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――ガチャ
10分と経たずに『密談部屋3』の扉が開いて、中からルート・ドライアード、フェリア、フェリス、ルート・ニンフ、ユキコが出てきた。
扉が閉められたのを確認してから、『密談部屋3』を『アイテムストレージ』へ戻した。
「おかえり、お疲れさま」
「ご主人様、ただいま戻りました」
「ただいまですわ」
「御意のままに」
「ただいま」
「戻りました」
テーブルの上でユウコが立ち上がった。
「こちらも終わったぞぇ」
「トウコさん、【サモン】という魔法が使えませんか?」
「あ、はい【サモン1】と【サモン2】がございます」
「ユウコさん。悪いのですが、【サモン】は全部で8個刻んでください」
「
ユウコは再び、トウコの上に
◇ ◇ ◇
ユウコが再び立ち上がった。
トウコもテーブルの上で上半身を起こした。
「トウコさん、その【サモン】という刻印が召喚魔法の魔術刻印なのです」
「はい」
「教団の方が刻印を刻まれたら、トウコさんの下に続く使い魔としてください」
「分かりました」
それから、僕は『夢魔の館』に戻り、娼婦希望者たちを使い魔にした――。
―――――――――――――――――――――――――――――
あれから、3日が経過した――。
ユウコの使い魔となったトウコの下に刻印が刻まれたミサト、リディア、サヨコ、ノリカを使い魔にした。
その後、『
他にも『夢魔の館』には、娼婦希望者が22名居たので、使い魔とした。これで、レイコに連なる使い魔は、134名となった。
トロール狩りも昨日、一昨日と使い魔たちに行わせた。
現在の『所持金』は以下のとおりだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
所持金 …………… 65252291.34ゴールド
―――――――――――――――――――――――――――――
資金にだいぶ余裕が出てきたので、
最近では、リスポーンしたら狩らないと損みたいなゲーム感覚になっていたのだが……。
まぁ、お金はいくらあっても邪魔にならないので、日課にしておいたほうがいいだろうか。
――そろそろ、ユーラシア大陸……いや、中央大陸に向けて出発しよう。
僕は、『夢魔の館』の地下にある大浴場の湯船の中から立ち上がった。
――ザバーッ!
周囲の使い魔たちも一斉に立ち上がった。
【フライ】
飛行して大浴場の入り口へ向かう。
『装備2換装』
【エアプロテクション】を使わずに装備を換装してみた。
やはり、装備を換装するときに水滴等は消え去るようだ。
扉を開けて、食堂に出る。
使い魔たちが裸でついてきた。
「服を着て」
「「はいっ」」
使い魔たちが装備したのを確認して、レイコに言付ける。
「レイコ、僕たちはこれから『ニイガタの街』に向かうから、後のことをよろしく」
「お任せください、
「月に一度くらいは戻るようにするよ」
「ハッ!」
『現在時刻』
時刻を確認してみると、【05:43】だった。
今日は、6月17日(月)だ。
僕は、食堂から廊下へ出て、昇降場の天井を抜けて1階へ移動した。
僕に続いて、フェリア、ルート・ドライアード、フェリス、ルート・ニンフ、ユキコが1階の床に空いた長方形の穴から次々と飛び出してくる。
そして、娼婦の控室に移動する。
「「ご主人様っ」」
扉を開けると、控えの娼婦たちが待機していた。
もう、人は足りているので控えている必要はないのだが、この慣習は続いているようだ。
――僕が決めたことだから変えられないと思っているのだろうか?
まぁ、何に人手が必要になるか分からないので、待機させておいたほうがいいのだが。
「お疲れ様」
「
ユウコが声を掛けてきた。この時間の担当だったようだ。
「『ニイガタの街』です。その後、船で中央大陸に向かいます」
「おお、そうじゃったか」
「では、組合長にもよろしく言っておいてください」
「うむ」
僕は、エントランスに続く扉に向かった。
「じゃあ、【インビジブル】と【ハイ・マニューバ】を使って移動するよ」
「ハッ!」
「御意!」
「分かりましたわ」
「分かった」
「畏まりました」
僕の体が回復系魔術のエフェクトで光った。
フェリアが、【グレーターダメージスキン】と【グレート・リアクティブヒール】を掛けてくれたのだ。
【インビジブル】【ハイ・マニューバ】
僕は、フェリアに頷いた。
フェリアは、僕に頷き返して扉を開いてエントランスに出た。
僕たちも後に続く。
エントランスには、客がそれなりに居た。
こんな朝早くから娼館に来ている人が居るようだ。
玄関を抜けて通りで空中に上昇した。
外は、まだ暗かった。
この世界では、太陽がそれほど高く昇らないこともあって、日の出が遅く、日の入りが早い気がする。
しかし、冬のような日照なのに、気候は秋頃のような印象だ。
僕は、【マップ】を見ながら、『ニイガタの街』へ向けて飛行を開始した――。
◇ ◇ ◇
『エドの街』から『ニイガタの街』の間には、山地が広がっており、徒歩や馬での移動は大変そうだ。
僕たちは、【ハイ・マニューバ】で飛行して移動したため、『ニイガタの街』へは、1時間とかからずに到着したのだが、まだ7時になっていなかったため、街の入り口にある関所が閉まっていた。可動式のバリケードのようなもので入り口が閉じられている。
【テレスコープ】で視界を拡大して上空から街を観察する。
『ニイガタの街』には、『エドの街』のような城壁はないが、塀のような簡単な
街道から続く部分には壁がなく、関所のようなものがあった。
また、街の西と東に大きな川が流れていて、その間に街があった。つまり、街の北側には海――日本海――、東西には、それぞれ大きな河川、南側に壁があるのだ。
西側の河川の河口付近に港があった。停泊した帆船が見える。2本のマストに横向きの帆が2箇所ずつ張ってあった。それほど大きくはない。帆船としては中型くらいなのではないだろうか。帆船に詳しいわけではないが、写真などで見たことがある元の世界の帆船に比べて帆が少ない印象だ。四枚の帆の他には、船首や船尾に三角形の帆があるだけのようだ。出航準備中なのか、船員がデッキで作業や荷物の積み込みを行っている。
【ナイトサイト】の魔術を使っている僕には、周囲が曇りの日の昼間くらいの明るさに見えているのだが、まだ陽が昇っていないため、辺りは薄暗いようで、船上には【ライト】の魔術によるものと思しき光源が複数確認できた。
僕たちは、近くの森に降り立った。
【ハイ・マニューバ】と【インビジブル】をオフにする。
「【インビジブル】をオフにするんだ」
「ハッ!」
「御意!」
「分かりましたわ」
「ええ」
「畏まりました」
7時までは、30分近くあるので、その場で30分ほど待機してから『ニイガタの街』へ向かった――。
◇ ◇ ◇
関所には、テーブルが置かれおり、受付嬢――おそらく『組合』の職員だろう――が通行税を徴収している。人員整理の者と護衛の冒険者たちも周辺に居た。
『エドの街』の門の近くに比べると人が少ない。
この関所に到着したとき、街の中から商隊が出てきたが、街へ入ろうとしているのは僕たちだけのようだ。
僕は、通行税を払うために受付嬢の居るテーブルへ移動した。
怖がられないようにフードを上げた。
「おはようございます。6名様ですか?」
受付嬢は、そう言ってニッコリと微笑んだ。
身長が160センチメートルくらいのショートカットの女性だった。歳は、20代前半くらいだろうか。
橙色の着物を着ている。胸のふくらみは小ぶりだ。
「おはようございます。はい、6名です」
「銀貨を6枚いただきます」
僕は、魔法通貨から6枚の銀貨をテーブルの上に実体化させた。
「はい、確かに。どうぞ、お通りください」
「はい」
入り口付近に居た『組合』の人間らしい男の人に
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