3―10

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 僕は立ち上がり、新しい魔法を試してみることにした。


『装備2換装』


 指輪を装備するため『装備2』に着替える。


 本当に強制起動できないか確認してみることにした。

 指輪に意識を集中して起動してみる。


『ハイ・メディテーション強制起動!』


『この魔術は術者の意志で起動することはできません』というメッセージが視界に表示された。

 設計通り、強制的に起動することはできないようだ。


【体力/魔力ゲージ】を表示してMPを見ると満タンだった。


【グレート・シールド】【グレート・ダメージシールド】【グレート・マジックシールド】【ウインドバリア】【グレート・ストレングス】【グレート・アジリティ】【マニューバ】【レビテート】【インビジブル】【ナイトサイト】【トゥルーサイト】【レーダー】


 思いつく限りの自己強化型魔術を起動する。【フライ】も起動したのだが、同じような効果の【マニューバ】を起動しているからか『起動できません』とエラーが出た。

 MPを回復させてしまう【メディテーション】は強制的にオフにする。


【リアクティブヒール】【グレーターダメージスキン】【ホーリーウェポン】

【リアクティブヒール】【グレーターダメージスキン】【ホーリーウェポン】


 更にMPを減らすため回復系魔術のバフを自分とフェリアに掛ける。

 これで、MPが8割を超えて、少しずつ減っている。

 しかし、この調子では50%を切るのに1時間くらいかかりそうだ。


【エリアヒール】


 回復魔法をかける。だいたい5パーセントくらいMPを消費するようだ。


【グレーターヒール】


 魔法にはリキャストタイムがあるため、同じ刻印の魔法を続けては使えないので、側で控えるフェリアに向けて回復魔法をかける。

 クールタイムが終了するたびに、【エリアヒール】と【グレーターヒール】を交互にかけて、20分くらいでMPを半分以下にすることができた。朝よりもMPの総量が多くなっている気がする。コボルトとゴブリンを狩って成長したのだろうか?

【体力/魔力ゲージ】を確認すると、MPが目に見えて回復していく一方でHPが同じような勢いで減っていく。

 HPが5パーセントほど減る度に【リアクティブヒール】が発動してHPが少し回復するものの8回発動して【リアクティブヒール】の効果は終了したようだ。

 その後は、5パーセントを超えてHPが減り続ける。


「――ご主人様っ!? 大丈夫なのでしょうか?」


 僕の【体力/魔力ゲージ】を確認していたのかフェリアが心配して警告してくる。


「危なくなったら、装備を換装して指輪を外すから大丈夫」


 僕は返事をして彼女を安心させる。

 5分と経たずにMPが完全回復してHPの低下が止まる。

 HPは、7割を少し超えたあたりで下げ止まった。

 おそらく、任意に発動はできないが、【メディテーション】のように強制オフにすることは可能だろう。

 あのHP低下速度なら、コントロールできる範囲なので、この呪文のせいで死んだりする可能性は低そうだ。


【グレーターヒール】【エレメンタルヒール】


 自分に回復魔法をかける。

 そして、フェリアに向かって、


「フェリア、新しい呪文を刻印するから、テーブルにうつ伏せに寝転んで」

「ハッ!」


 フェリアは、白い光に包まれて裸になり、テーブルに上ってうつ伏せに寝た。


『装備2』


『ハイ・メディテーションの指輪解除』と念じて外しておく。杞憂きゆうかもしれないが、同時起動などの誤爆がおきないようにするためだ。


―――――――――――――――――――――――――――――


 上着:コットンシャツ

 脚:革のズボン

 足:革のブーツ

 下着:魔布のトランクス


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『装備2換装』


 僕は、テーブルに登って、フェリアの腰にまたがる。


「んっ……」


【刻印付与】→【ハイ・メディテーション】


 そして、左の肩胛骨けんこうこつの辺りに手を添えて『発動』と念じて刻印を刻む。


「ああっ……」

「フェリア、スペルが増えているか調べてみて」

「……ハッ!」


 僕は、彼女の上から立ち上がり、横に移動する。


「ご主人様、【ハイ・メディテーション】という魔術が増えております。また、わたくしも回復系の魔術が使えるようになっておりました」

「おお、それは凄いね。どうして急に使えるようになったか心当たりはある?」

「それは、ご主人様の使い魔になったからですわ」

「どういうこと?」

「使い魔も成長します。そして主の成長速度に左右されるのだと思いますわ」

「つまり、君の成長速度が速くなったということ?」

「はい、そうです」


 彼女の説が正しいかどうかは、要検証というところだろう。

 とりあえず、答えの出ない問題は置いておいて、僕にも【ハイ・メディテーション】を付与してもらうことにした。


「じゃあ、僕に【ハイ・メディテーション】の刻印を付与してくれ」

「ハッ!」


 僕は、シャツを脱いで彼女と入れ替わるようにテーブルにうつ伏せで横になる。

 裸の彼女が僕に跨り、左の肩胛骨の辺りに手を置いた。僕が彼女に【ハイ・メディテーション】を施した場所だ。


「終わりましたわ」


 彼女が僕の上から身体をどける。

 僕は立ち上がり、【ハイ・メディテーション】がリストに追加されていることを確認した。


『装備2換装』


 装備を換装することでシャツを着てから、テーブルを降りて長椅子に腰を掛ける。

 フェリアを見ると裸のまま降りてきたようだ。そのまま、僕の斜め後ろに召し使いのように控える。

 彼女にメイド服が装備できるようになったか試してみようと思い、テーブルに背を向けて反対向きに座り直す。


「フェリア、僕の前に来て」

「ハッ!」


 裸のフェリアが僕の正面に立った。僕は、彼女の裸を見ないように目をらす。


『フェリアの装備6』


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『「フェリアのメイド服」を装備』と念じる。


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 服:フェリアのメイド服


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 彼女は成長して筋力がアップし、『フェリアのメイド服』を装備できるようになったようだ。


「『装備6』に換装してみて」

「ハッ!」


 彼女は白い光に包まれた後、メイド服姿となった。


「あああぁ……嬉しい……」


 感動に震える彼女を見ながら、更に装備を追加していく。


―――――――――――――――――――――――――――――


 服:フェリアのメイド服

 篭手:竜革の篭手+5

 脚:魔布のニーソックス+5

 足:竜革のブーツ+5

 下着:黒のブラジャー

 下着:黒のパンティー


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「フェリア、もう一度『装備6』に換装してみて」

「ハッ!」


 彼女は、白い光に包まれた後、先ほどとは少し違う装備となった。

 裸足ではなくなり、ブーツとニーソックス、篭手を付けている。

 篭手は、メイドの業務には邪魔そうなので、変更したほうがいいだろう。

 ブーツはいいけど、ニーソは、ストッキングとガーターベルトに変更したいところだ。


 僕は、目を閉じて足りない装備を作り始める。


【工房】→『装備作成』


 ・メイドカチューシャ

 ・黒のチョーカー

 ・フェリアの腕輪

 ・黒のストッキング&ガーターベルト


 とりあえず、この4点を作成した。

 使った素材は、『フェリアの腕輪』が『アダマンタイト鋼』を2つ、『黒のチョーカー』が『ドラゴンスキン』を2つ、『メイドカチューシャ』と黒の『ストッキング&ガーターベルト』がそれぞれ『マジックリンネル』を2つと5つだ。


―――――――――――――――――――――――――――――


 頭:メイドカチューシャ

 首:黒のチョーカー

 服:フェリアのメイド服

 腕輪:フェリアの腕輪

 脚:黒のストッキング&ガーターベルト

 足:竜革のブーツ+5

 下着:白のブラジャー

 下着:白のパンティー


―――――――――――――――――――――――――――――


 装備を変更する。

 僕は、目を開けて装備の変更を指示する。


「フェリア、悪いけど、もう一度『装備6』に換装してみて」

「ハッ!」


 彼女は、白い光に包まれた後、ほぼ理想的なメイドスタイルとなった――。


―――――――――――――――――――――――――――――

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