット+10』になったので、かなり強くなったと思う。オーク程度なら楽勝だろう。


「アリシア、終わったよ」

「ええ、ありがとう。ユーイチ」


 ――チュッ


 アリシアが僕の顔を掴んで唇にキスをした。

 カーラやグレースのように濃厚なキスではなかったが、ドキッとしてしまう。


 僕は、頭を振って邪念を払い、次のプランを実行するために立ち上がった――。


―――――――――――――――――――――――――――――

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