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【インビジブル】【トゥルーサイト】【マニューバ】
僕は、【マニューバ】で飛行してトロールの洞窟から少し距離をとる。
だいたい、300メートルほど離れてから、フェリアに合図を送った。
フェリアは、洞窟のほうへ【マニューバ】で飛んでいく。
洞窟内に入っていった。
【テレスコープ】
視界を拡大してフェリアを見る。
彼女は、あまり速度を出さずに中のほうへ進んでいった。
そして、洞窟の中央付近で引き返してくる。トロールが出現したのだろう。
僕は、洞窟の入り口まで全速で飛んだ。
洞窟の入り口に着いた頃には、フェリアはすっかりトロールに囲まれている。
『フェリア帰還』
フェリアを帰還させる。少し遅かったのでダメージを多少受けていたかもしれない。しかし、あまり早い段階でフェリアが消えたら、トロールたちが戻っていってしまうかもしれない。
【ブースト】【グレート・シールド】【グレート・マジックシールド】【グレート・ダメージシールド】【ホーリーウェポン】
戦闘用のセフルバフを入れる。【テレスコープ】は不要なのでオフにした。
【ファイアストーム】
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
入り口に立つ僕に気付いていない前方のトロール達に広範囲攻撃魔法を喰らわせる。
トロール達が振り向いて僕の姿を確認する。一斉にこちらに接近してきた。
『フェリア召喚』
僕の右側にフェリアを召喚する。
「ご主人さまっ!」
「今のところ作戦は順調だ」
「ハッ!」
『フェリア装備1換装』
フェリアの装備を攻撃力の高いタイプに変更する。
正面からなら盾は必要ないだろう。
僕たちは、やや斜めを向いてトロールと戦い始めた。僕が入り口の左手前で、彼女は右手前を担当する。
僕の正面のトロールが巨大な棍棒を振りかぶって攻撃してくる。その棍棒にタイミング良く抜刀斬りを放ってみる。棍棒が斬れる感触があり、次の瞬間、白く光って消えてしまった。慌てているトロールに【マニューバ】で高速接近して
「フェリア!棍棒を狙え!」
「ハッ!」
そうこうしている間にトロールは、十分に密集したようだ。
【ヘル・フレイムウォール】
新呪文を起動する。【フレイムウォール】のような設置場所を示すガイドが表示される。かなり広いエリアだ。
入り口付近の僕たちが効果範囲に入らないところで発動させた。
洞窟内が一面真っ赤な炎に包まれる。炎の高さは、2メートルほどで、【フレイムウォール】ほど高くはない。背が高いトロール達は、前屈みの姿勢でも炎の中から頭が出ている。
MPを見ると2割弱になっていた。設計通り、僕の現在の最大MPの8割程度を使うスペルになったようだ。【フレイムウォール】では5パーセントも減らないので、かなりの魔力消費量と言えるだろう。
同時に【ハイ・メディテーション】が自動起動し、HPが減ると【グレート・リアクティブヒール】が何度も発動する。そのうち、【グレート・リアクティブヒール】は発動しなくなった。MPが全回復したときには、僕のHPは8割を少し超える程度だった。7割を切ると『回復の指輪』の『グレート・エレメンタルヒール』が起動するはずだ。
攻撃は効いているようで、トロール達は「ヴォーッ! グォーッ!」と雄叫びを上げながら、炎から逃れようとしている。しかし、密集しているため範囲外に出るどころか一歩も動けないようだ。
僕と戦っていたトロールが白く光って消滅する。
武器によるダメージと【ヘル・フレイムウォール】によるダメージでHPがゼロになったようだ。
仮にトロールに再生能力があったとしても、【ヘル・フレイムウォール】のDoT――時間継続ダメージ――のほうが高いということだろう。
消滅したトロールに代わり、新たなトロールが僕の前に出てくる。
僕が相手にしているトロールは2体だ。フェリアのほうも2体を相手にしている。
背後に入り口があるため、いつでも逃げられるという安心感があるので、昨日よりも遙かに心理的な余裕がある。
僕は、トロール2体を相手に攻撃を回避し、棍棒にカウンターで攻撃を当てて、棍棒を消失させた後、懐に飛び込んで攻撃を加え、一撃離脱の要領で【マニューバ】によるバックダッシュを行い距離を取る。
そんなことを繰り返して、フェリアと共に敵を消滅させていく。武器の違いのためか、僕のほうがDPS――Damage Per Second:単位時間当たりのダメージ量――が高いようで、トロールを倒す速度は、僕のほうが速い。
一面の炎が消える。【ヘル・フレイムウォール】の効果時間(約5分)が経過したようだ。
「フェリア!」
「ハッ!」
再び洞窟内が一面の炎に包まれる。
【ファイアストーム】
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
MPに余裕があったので、前方のトロール集団に向けて広範囲攻撃魔法を放ってみる。
『まだ、倒せないのかよ……』
【ファイアストーム】
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
同じ位置に重ねて発動してみると効果範囲内のトロール達が白い光を放ち消え去った。
【ヘル・フレイムウォール】により、かなりのダメージを受けていることが確認できた。
この調子だと、効果範囲内のトロールは、フェリアの【ヘル・フレイムウォール】で倒せるだろう。
前方の敵と戦闘をしながら、数分が経過したとき、【ヘル・フレイムウォール】内のトロール達が一斉に白く光って消滅する。後続のトロール達は、ダメージを受ける炎の中には入ろうとしない。
すると、フェリアの【ヘル・フレイムウォール】の効果時間が終了して炎が消える。
それを見た後続のトロール達が一斉に接近してくる。
僕は、トロール達の密度が十分に高くなるまで待ってから、
【ヘル・フレイムウォール】
を発動した。
「フェリア、【ファイアストーム】を使って数を減らせ」
「ハッ!」
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
炎の中に炎の渦が生まれる。
自動起動した【ハイ・メディテーション】が僕のHPを削っていく。HPが7割を切った瞬間、僕のHPが急速に回復し始めた。『回復の指輪』の『グレート・エレメンタルヒール』が自動起動したのだ。HPゲージが満タンになったとき、『回復の指輪』の効果もオフになる。そして、またHPが減り始める。そのまま、減り続け7割を切ったところで、再度『回復の指輪』の効果がオンになり、HPが急速に回復する。HPゲージが満タンとなり、『回復の指輪』の効果もオフになる。そして、またHPが減り始め、今度はHPが8割程度のあたりで、MPのほうが全回復したようだ。
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
フェリアの【ファイアストーム】が炸裂する。
【ファイアストーム】
――シュボボゴゴォオオオーーー!!
僕もそれに合わせて、【ファイアストーム】を同じところに発動する。
その一撃で効果範囲内のトロールが白い光に包まれて消滅した。
「フェリア、【ファイアストーム】はもういい」
「ハッ!」
そのまま、近接戦闘を繰り広げる。
無茶はしない、近接戦闘はあくまでオプションだ。本命は、【ヘル・フレイムウォール】による広範囲DoT攻撃だ。リスクを冒して強引な近接戦闘は行わなくてもいいだろう。
5分経過したのか【ヘル・フレイムウォール】の炎が消える。
「フェリア!」
「了解いたしましたっ!」
全てのトロールを巻き込んで彼女の【ヘル・フレイムウォール】が展開される。
それから数分後、残っていた全てのトロールが【ヘル・フレイムウォール】による広範囲DoT攻撃により
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